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山寺
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やまでら
大和の
國のある
山寺の
賓頭廬樣の
前に
置いてある
石の
鉢の
眞黒に
煤けたのを、もったいらしく
錦の
袋に
入れて
姫のもとにさし
出しました。
そこに月番の玉造組
平与力本多為助、
山寺三二郎、小島
鶴之丞が出てゐて、本多が天満の火事は大塩平八郎の
所為だと告げた。
町の
中には
何にもないとさ。それでも、
人の
行かない
山寺だの、
峰の
堂だのの、
額の
繪がね、
霰がぱら/\と
降る
時、ぱちくり
瞬きをするんだつて……
朧夜にそそのかされて、
鉦も
撞木も、
奉加帳も打ちすてて、
誘い
合せるや否やこの
山寺へ踊りに来たのだろう。
四辺は
夕暮の
色につつまれた、いかにも
森閑とした、
丁度山寺にでも
臥て
居るような
感じでございます。
眼が
覺めると
枕元の
障子が
何時の
間にか
明るくなつて、
白い
紙にやがて
日の
逼るべき
色が
動いた。
晝も
留守を
置かずに
濟む
山寺は、
夜に
入つても
戸を
閉てる
音を
聞かなかつたのである。
おほみそかは
大薩摩の、もの
凄くも
又可恐しき、
荒海の
暗闇のあやかしより、
山寺の
額の
魍魎に
至るまで、
霙を
錬つて
氷を
鑄つゝ、
年の
瀬に
楯を
支くと
雖も、
巖間の
水は
囁きて、
川端の
辻占に
宗助の
感覺には、
山寺の
寒さ
以上に、
一種嚴かな
氣が
加はつた。
恁云ふ
処ぢや
山寺処ではないと
思ふと、
俄に
心細くなつた。