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小楯
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こだて
ふりがな文庫
“
小楯
(
こだて
)” の例文
でも、私は目的の土蔵の窓の下にたどりつくと、丁度その土塀の
際
(
きわ
)
にあった一つの岩を
小楯
(
こだて
)
に身を隠して、じっと、あたりの様子を窺った。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
僕は——僕ももちろん危険を避けるためにトックを
小楯
(
こだて
)
にとっていたものです。が、やはり好奇心に駆られ、熱心にマッグと話しつづけました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いや、何とも申しようのない処を、木戸口をまわりに、半身で、向うからお悦が、松を
小楯
(
こだて
)
においでおいでを合図した。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
駕籠屋を伴って戻ると、あやはそこから家へ帰らせ、庄兵衛は
小楯
(
こだて
)
山の上まで、伊原の乗った駕籠を送っていった。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
相手が英夫の
小楯
(
こだて
)
にとっていた鉄柱にでも突きあたったのであろう、したたかな風に
打
(
ぶ
)
つかったような気がした。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
あっぱれ恩威
並
(
ならび
)
行われて候と陛下を
小楯
(
こだて
)
に五千万の見物に向って気どった
見得
(
みえ
)
は、何という醜態であるか。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
飛退くと、どうして肩から解いたか、重い荷物は草の上に落ちて、お六は柳を
小楯
(
こだて
)
に
屹
(
きっ
)
となります。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
どこという確かな
的
(
あて
)
もないが、怪しい馬は水から出て来るらしいというのを頼りに、二人は多々良川に近いところに陣取って、一本の大きい
櫨
(
はじ
)
の木を
小楯
(
こだて
)
に忍んでいると
馬妖記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
素破
(
すわ
)
! 雁金検事も大江山課長も、卓子を
小楯
(
こだて
)
にとって、無気味な哄笑のする方を注視した。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と云いながら柵矢来に寄附いて
小楯
(
こだて
)
に取り、腰に差して居た木剣作りの小脇差を引抜き
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
坂本は
堺筋
(
さかひすぢ
)
西側の紙屋の戸口に
紙荷
(
かみに
)
の積んであるのを
小楯
(
こだて
)
に取つて、十
文目筒
(
もんめづゝ
)
で
大筒方
(
おほづゝかた
)
らしい、
彼
(
かの
)
黒羽織を
狙
(
ねら
)
ふ。さうすると
又
(
また
)
東側の用水桶の蔭から、大塩方の猟師金助が
猟筒
(
れふづゝ
)
で坂本を狙ふ。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
弁信の
小楯
(
こだて
)
に取った卒塔婆の一面に、この時、
真向
(
まとも
)
に月がさすと、それに
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが、これもお尋ね者のお藤ッ! と気がついて捕吏の面々はあらたにいろめき渡ったのだが、お藤は、ゆっくりと歩を運んで、幹を
小楯
(
こだて
)
に、ずらりと並ぶ
捕役
(
とりやく
)
の列に砲口を向けまわして
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
副院長は明かに
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したらしかった。不意を打たれて度を失った恰好で、クルリとこっちに向き直ると、まだ締まったままの
扉
(
ドア
)
を
小楯
(
こだて
)
に取るかのように、ピッタリと
身体
(
からだ
)
を寄せかけて突っ立った。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
色ある
衣
(
きぬ
)
は
唐松
(
からまつ
)
の
翠
(
みどり
)
の
下蔭
(
したかげ
)
に
章
(
あや
)
を成して、秋高き清遠の空はその後に
舗
(
し
)
き、
四脚
(
よつあし
)
の雪見燈籠を
小楯
(
こだて
)
に裾の
辺
(
あたり
)
は
寒咲躑躅
(
かんざきつつじ
)
の
茂
(
しげみ
)
に隠れて、近きに二羽の
鵞
(
が
)
の
汀
(
みぎは
)
に
𩛰
(
あさ
)
るなど、
寧
(
むし
)
ろ画にこそ写さまほしきを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
音吉の
小楯
(
こだて
)
にとっている大木の幹が邪魔になって、その上闇夜の暗さに、そう遠くまで見通しが利かぬので、ただもどかしい思いをするばかりだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と
唐突
(
だしぬけ
)
に云った。土方
体
(
てい
)
の
半纏着
(
はんてんぎ
)
が一人、床几は奥にも空いたのに、婆さんの居る腰掛を
小楯
(
こだて
)
に
踞
(
しゃが
)
んで、梨の皮を
剥
(
む
)
いていたのが、ぺろりと、白い
横銜
(
よこぐわ
)
えに声を掛ける。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飛退くと何うして肩から解いたか、重い荷物は草の上に落ちて、お六は柳を
小楯
(
こだて
)
に屹となります。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
沙金
(
しゃきん
)
も、今は弓にたかうすびょうの矢をつがえて、まだ微笑を絶たない顔に、一脈の殺気を浮かべながら、すばやく道ばたの
築土
(
ついじ
)
のこわれを
小楯
(
こだて
)
にとって、身がまえた。——
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
松の木を
小楯
(
こだて
)
に取りまして、不埓至極な奴だ、旦那を
何
(
なん
)
と心得る、羽生村の名主様であるぞ、粗相をすると許さんぞというと、大勢で
得物
(
えもの
)
/\を持って切って掛るから、手前も大勢を相手に切り結び
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人は扉を
小楯
(
こだて
)
に、部屋の中を覗き込んだ。と同時に、外からも、中からも、驚きと喜びの叫び声。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
濡れ
腐
(
くさ
)
つた
袷
(
あはせ
)
をかなぐり捨てると、
逞
(
たく
)
ましい
素
(
す
)
つ
赤裸
(
ぱだか
)
、東作は行燈を
小楯
(
こだて
)
に
屹
(
きつ
)
と身構へます。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金色夜叉
(
こんじきやしや
)
中編
(
ちうへん
)
のお
宮
(
みや
)
は、この
姿
(
すがた
)
で、
雪見燈籠
(
ゆきみどうろう
)
を
小楯
(
こだて
)
に、
寒
(
かん
)
ざきつゝじの
茂
(
しげ
)
みに
裾
(
すそ
)
を
隱
(
かく
)
して
立
(
た
)
つのだから——
庭
(
には
)
に、
築山
(
つきやま
)
がかりの
景色
(
けしき
)
はあるが、
燈籠
(
とうろう
)
がないからと、
故
(
ことさ
)
らに
据
(
す
)
ゑさせて
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かく近づいた
跫音
(
あしおと
)
は、
件
(
くだん
)
の紫の傘を
小楯
(
こだて
)
に、土手へかけて
悠然
(
ゆうぜん
)
と
朧
(
おぼろげ
)
に投げた、
艶
(
えん
)
にして
凄
(
すご
)
い
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
に、
小波
(
さざなみ
)
寄する
微
(
かすか
)
な響きさえ与えなかったにもかかわらず、こなたは一ツ
胴震
(
どうぶる
)
いをして、
立直
(
たちなお
)
って
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
東作は
銀煙管
(
ぎんぎせる
)
を
逆手
(
さかて
)
構えに、火鉢を
小楯
(
こだて
)
に取って
屹
(
きっ
)
となりました。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大きな木の幹を
小楯
(
こだて
)
に、暗中の人影に目をこらし、耳をすました。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
東作は銀煙管を
逆手構
(
さかてがまへ
)
に、火鉢を
小楯
(
こだて
)
に取つて
屹
(
きつ
)
となりました。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
永左衞門は建物の袖を
小楯
(
こだて
)
に、必死の聲を絞りました。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二つ三つ、かはして柳を
小楯
(
こだて
)
に取りました。
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
楯
漢検準1級
部首:⽊
13画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父