小座敷こざしき)” の例文
これがむかし本陣ほんぢんだと叔父をぢつただゞつぴろ中土間なかどまおくけた小座敷こざしきで、おひらについた長芋ながいも厚切あつぎりも、大鮪おほまぐろ刺身さしみあたらしさもおぼえてる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
廊下を通って父親の居間になっている日本間の方へ往くと、廊下のとっつきの小座敷こざしきで人の気配がするのだ、奴さん、そっと障子際しょうじぎわへ寄って耳を立てると、むし笑いに笑う女の声がするが
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ふいとつてうちをば御出おであそばさるゝ、行先ゆくさきいづれも御神燈ごじんとうしたをくゞるか、待合まちあひ小座敷こざしき、それをば口惜くちをしがつてわたしうらみぬきましたけれどしんところへば、わたし御機嫌ごきげんりやうがわるくて
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さて千太郎は何所どこを何うか我が家へ歸りくやし涙にかきくれながら二階の小座敷こざしきそつ這入はひり心中に思ふやう如何にしても口惜きは長庵なり眼前がんぜん渡して其金を知らぬといふさへおそろしきにおのれが惡事を覆はんため此我を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
通されたのが小座敷こざしきで、前刻さっき言ったその四畳半。廊下を横へ通口かよいぐちがちょっと隠れて、気の着かぬ処に一室ひとまある……
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母親はゝおやあやしき笑顏ゑがほをしてすこてばなほりませう、いつでもきまりのわがまゝさんさぞ友達ともだちとも喧嘩けんくわしませうな、眞實ほんにやりれぬぢようさまではあるとてかへるに、美登利みどりはいつか小座敷こざしき蒲團ふとん抱卷かいまき持出もちいでゝ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いけちん小座敷こざしきれうごのみで、その棟梁とうりやう一度いちど料理店れうりてん其處そこひらいたときのなごりだといた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
案内あんないはかねて梯子はしごのぼてゝ右手みぎて小座敷こざしき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それからその人の部屋とも思われる、綺麗きれい小座敷こざしきへ寝かされて、目の覚める時、物の欲しい時、のどの乾く時、涙の出る時、何時いつもその娘が顔を見せない事はなかったです。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かけはしちんで、はるかにポン/\とおる。へーい、と母家おもやから女中ぢよちうくと、……たれない。いけうめ小座敷こざしきで、トーンと灰吹はひふきたゝおとがする、むすめくと、……かげえない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、吃驚びつくりするやうな大景氣だいけいき川鐵かはてつはひつて、たゝきのそば小座敷こざしき陣取ぢんどると、細露地ほそろぢすみからのぞいて、臆病神おくびやうがみあらはれて、逃路にげみちさがせやさがせやと、電燈でんとうまたゝくばかり、くらゆびさしをするにはよわつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)