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対向
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さしむか
ふりがな文庫
“
対向
(
さしむか
)” の例文
旧字:
對向
「怪我ぐらいはするだろうよ。……
知己
(
ちかづき
)
でもない君のような
別嬪
(
べっぴん
)
と、こんな処で
対向
(
さしむか
)
いで話をするようなまわり合せじゃあ。……」
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
味方らしい年上の方が、
対向
(
さしむか
)
いになると、
凄
(
すご
)
いようで、おのずから五体が
緊
(
しま
)
る、が、ここが、ものの甘さと苦さで、甘い方が毒は順当。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……その酒さえ、弱身のある人が来て
対向
(
さしむか
)
いになると、臆面の無いほてった顔を、一皮
剥
(
む
)
かれるように
醒
(
さ
)
めるんだからの。お察しものです。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少くとも青年の
佳士
(
かし
)
、衣冠正しい文学士が、
譬
(
たと
)
えば二人
対向
(
さしむか
)
いの時、人知れずであろうとも
独
(
ひとり
)
省みて恥辱でないことはない。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……と寝台の横手、窓際に
卓子
(
テエブル
)
があるのに、その
洋燈
(
ランプ
)
を
載
(
の
)
せながら話したが、中頃に腰を掛けた、その椅子は、患者が
医師
(
せんせい
)
と
対向
(
さしむか
)
いになる一脚で
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
中にも大島を
遥
(
はる
)
かに望んで、真鶴の浜に
対向
(
さしむか
)
う、熱海の海の岸一帯、火山が砕けた巌を飛び飛び、魚見岬に
行
(
ゆ
)
く間、
小石
(
さざれいし
)
にも白波や、貝殻にも潮の花。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嘘
(
うそ
)
だ
思
(
おも
)
ふなら、
退屈
(
たいくつ
)
せずに
四日
(
よつか
)
五日
(
いつか
)
、
私
(
わし
)
が
小屋
(
こや
)
へ
来
(
き
)
て
対向
(
さしむか
)
ひに
座
(
すは
)
つてござれ、ごし/\こつ/\と
打敲
(
ぶつたゝ
)
いて、
同一
(
おなじ
)
船
(
ふね
)
を、
主
(
ぬし
)
が
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
で
拵
(
こさ
)
へて
見
(
み
)
せるだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
板戸一つが
直
(
す
)
ぐ町の、店の八畳、古畳の真中に机を置いて
対向
(
さしむか
)
いに、
洋燈
(
ランプ
)
に額を
突合
(
つきあ
)
わせた、友達と二人で、その国の
地誌略
(
ちしりゃく
)
と云う、学校の教科書を読んでいた。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其時
(
そのとき
)
坐
(
すは
)
つて
居
(
ゐ
)
た
蒲団
(
ふとん
)
が、
蒼味
(
あをみ
)
の
甲斐絹
(
かひき
)
で、
成程
(
なるほど
)
濃
(
こ
)
い
紫
(
むらさき
)
の
縞
(
しま
)
があつたので、
恰
(
あだか
)
も
既
(
すで
)
に
盤石
(
ばんじやく
)
の
其
(
そ
)
の
双六
(
すごろく
)
に
対向
(
さしむか
)
ひに
成
(
な
)
つた
気
(
き
)
がして、
夫婦
(
ふうふ
)
は
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあ
)
はせて、
思
(
おも
)
はず
微笑
(
ほゝえ
)
んだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
虫蝕
(
むしくい
)
と、
雨染
(
あまじ
)
みと、
摺剥
(
すりむ
)
けたので分らぬが、上に、
業平
(
なりひら
)
と小町のようなのが
対向
(
さしむか
)
いで、前に
土器
(
かわらけ
)
を控えると、
万歳烏帽子
(
まんざいえぼし
)
が五人ばかり、ずらりと拝伏した処が描いてある。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ちら/\
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
る
晩方
(
ばんがた
)
でした。……
私
(
わたくし
)
は、
小児
(
こども
)
の
群食
(
むらぐひ
)
で、
欲
(
ほし
)
くない。
両親
(
りやうしん
)
が
卓子
(
ていぶる
)
に
対向
(
さしむか
)
ひで
晩飯
(
ばんめし
)
を
食
(
た
)
べて
居
(
ゐ
)
た。
其処
(
そこ
)
へ、
彫像
(
てうざう
)
を
負
(
おぶ
)
つて
入
(
はい
)
つたんですが、
西洋室
(
せいやうま
)
の
扉
(
ひらき
)
を
開
(
あ
)
けやうとして
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
対向
(
さしむか
)
いの三造は、
脚絆
(
きゃはん
)
を解いた
痩脛
(
やせずね
)
の、
疲切
(
つかれき
)
った風していたのが、この時遮る。……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
容態が容態ですから、どうぞ息のある内にと心配をしていたんですが、人に相談の出来る事じゃなし、御宅へ参ってお話をしようにも、こりゃ貴女と
対向
(
さしむか
)
いでなくっては出来ますまい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
地柄
(
じがら
)
縞柄
(
しまがら
)
は分らぬが、いずれも手織らしい
単放
(
ひとえ
)
を
裙
(
すそ
)
短
(
みじか
)
に、草履
穿
(
ばき
)
で、日に背いたのは
緩
(
ゆるや
)
かに腰に手を組み、日に向ったのは額に手笠で、
対向
(
さしむか
)
って二人——
年紀
(
とし
)
も同じ程な
六十左右
(
むそじそこら
)
の
婆々
(
ばば
)
が
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
法師が入った口とは
対向
(
さしむか
)
い、大崩壊の方の床几のはずれに、竹柱に留まって
前刻
(
さっき
)
から——胸をはだけた、手織
縞
(
じま
)
の汚れた
単衣
(
ひとえ
)
に、
弛
(
ゆる
)
んだ帯、煮染めたような
手拭
(
てぬぐい
)
をわがねた首から、
頸
(
うなじ
)
へかけて
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ね、隠れて五日ばかり
対向
(
さしむか
)
いで居るあいだに、何でもその
女
(
むすめ
)
が惚れたんだ。無茶におッこちたと思いねえ。五日目に支那の兵が
退
(
ひ
)
いてく時つかめえられてしょびかれた。何でもその日のこった。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ね、隠れて
五日
(
いつか
)
ばかり
対向
(
さしむか
)
ひでゐるあひだに、何でもその女が
惚
(
ほ
)
れたんだ。無茶におツこちたと思ひねえ。五日目に支那の兵が
退
(
ひ
)
いてく時つかめえられてしよびかれた。何でもその日のこつた。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
対向
(
さしむか
)
いの、可なり年配のその先生さえ
少
(
わか
)
く見えるくらい、老実な
語
(
くち
)
。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
卓子
(
テエブル
)
を
傍
(
わき
)
に椅子に
倚
(
かか
)
って、
一個
(
ひとり
)
の貴夫人と
対向
(
さしむか
)
いで居た。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寒気がするとて、茶の間の火鉢に
対向
(
さしむか
)
いで
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だって姉さんが、どんな事があればッたって、男と
対向
(
さしむか
)
いで五分間と居る人じゃないのよ。貴下は口前が巧くって、調子が可いから、だから坐り込んでいるんじゃありませんか。ほんとうに厭よ。貴下浮気なんぞしちゃ、もう、沢山だわ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“対向”の意味
《名詞》
対 向 (たいこう)
互いに向き合うこと。
(出典:Wiktionary)
対
常用漢字
小3
部首:⼨
7画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“対”で始まる語句
対
対手
対峙
対岸
対馬
対蹠的
対蹠
対坐
対照
対句