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大跨
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おおまた
ふりがな文庫
“
大跨
(
おおまた
)” の例文
ところがこの禿の奴、一本のニス塗りのステッキを持っていて——それこそ阿Qに言わせると葬式の泣き
杖
(
づえ
)
だ——
大跨
(
おおまた
)
に歩いて来た。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
礫
(
こいし
)
はばらばら、飛石のようにひょいひょいと
大跨
(
おおまた
)
で伝えそうにずっと見ごたえのあるのが、それでも人の手で並べたに
違
(
ちが
)
いはない。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これも白っぽいなと見ていると、またその後からのはのっぽで白で、
大跨
(
おおまた
)
だ。支那料理のコックででもあるかな。
岡持
(
おかも
)
ちさげて、また
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
荘邸
(
やしき
)
中の者が寝静まっているというようなことは、一向気にも止めないで、
大跨
(
おおまた
)
にどんどん歩いて行ったが、夫人の
寝室
(
へや
)
の前へさしかかったときは
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
彼は街路を
大跨
(
おおまた
)
に歩いていった。怒りに酔っていた。その酔いも雨に
覚
(
さ
)
まされた。どこへ行くのか? それを彼は知らなかった。知人は一人もなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
シャーロック・ホームズがいったん出した半クラウン銀貨をポケットへ納めると、そこへ怖い顔をした年輩の男が、猟用の鞭を振り振り
大跨
(
おおまた
)
に門から出て来た。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
で、今度は通りのまん中を自分はひやかしに来た客ではないというようにわざと
大跨
(
おおまた
)
に歩いて通った。そのくせ、気にいった女のいる
張
(
は
)
り
見世
(
みせ
)
の前は注意した。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
彼は泥靴で畳の上に
大跨
(
おおまた
)
の足跡をしるしてから押し入れの前に火の無い火鉢を押してやった。そして房枝に雑巾を持たせて掃除を仮想させ、自分は火鉢の前に坐った。
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
一行から
稍々
(
やや
)
遠く、見る影もなく掘り返された石畳の上を、
華奢
(
きゃしゃ
)
な籐のステッキで叩き乍ら、ホテルの廊下を散歩して居る西洋人のように、
大跨
(
おおまた
)
で往ったり来たりして居ります。
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
懐手
(
ふところで
)
をして肩を揺すッて、
昨日
(
きのう
)
あたりの島田
髷
(
まげ
)
をがくりがくりとうなずかせ、
今月
(
この
)
一
日
(
にち
)
に
更衣
(
うつりかえ
)
をしたばかりの
裲襠
(
しかけ
)
の
裾
(
すそ
)
に廊下を
拭
(
ぬぐ
)
わせ、
大跨
(
おおまた
)
にしかも急いで上草履を引き
摺
(
ず
)
ッている。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
黒塗りの足駄で薄雪を踏み、手は両方とも
懐中手
(
ふところで
)
、
大跨
(
おおまた
)
にノシノシ近寄って来たが
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
顔のあたりに垂れているのであった、私はそれを見ると、突然何かに襲われた様に、
慄然
(
ぞっ
)
として、五六
間
(
けん
)
は
大跨
(
おおまた
)
に
足取
(
あしどり
)
も
頗
(
すこぶ
)
る
確
(
たしか
)
に歩いたが、何か
後方
(
うしろ
)
から
引付
(
ひきつ
)
けられるような気がしたので
青銅鬼
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
山伏は
大跨
(
おおまた
)
で、やがて
麓
(
ふもと
)
へ着いた時分、と、
足許
(
あしもと
)
の杉の
梢
(
こずえ
)
にかかった
一片
(
ひとひら
)
の雲を透かして、里
可懐
(
なつかし
)
く麓を望んだ……時であった。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして
凱旋門
(
がいせんもん
)
は、勇敢なる進軍のように、帝国軍団の超人間的な
大跨
(
おおまた
)
を、丘の上に踏み開いていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
まだ何ごとをも知らぬ小娘、長旅の疲労に伴って起こった男のはげしい慾望、彩色を施した横
綴
(
と
)
じの絵、——二十分の後、旅客の
大跨
(
おおまた
)
で走って
遁
(
に
)
げていくのをお作は泣きながら追った。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
大跨
(
おおまた
)
に下りて、帽を脱し、はたと夫人の
爪尖
(
つまさき
)
に
跪
(
ひざまず
)
いて、片手を額に加えたが、無言のまま身を起して、
同一
(
おなじ
)
窓に
歩行
(
あゆ
)
み寄った。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
廊下にも休憩室にもだれ一人いなかった。彼は心乱れながら階段を降りていって、みずから知らないで外に出た。夜の冷たい空気を吸いたかった。薄暗い寂しい通りを
大跨
(
おおまた
)
に歩きたかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と見返りもしないで先に立って、
件
(
くだん
)
の休憩室へ導いた。
背
(
うしろ
)
に立って、ちょっと小首を傾けたが、腕組をした、肩が
聳
(
そび
)
えて、主税は
大跨
(
おおまた
)
に後に続いた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ブラウンは眼に涙を浮かべて、小さな動物の臨終の苦しみを見守った。クリストフは庭の中を
大跨
(
おおまた
)
に歩き回り、両の
拳
(
こぶし
)
を握りしめていた。アンナが平然と女中へ用を言いつけてるのが聞こえた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「そこ
退
(
の
)
け、踏んでくれう。」と
苛
(
いら
)
てる音調、草が
飛々
(
とびとび
)
大跨
(
おおまた
)
に
寝
(
ね
)
つ
起
(
お
)
きつしたと見ると、
縞
(
しま
)
の下着は横ざまに寝た。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女は
大跨
(
おおまた
)
に引返した。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「ざまあ見やがれ、」とふてを
吐
(
つ
)
いて、忘れずに
莨入
(
たばこいれ
)
を取って差し、
生白
(
なまっちろ
)
い足を
大跨
(
おおまた
)
にふいと立って出ようとする。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と推着けるように辞退して来たものを、ここで
躊躇
(
ちゅうちょ
)
している内に、座を立たれては恐多い、と心を
引立
(
ひった
)
てた腰を、自分で突飛ばすごとく、
大跨
(
おおまた
)
に出合頭。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お光が中くらいな
鞄
(
かばん
)
を提げて、肩をいからすように、
大跨
(
おおまた
)
に
歩行
(
ある
)
いて、電車の出発点まで
真直
(
まっす
)
ぐに送って来た。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこへな、
背後
(
うしろ
)
の、暗い路をすっと来て、私に、ト並んだと思う内に、
大跨
(
おおまた
)
に前へ
抜越
(
ぬけこ
)
したものがある。……
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稍
(
やや
)
あつて、
大跨
(
おおまた
)
の足あとは、
衝
(
つ
)
と
逆
(
ぎゃく
)
に
退
(
しさ
)
つたが、すツくと
立向
(
たちむか
)
つた様子があつて、切つて放したやうに
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ト見て、お妙が言おうとする時、からりと
開
(
あ
)
いた格子の音、玄関の書生がぬっと出た。心づけても言うことを
肯
(
き
)
かぬ、羽織の紐を結ばずに長くさげて、
大跨
(
おおまた
)
に
歩行
(
ある
)
いて来て
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この折から下の
廊下
(
ろうか
)
に
跫音
(
あしおと
)
がして、
静
(
しずか
)
に
大跨
(
おおまた
)
に
歩行
(
ある
)
いたのが、
寂
(
せき
)
としているからよく。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「勿論、」と簡単、がちゃりと
雑具
(
ぞうぐ
)
の中へ
小刀
(
ナイフ
)
を投出して、柳沢は
大跨
(
おおまた
)
に開き直り
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
またしきりに鳴く——蛙の皮の
疣々
(
いぼいぼ
)
のようでもあります。そうして、
一飛
(
ひとッとび
)
ずつ
大跨
(
おおまた
)
に
歩行
(
ある
)
くのが、何ですか舶来の踊子が、ホテルで
戸惑
(
とまどい
)
をしたか、銀座の夜中に迷子になった様子で。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして
大跨
(
おおまた
)
に、その
逞
(
たくまし
)
い靴を片足ずつ、やりちがえにあげちゃあ
歩行
(
ある
)
いて来る。靴の裏の赤いのがぽっかり、ぽっかりと一ツずつこっちから見えるけれど、自分じゃあ、その
爪
(
つま
)
さきも分りはしまい。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土蜘蛛
(
つちぐも
)
の
這込
(
はいこ
)
む如く、
大跨
(
おおまた
)
を
蜿
(
うね
)
ってずるずると秋草の根に
搦
(
から
)
んだ。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
合羽
(
かっぱ
)
を吹きなぐりに、
大跨
(
おおまた
)
に
蹈出
(
ふみだ
)
した。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
跨
漢検準1級
部首:⾜
13画
“大”で始まる語句
大
大人
大事
大袈裟
大分
大切
大抵
大概
大方
大丈夫