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とりなほ
云掛る人など有て
五月蠅も腹
立敷折も有ども何事も夫の爲且は
情ある亭主への
恩報じと思へば氣を
取直して
宜程にあしらひつゝ月日を
『あゝ、
皆私が
惡いのだ、
私の
失策つたばかりに、
一同に
此樣な
憂目を
見せる
事か。』と
深く
嘆息したが、
忽ち
心を
取直した
樣子で
夫よりは
氣を
取直して
稼業に
精を
出して
少しの
元手も
拵へるやうに
心がけて
下され、お
前に
弱られては
私も
此子も
何うする
事もならで、
夫こそ
路頭に
迷はねば
成りませぬ
……
朝餉を
濟ますと、
立處に
床を
取直して、
勿體ない
小春のお
天氣に、
水を
二階まで
輝かす
日當りのまぶしさに、
硝子戸と
障子をしめて、
長々と
掻卷した、これ
此の
安湯治客、
得意の
處。
其
言葉の一々を雲飛は心に
銘し、やゝ
氣を
取直して
時節の
來るのを
待て
居た。
それから
余は
氣を
取直して。
聞與惣次は大いに喜び然ば御
途中に
待受て直に願はゞ萬一傳吉が助かることもあらんか
且はお專が氣をも
取直させんと其のことを
蝶も
何も
居ない、
兄は
此處だから、
殺しはせぬから
安心して、な、
宜いか、
見えるか、
兄だよ、
正雄だよ、
氣を
取直して
正氣になつて、お
父さんやお
母さんを
安心させて
呉れ、こら
少し
聞分けて
呉れ
と
熟と
見て、
小刀を
取直した。
記し終りて
確く
封じ枕元なる
行燈の臺に
乘置稍しばし又も
泪に暮たりしが斯ては果じ我ながら
未練の泪と氣を
取直し袖もて
拭ひ立上り母の
紀念の
懷劍を
御兩親がどれほどお
歎きなさるかを
考へて、
氣を
取直して
呉れ、え、
宜いか、お
前が
心で
直さうと
思へば
今日の
今も
直れるではないか、
醫者にも
及ばぬ、
藥にも
及ばぬ、
心一つ
居處をたしかにしてな