うら)” の例文
しかしルナパークのうしろから活動写真の前へ出た時は、こりゃうらないしゃなどのいる所ではないと今更いまさらのようにその雑沓ざっとうに驚ろいた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
されば陰陽師が一八九うらのいちじるき、一九〇御釜みかま凶祥あしきさがもはたたがはざりけるぞ、いともたふとかりけるとかたり伝へけり。
彼等町を枯骨の上に建て、はじめてこの處をえらべるものにちなみ、うらによらずして之をマンツアと呼べり 九一—九三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「サンジョ」の「サン」は「うらさん」の算である、「算者」または「算所」と書くのが命名の本意に当たっていると思われる、彼らは卜占祈祷の表芸の他に
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
御寢みねませる時に、御夢にさとしてのりたまはく、「我が宮を、天皇おほきみ御舍みあらかのごと修理をさめたまはば、御子かならずまごととはむ」とかく覺したまふ時に、太卜ふとまにうらへて
左様さよう——そなたの人相、気魄きはくをうかがうに、一かたならぬ望みを持つものと観た——と、いうても驚くことはない——わしは、自体他人の運命さだめうらのうて、生業なりわいを立てるもの——何も
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
をとこにてもあれかしと敢果はかなきことうらなひて、表面うわべ無情つれなくつくれども、子安こやすのおまもなにくれと、ひとよりきてことそのまゝ、不案内ふあんないをとこなれば間違まちがひだらけ取添とりそへて、美尾みをはゝ萬端ばんたんたのめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きたる秋のみのりをうらなう点は、津軽つがるの山中の滝とも似ていた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
真男鹿まおしかの肩焼くうらにうらとひて事あきらめし神代をぞ思ふ
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
烏賊いかはゑびすの国のうらかた 重五
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
わろき日のうらも知るかに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
うらに知らるるごふかた
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
裁縫しごとをしていた婆さんは、針の手をやめて、大きな眼鏡めがねの上からにらむように敬太郎を見たが、ただ一口、うらないですかと聞いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一四九身禊みそぎして一五〇厭符えんぷをもいただき給へと、いざなひて陰陽師の許にゆき、はじめよりつばらにかたりて此のうらをもとむ。陰陽師うらかうがへていふ。わざはひすでに一五一せまりてやすからず。
しかし手のつけようのないなぞに気をむほど熱心なうらない信者でもないので、彼はどうにかそれを解釈して見たいと焦心あせ苦悶くもんを知らなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
離れても別状がないと落つきの根城をえて、咫尺しせき慈顔じがん髣髴ほうふつするは、離れたる親を、記憶の紙にあぶり出すのみか、える日を春に待てとのうらにもなる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仔細しさいもとより分らぬ。この男とこの女の、互に語る言葉の影から、時々にのぞき込んで、いらざる臆測おくそくに、うやむやなる恋の八卦はっけをひそかにうらなうばかりである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
易者えきしや大道だいだうみせして、徃來わうらいひとうへ一二錢いちにせんうらなふひとと、すこしもちがつた樣子やうすもなく、算木さんぎ色々いろ/\ならべてたり、筮竹ぜいちくんだりかぞへたりしたあと
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
往来の人の身の上を一二銭でうらなう人と、少しも違った様子もなく、算木さんぎをいろいろに並べて見たり、筮竹ぜいちくんだり数えたりした後で、仔細しさいらしくあごの下のひげを握って何か考えたが
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「恋に口惜くやしき命のうらを、盾に問えかし、まぼろしの盾」
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)