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冀
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こいねが
ふりがな文庫
“
冀
(
こいねが
)” の例文
此れ其友人門生等先師の墓標に文学博士の四字を記入せん事を
冀
(
こいねが
)
い其の訃を秘して
窃
(
ひそ
)
に学位授与の運動をなしたるによるものなりといえり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうして自分の
癒
(
なお
)
りつつある間に、容赦なく死んで行く知名の人々や惜しい人々を今少し生かしておきたいとのみ
冀
(
こいねが
)
っている。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後文中には「天地の大法官なるシャマシュの命に従い、朕は正義の光輝を国中に普及せしめんことを
冀
(
こいねが
)
う」とあるけれども
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
漠然と響いて
呉
(
く
)
れればいいと
冀
(
こいねが
)
つた。けれど声が変に熱い波動を帯びて
顫
(
ふる
)
へてゐた。明子は意識しながら、それをどうすることも出来なかつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
苟
(
いやしく
)
もこれを改良前進せずして、子弟の法政の学に赴くなからんことを
冀
(
こいねが
)
うは、
抑
(
そもそ
)
もこれ誤まれり(謹聴々々、大喝采)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
▼ もっと見る
どんなに私が
冀
(
こいねが
)
い、貴女はそれを祈って下さっても、お互い命のある限りは、生きて再び逢うことのできぬ、離れ離れの境遇にあるということが
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
天命なければ宝信なし、力を以て取るべからざるなりと、
陸賈
(
りくか
)
が
樊噲
(
はんかい
)
に語った通り(『西京雑記』三)、己れの力を量らずひたすら僥倖を
冀
(
こいねが
)
うが人情だ。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
俳句そのものの本来の性質から逸脱したものの新しさには重きを置かない。どこまでも俳句らしい俳句、そういうものの新しいことを
冀
(
こいねが
)
って居るのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかして帝政派の宣言にいわく、「内は万世不易の国体を保守し公衆の康福権利を鞏固ならしめ、外は国権を拡張し各国に対して光栄を保たんことを
冀
(
こいねが
)
い云々」
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
縁覚・声聞ともに自利のみを行じて、
灰身滅智
(
けしんめっち
)
を終局の本懐とする者であるから、無上道を求めて仏果を
冀
(
こいねが
)
うの菩薩の徒からみれば、自然にその下位に置かれてある。
俗法師考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
尤も安子夫人同様、上達を
冀
(
こいねが
)
うのではなくて、何なら早く諦めさせようという肚だから宜しくない。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いわんや快よく許可したまわざるときは、人民いかに
冀
(
こいねが
)
うといえども、せんすべなからん。
民選議院の時未だ到らざるの論
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
出来るなら辻永が永遠にこのバー・カナリヤに現われないことを
冀
(
こいねが
)
った。辻永が探偵に夢中になっている間にこの女を
誘
(
さそ
)
い出してどこかへ隠れてやろうかという
謀叛気
(
むほんぎ
)
も出た。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
互いに
倚
(
よ
)
りかかりっこで一体に纏まって行こうとするよりは、箇々が独立した存在で、互の間に放射される希望、信任、生気で、人生を暖かく溌溂たるものにして行こうと
冀
(
こいねが
)
う。
男女交際より家庭生活へ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
これ
素
(
もと
)
より誠意に出づる所にして、我国の利を
謀
(
はか
)
るには
非
(
あら
)
ず。それ、平和を行うは
懇
(
ねんご
)
ろに
好
(
よしみ
)
を通ずるに在り。
懇
(
ねんご
)
ろに
好
(
よしみ
)
を通ずるは交易に
在
(
あ
)
り。
冀
(
こいねが
)
わくは叡智を以て熟計し給わん事を。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
外
(
ほか
)
に対しては卑屈これ事とし、国家の
恥辱
(
ちじょく
)
を
賭
(
と
)
して、
偏
(
ひとえ
)
に一時の栄華を
衒
(
てら
)
い、百年の
患
(
うれ
)
いを
遺
(
のこ
)
して、ただ一身の
苟安
(
こうあん
)
を
冀
(
こいねが
)
うに
汲々
(
きゅうきゅう
)
たる有様を見ては、いとど感情にのみ
奔
(
はし
)
るの
癖
(
くせ
)
ある妾は
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
幸いにして列国は戦争に忙しく、日本は彼等の健全なる発展を
冀
(
こいねが
)
うが故に彼等の内政に干与する事を好まず、永い目でこれを看ている。けれどもこれが果して
何時
(
いつ
)
まで続くことであろうか。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
私は決して与へた農民を拘束する意味で斯う云ふのではないが併し自分としては出来得べくんば自分の土地解放の精神が漸次彼等に依つて拡大され発展し成長して行く事を
冀
(
こいねが
)
つて已まないのである。
狩太農場の解放
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
わたしの敢えて語らんと欲するのは、帝国劇場の女優を中介にして、わたしは
聊
(
いささか
)
現代の空気に触れようと
冀
(
こいねが
)
ったことである。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
太平の天地だと安心して、
拱手
(
きょうしゅ
)
して成功を
冀
(
こいねが
)
う
輩
(
はい
)
は、行くべき道に
躓
(
つまず
)
いて
非業
(
ひごう
)
に死したる失敗の
児
(
じ
)
よりも、人間の価値は
遥
(
はる
)
かに乏しいのである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
したがって美に対する
憧憬
(
あこがれ
)
が強く、当時の婦人は決して、勇敢なる子孫や賢明なる子女を欲しいとは
冀
(
こいねが
)
いませんでした。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
酷暑と言えば早く秋冷の候になる事を
冀
(
こいねが
)
い、酷寒と言えば早く春暖の候になる事を冀うのが人情であります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
同書二巻十五章、元日の条にいわく、この日皇帝以下貴賤男女皆白色を
衣
(
き
)
る、白を多祥として年中幸福を
享
(
う
)
けんと
冀
(
こいねが
)
うに因る。また
相
(
あい
)
遣
(
おく
)
るに白色の諸品を以てす。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一心に浄土を
冀
(
こいねが
)
うのほかまた何らの光明をも認め難きの状態となったが為に、これをその光明界に導き給う仏に帰依するの
殊
(
こと
)
に篤きに至ったのは、まことに無理ならぬ次第である。
特殊部落と寺院
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
而
(
しか
)
して婦人の激増はついにこの傾向を助長せずんば
已
(
や
)
まざるが故に、社会の粛清を
謀
(
はか
)
り純潔を愛し、兼ねて人類の進化と文明の発展とを
冀
(
こいねが
)
うものは、この婦人問題を等閑視することは出来ぬ。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
彼女はもう一ぺん村瀬の肉体を桃色のラムプのやうに燃え立たせようと試みた。静かな桃色の炎のなかにこの青年を眠り込ませようと
冀
(
こいねが
)
つた。彼女は以前にもまして熱い
愛撫
(
あいぶ
)
を村瀬に与へた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その時の平岡は、熱病に
罹
(
かか
)
った人間の如く
行為
(
アクション
)
に渇いていた。彼は
行為
(
アクション
)
の結果として、富を
冀
(
こいねが
)
っていたか、もしくは名誉、もしくは権勢を冀っていたか。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暮夜
(
ぼや
)
ひそかに思うことは、そなたの邸へ赴いて、親しくそなたの手を執って、改悔を促したいと切々
冀
(
こいねが
)
う。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
現住地田辺附近で、知人が水蛇らしいものを釣った事を聞くに、蛇らしくも魚らしくもあって定かならぬ。上述北国の水蛇は評判だけでも現存するや。諸君の高教を
冀
(
こいねが
)
う。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
これ余が
広重
(
ひろしげ
)
と
北斎
(
ほくさい
)
との江戸名所絵によりて都会とその近郊の風景を見ん事を
冀
(
こいねが
)
ひ、
鳥居奥村派
(
とりいおくむらは
)
の制作によりて衣服の模様器具の
意匠
(
いしょう
)
を
尋
(
たず
)
ね、
天明
(
てんめい
)
以後の美人画によりては
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
各地の同好諸賢、幸いに資料の供給を惜しみ給わざらんことを
冀
(
こいねが
)
うとしかいう。
オシラ神に関する二三の臆説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
彼は高尚な生活欲の満足を
冀
(
こいねが
)
う男であった。又ある意味に於て道義欲の満足を買おうとする男であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これ余が
広重
(
ひろしげ
)
と
北斎
(
ほくさい
)
との江戸名所絵によりて都会とその近郊の風景を見ん事を
冀
(
こいねが
)
ひ、
鳥居奥村派
(
とりいおくむらは
)
の制作によりて衣服の模様器具の意匠を尋ね、
天明
(
てんめい
)
以後の美人画によりては
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
実
(
げ
)
に実に土民のいい出せる
詞
(
ことば
)
なれども、全く私言にあるべからずと記せるなど考え出すと、昔は本邦でも弥勒の平等無差別世界を
冀
(
こいねが
)
う事深く、下層民にまで浸潤し、結構な豊年を祝い
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
世にも美しく不幸なる二基の
亡骸
(
なきがら
)
だけは、何とかして男爵夫人を探し出して一日も早く、その涙と
頬摺
(
ほおず
)
りの手に掻き抱かせてやりたいと
冀
(
こいねが
)
うもの、あながち私一人とは限らなかったであろう。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この権威を最後最上の権威であれかしと
冀
(
こいねが
)
うのは、我々の欲望であって、一般に通ずる事実ではない。これを事実にしてくれるものは、相手と公平なる三者である。
文芸委員は何をするか
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新聞記者をやめたる後は再びもとの如く歌舞伎座の楽屋に
入
(
い
)
らん事を
冀
(
こいねが
)
ひしかど敬して
遠
(
とおざ
)
けらるるが如くなりしかばここに意を決し志を改めて
仏蘭西
(
フランス
)
語稽古にと
暁星
(
ぎょうせい
)
学校の夜学に通ひ始めぬ。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
知りたいともかつて
冀
(
こいねが
)
わなかった印度の細かい事情がすっかり飲み込めて、ギラギラするような熱帯の風物下、英国の暴圧
裡
(
り
)
に生きる望みを失って酔生夢死の生活を送っている印度大衆の姿が
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ある人は比較的知の作用のみを働かす意識の連続を得て生存せんと
冀
(
こいねが
)
い、ついに学者になります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしが人より教えられざるに、
夙
(
はや
)
く学生のころから『
帰去来
(
ききょらい
)
の
賦
(
ふ
)
』を誦し、また『楚辞』をよまむことを
冀
(
こいねが
)
ったのは、明治時代の裏面を流れていた或思潮の為すところであろう。
栗本鋤雲
(
くりもとじょうん
)
が
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これすなわち私がもはやこの世に生きたいとは寸毫も願わぬ第一の理由であり、一日も早く私の最も熱愛する妻の屍体の眠るウベニア丘に、私もまた眠りたいと
冀
(
こいねが
)
う私の最大なる望みなのである。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
富貴
(
ふうき
)
を愛するものは必ずこの色を好む。栄誉を
冀
(
こいねが
)
うものは必ずこの色を
撰
(
えら
)
む。盛名を致すものは必ずこの色を飾る。
磁石
(
じしゃく
)
の鉄を吸うごとく、この色はすべての黒き頭を吸う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
書きたいと
冀
(
こいねが
)
った。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それで過度の興奮を
忌
(
い
)
んで、一夜の安静を
切
(
せつ
)
に
冀
(
こいねが
)
った。なるべく熟睡したいと心掛けて
瞼
(
まぶた
)
を合せたが、
生憎
(
あやにく
)
眼が
冴
(
さ
)
えて
昨夕
(
ゆうべ
)
よりは却って寐苦しかった。その内夏の夜がぽうと白み渡って来た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は此世界のどこかの主人公であるべき資格を有してゐるらしい。それにも
拘
(
かか
)
はらず、円満の発達を
冀
(
こいねが
)
ふべき筈の此世界が、却つて
自
(
みづか
)
らを束縛して、自分が自由に出入すべき通路を塞いでゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“冀(
河北省
)”の解説
河北省(かほくしょう、中国語:河北省、拼音:Héběi Shěng、英語:Hebei)は、中華人民共和国の省の一つ。省都は石家荘市。河北の省名は、黄河の北にあることに由来する。河北省の旧称冀州から、略称は冀。
(出典:Wikipedia)
冀
漢検1級
部首:⼋
16画
“冀”を含む語句
冀州
冀望
冀北
冀城
冀州城
冀北城
冀求
冀県
冀願
大將軍梁冀
梁冀
譚冀