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黒焦
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くろこげ
ふりがな文庫
“
黒焦
(
くろこげ
)” の例文
中やすみの風が変って、火先が井戸端から
舐
(
な
)
めはじめた、てっきり
放火
(
つけび
)
の正体だ。見逃してやったが最後、直ぐに番町は
黒焦
(
くろこげ
)
さね。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
焼味噌のすこし
黒焦
(
くろこげ
)
に成つたやつを茶漬茶椀かなんかに入れて、そこへ
熱湯
(
にえゆ
)
を
注込
(
つぎこ
)
んで、二三杯もやつて見給へ。大抵の風邪は
愈
(
なほ
)
つて
了
(
しま
)
ふよ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
結婚といふものは、不思議なもので、一度で
霊魂
(
たましひ
)
まで
黒焦
(
くろこげ
)
にしてこり/\するのもあれば、
性懲
(
しやうこ
)
りもなく
幾度
(
いくたび
)
か相手を
更
(
か
)
へて平気でゐるのもある。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と黒板にかいてある。さっきは別に腹も立たなかったが今度は
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
った。
冗談
(
じょうだん
)
も度を過ごせばいたずらだ。
焼餅
(
やきもち
)
の
黒焦
(
くろこげ
)
のようなもので
誰
(
だれ
)
も
賞
(
ほ
)
め手はない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妹は電車の中で、顔のくちゃくちゃに
腫
(
は
)
れ上った
黒焦
(
くろこげ
)
の男を見た。乗客の視線もみんなその方へ注がれていたが、その男は割と平気で車掌に何か訊ねていた。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
▼ もっと見る
燃え尽した書物がフィルムの逆転によって
焼灰
(
やけばい
)
からフェニックスのごとく甦って来る。巻き縮んだ
黒焦
(
くろこげ
)
の紙が一枚一枚するすると伸びて焼けない前のページに変る。
雑記帳より(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
半焼けの器物が無惨に散らばって、
黒焦
(
くろこげ
)
の木はプスプスと白い
蒸気
(
いき
)
を吹いていた。火元は確に台所らしく、放火の跡と思われる様な変った品物は一つも見当らなかった。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
扨
(
さ
)
て
其
(
そ
)
の
土偶
(
どぐう
)
※
何
(
なに
)
しろ
泥土
(
でいど
)
を
落
(
おと
)
して
見
(
み
)
るべしと、
車夫
(
しやふ
)
をして、それを
洗
(
あら
)
ひに
遣
(
や
)
つて
見
(
み
)
ると、
豈
(
あ
)
に
圖
(
はか
)
らんや、それは
獸骨
(
じうこつ
)
の一
部
(
ぶ
)
、
大腿骨
(
だいたいこつ
)
の
關節部
(
くわんせつぶ
)
が
黒焦
(
くろこげ
)
に
燒
(
や
)
けて
居
(
ゐ
)
るのであつたので
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
サア、
賓客
(
おきやくさん
)
、もう
暗
(
くら
)
くなりましたぜ、
大佐閣下
(
たいさかくか
)
もひどくお
待兼
(
まちかね
)
で、それに、
夕食
(
ゆふしよく
)
の
御馳走
(
ごちさう
)
も
悉皆
(
すつかり
)
出來
(
でき
)
て、
料理方
(
れうりかた
)
の
浪三
(
なみざう
)
めが、
鳥
(
とり
)
の
丸燒
(
まるやき
)
が
黒焦
(
くろこげ
)
になるつて、
眼玉
(
めだま
)
を
白黒
(
しろくろ
)
にして
居
(
ゐ
)
ますぜ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
と父は云ふのでしたが、私は竹村の蔵が焼けてもよかつた、具清の娘さんが
黒焦
(
くろこげ
)
の死骸などにならない方がよかつたと悲しがつて居ました。具清の死んだ若い女中の話も可哀想でした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ヴォワン・スチヴンス説にセマン人は以前
黒焦
(
くろこげ
)
にせる棒一本を毒蛇また虎の尸の上もしくは口の前に置き、あるいは木炭もて虎の条紋に触れ、
冥途
(
めいど
)
で虎の魂が人の魂に近づくを予防す。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
今まで深く茂った大きな
常磐木
(
ときわぎ
)
の森の間に、王宮と向い合って立っていた紅木大臣の
邸宅
(
やしき
)
は
住居
(
すまい
)
も床も立ち樹もすっかり
黒焦
(
くろこげ
)
になってしまって、数限りなく立ち並んだ
焼木杭
(
やけぼっくい
)
の間から
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
その
夜
(
よ
)
の八時何分か過ぎ、
手擲弾
(
しゅてきだん
)
に
中
(
あた
)
った江木上等兵は、全身
黒焦
(
くろこげ
)
になったまま、
松樹山
(
しょうじゅざん
)
の山腹に倒れていた。そこへ
白襷
(
しろだすき
)
の兵が一人、何か切れ切れに叫びながら、
鉄条網
(
てつじょうもう
)
の中を走って来た。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
河中に転落する
黒焦
(
くろこげ
)
の
梁木
(
はりぎ
)
に
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
ぶら下った奴は、下から波を打って鎌首をもたげたなりに、
黒焦
(
くろこげ
)
になっていた——君、急いでくれ給え、約四時間延着だ。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
弁護士はしながらも、すべて法律家の
霊魂
(
たましひ
)
は焼栗のやうに地獄の火で
黒焦
(
くろこげ
)
にされるものだと知つてゐたのだ。単にこの点だけでも彼には大統領の値打はあつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
すると、今湯気の立昇っている台の
処
(
ところ
)
で、
茶碗
(
ちゃわん
)
を抱えて、
黒焦
(
くろこげ
)
の大頭がゆっくりと、お湯を
呑
(
の
)
んでいるのであった。その
厖大
(
ぼうだい
)
な、奇妙な顔は全体が黒豆の粒々で出来上っているようであった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
昨年の変災の折、あれだけの生霊を
黒焦
(
くろこげ
)
にした被服廠——。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
後
(
あと
)
で
見
(
み
)
ると、
櫓
(
やぐら
)
の
兩脚
(
りやうあし
)
からこたつの
縁
(
へり
)
、すき
間
(
ま
)
をふさいだ
小布團
(
こぶとん
)
を
二枚
(
にまい
)
黒焦
(
くろこげ
)
に、
下
(
した
)
がけの
裾
(
すそ
)
を
燒
(
や
)
いて、
上
(
うへ
)
へ
拔
(
ぬ
)
けて、
上
(
うは
)
がけの
三布布團
(
みのぶとん
)
の
綿
(
わた
)
を
火
(
ひ
)
にして、
表
(
おもて
)
が
一面
(
いちめん
)
に
黄色
(
きいろ
)
にいぶつた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
但
(
たゞ
)
し
仔細
(
しさい
)
のない
小川
(
をがは
)
であつた。
燒杭
(
やけぐひ
)
を
倒
(
たふ
)
したやうな、
黒焦
(
くろこげ
)
の
丸木橋
(
まるきばし
)
も
渡
(
わた
)
してある。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
焦
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
“黒”で始まる語句
黒
黒子
黒繻子
黒人
黒煙
黒白
黒雲
黒檀
黒髪
黒奴