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飜
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かえ
ふりがな文庫
“
飜
(
かえ
)” の例文
新字:
翻
そういって、その瓶を目よりも高く差し上げると、また飛び跳ねる
馴鹿
(
トナカイ
)
の仔のように活溌に走り出した。素足の裏が白く白く
飜
(
かえ
)
った。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
カタリといって、
発奮
(
はずみ
)
もなく
引
(
ひっ
)
くりかえって、軽く転がる。その次のをフッ、カタリと
飜
(
かえ
)
る。続いてフッ、カタリと下へ。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青年も、美奈子が、——一度あんなに彼に親しくした美奈子が、また
掌
(
てのひら
)
を
飜
(
かえ
)
すように、急に再び
疎々
(
うとうと
)
しくなったことが、彼の責任であることに、彼も気が付いていなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そのうち
復
(
また
)
も博士の心は、
宛
(
さなが
)
ら物に誘われるように、
劇
(
はげ
)
しく劇しく波打った。博士はクルリと身を
飜
(
かえ
)
し、またも奥の方へ走り出した。石の廊下は斜角をなし、どこ迄もどこ迄も続いている。
木乃伊の耳飾
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
潮風が二人の袂と裾を
飜
(
かえ
)
している。
流石
(
さすが
)
に、避暑地に来たらしい感もした。
舞子より須磨へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
我
(
わが
)
作りたる者なれど
飽
(
あく
)
まで
溺
(
おぼ
)
れ
切
(
きっ
)
たる珠運ゾッと総身の毛も
立
(
たち
)
て
呼吸
(
いき
)
をも忘れ居たりしが、猛然として思い
飜
(
かえ
)
せば、
凝
(
こっ
)
たる
瞳
(
ひとみ
)
キラリと動く
機会
(
はずみ
)
に面色
忽
(
たちま
)
ち変り、エイ
這顔
(
しゃっつら
)
の美しさに迷う物かは
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
屹
(
きっ
)
と振向かっしゃりました様子じゃっけ、お顔の団扇が
飜然
(
ひらり
)
と
飜
(
かえ
)
って、
斜
(
ななめ
)
に浴びせて、嘉吉の横顔へびしりと来たげな。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
くるりと身を
飜
(
かえ
)
すと、スッと一飛び、トントントントントンと、梯子段を駆け下りてしまった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
袱紗
(
ふくさ
)
の
縮緬
(
ちりめん
)
が
飜然
(
ひらり
)
と
飜
(
かえ
)
ると、燭台に照って、
颯
(
さっ
)
と輝く、銀の地の、ああ、
白魚
(
しらうお
)
の指に重そうな、一本の舞扇。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下手
(
しもて
)
はまた、風に楊が葉裏を
飜
(
かえ
)
していた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
高い敷居に
褄
(
つま
)
も
飜
(
かえ
)
さず、裾が浮いて、これもするりと、あとは御存じの、あの奥深い、裏口まで行抜けの、
一条
(
ひとすじ
)
の長い土間が、
門形角形
(
かどなりかくがた
)
に、縦に
真暗
(
まっくら
)
な穴で。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それ毛だらけだ、わあ女の腕だなんて言いますが、何、その畳の隅が裏返るように目まぐるしく
飜
(
かえ
)
るんです。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その橋も、麓の道も、ただ白かった——と云って袖を
飜
(
かえ
)
した、手も手先も、また、ちらちらと雪である。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ああ、言いそうなこった。御守殿め、チョッ。」と膝を丁と
支
(
つ
)
くと、
颯
(
さっ
)
と掻巻の紅裏を
飜
(
かえ
)
す、お孝は
獅子頭
(
ししがしら
)
を
刎
(
は
)
ねたように、美しく威勢よく、きちんと起きて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(や、えいとこさ。)と、
草鞋
(
わらじ
)
の裏が空へ
飜
(
かえ
)
るまで、
山端
(
やまばた
)
へどっしりと、暖かい木の葉に腰を落した。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
発奮
(
はず
)
んで、ずるずると来た
奴
(
やつ
)
が、
若衆
(
わかいしゅ
)
の足許で、ころりと
飜
(
かえ
)
ると、クシャッと異変な声を出した。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と片手の畚を動かすと、ひたひたと音がして、ひらりと腹を
飜
(
かえ
)
した
魚
(
うお
)
の
金色
(
こんじき
)
の
鱗
(
うろこ
)
が光った。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鼠縮緬
(
ねずみちりめん
)
の
裾廻
(
すそまわし
)
、
二枚袷
(
にまいあわせ
)
の下着と
覚
(
おぼ
)
しく、
薄兼房
(
うすけんぼう
)
よろけ
縞
(
じま
)
のお
召縮緬
(
めしちりめん
)
、
胴抜
(
どうぬき
)
は絞つたやうな緋の竜巻、
霜
(
しも
)
に夕日の色
染
(
そ
)
めたる、
胴裏
(
どううら
)
の
紅
(
くれない
)
冷
(
つめた
)
く
飜
(
かえ
)
つて、引けば切れさうに
振
(
ふり
)
が
開
(
あ
)
いて
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
直ぐに稲葉家の露地を、ものに襲われた体に、慌しく、その癖、靴を浮かして、
跫音
(
あしおと
)
を
密
(
ひそ
)
めて、したしたと入ると、
門
(
かど
)
へ行った身を
飜
(
かえ
)
して、柳を透かしながら、声を忍んで、二階を呼んだ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と目を
蔽
(
お
)
うていた袖口をはらりと落すと、
瓦斯
(
がす
)
の
遠灯
(
とおあかり
)
にちらりと
飜
(
かえ
)
る。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
花やかな娘の笑声が、夜の底に響いて、また、くるりと廻って、手が流れて、
褄
(
つま
)
が
飜
(
かえ
)
る。足腰が、
水馬
(
みずすまし
)
の
刎
(
は
)
ねるように、ツイツイツイと刎ねるように坂くだりに
行
(
ゆ
)
く。……いや、それがまた早い。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山の根を
畝
(
うね
)
り、岩に躍り、
渚
(
なぎさ
)
に
飜
(
かえ
)
って、沖を高く中空に動けるは、我ここに天地の間に
充満
(
みちみち
)
たり、何物の怪しき影ぞ、
円
(
まどか
)
なる
太陽
(
ひ
)
の光を
蔽
(
おお
)
うやとて、大紅玉の悩める
面
(
おもて
)
を、
拭
(
ぬぐ
)
い洗わんと、苛立ち
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青い状袋の
上書
(
うわがき
)
をじっと見ながら、片手を垂れて
前垂
(
まえだれ
)
のさきを
抓
(
つま
)
んで上げつつ、素足に
穿
(
は
)
いた
黒緒
(
くろお
)
の下駄を揃えて立ってたが、
一寸
(
ちょっと
)
飜
(
かえ
)
して、裏の名を読むと、顔の色が動いて、横目に
框
(
かまち
)
をすかして
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
京染
正紺請合
(
しょうこんうけあい
)
とある足袋の裏を白く
飜
(
かえ
)
して、ほしほしと並べた三十ぐらいの
女房
(
にょうぼ
)
で、中がちょいと隔っただけ、三徳用の言った事が大道でぼやけて分らず……但し
吃驚
(
びっくり
)
するほどの大音であったので
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眉が薄く、鼻がひしゃげて、ソレその唇の厚い事、おまけに頬骨がギシと出て、歯を
噛
(
か
)
むとガチガチと鳴りそう。左の一眼べとりと
盲
(
し
)
い、右が
白眼
(
しろまなこ
)
で、ぐるりと
飜
(
かえ
)
った、しかも一面、念入の
黒痘瘡
(
くろあばた
)
だ。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浅葱を
飜
(
かえ
)
す白浪や。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飜
漢検1級
部首:⾶
21画
“飜”を含む語句
飜々
飜然
飜弄
飜筋斗
飜案
飜斗
飜斗返
飜訳者
飜訳
翩飜
飜意
飜譯
飜刻
飜牌
飜訳方
飜訳局
飜訳大監
飜魚
飜覆
飜躍
...