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顔付
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かおつき
ふりがな文庫
“
顔付
(
かおつき
)” の例文
旧字:
顏付
だから彼の顔からは、すぐさま笑いのかげがひっこんで、
顔付
(
かおつき
)
がかたくなった。彼は島の上へするどい
視線
(
しせん
)
をはしらせつづけている。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
名を兵蔵といって脊の高い眉の濃い、いつも
鬱
(
ふさ
)
いだ
顔付
(
かおつき
)
をして物を言わぬ男である。彼の妻は小柄の、
饒舌
(
しゃべ
)
る女で、眼尻が吊上っていた。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こんな話をきくと大概の人が
御愁傷様
(
ごしゅうしょうさま
)
でというような似たりよったりの
顔付
(
かおつき
)
をするものだが、ところがここにたった一人
天才になりそこなった男の話
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
冬の初めの或る日、水素の仕事も大分
進捗
(
しんちょく
)
していた頃のことである。先生は珍らしく少し興奮されたらしい
顔付
(
かおつき
)
で、実験室へはいって来られた。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
帰る時にはもう猿は米をといでしまって、それを
鍋
(
なべ
)
に移してたき火で煮ていました。そして若者の方へ、
真面目
(
まじめ
)
くさった
顔付
(
かおつき
)
でお
辞儀
(
じぎ
)
をしました。
キンショキショキ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
よくよく見ると見覚えのある毎日見る顔で、毎日見ているために何時の間にか忘れ果ててしまっているような
顔付
(
かおつき
)
で
しゃりこうべ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
すると、父は、平素の顔と変にちがった
顔付
(
かおつき
)
をして、私の頭を
撫
(
な
)
でて何か云おうとしたが、私には聞きとれなかった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
しかし
其様
(
そんな
)
事には目もくれずお
蔵
(
くら
)
の役人衆らしいお
侍
(
さむらい
)
は
仔細
(
しさい
)
らしい
顔付
(
かおつき
)
に若党を供につれ道の
真中
(
まんなか
)
を威張って通ると
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
父はこの言葉を
何遍
(
なんべん
)
も繰り返した。私は心のうちでこの父の喜びと、卒業式のあった晩先生の
家
(
うち
)
の食卓で、「お目出とう」といわれた時の先生の
顔付
(
かおつき
)
とを比較した。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
署長
(
しょちょう
)
の
顔付
(
かおつき
)
が
別
(
べつ
)
であったとか
思
(
おも
)
って、
何
(
な
)
んでもこれは
町
(
まち
)
に
重大
(
じゅうだい
)
な
犯罪
(
はんざい
)
が
露顕
(
あら
)
われたのでそれを
至急
(
しきゅう
)
報告
(
ほうこく
)
するのであろうなどと
極
(
き
)
めて、
頻
(
しき
)
りにそれが
気
(
き
)
になってならぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ただし趙家の
閾
(
しきい
)
だけは
跨
(
また
)
ぐことが出来ない——何しろ様子がすこぶる変なので、どこでもきっと男が出て来て、
蒼蝿
(
うるさ
)
そうな
顔付
(
かおつき
)
を見せ、まるで
乞食
(
こじき
)
を
追払
(
おっぱら
)
うような体裁で
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
折ふし徳蔵おじは
椽先
(
えんさき
)
で、
霜
(
しも
)
に
白
(
しら
)
んだ
樅
(
もみ
)
の木の上に、大きな星が二つ三つ光っている寒空をながめて、いつもになく、ひどく心配そうな、いかにも沈んだ
顔付
(
かおつき
)
をしていましたッけが
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
その紳士の
顔付
(
かおつき
)
は逞しく、長い髪の毛は茶褐色で、髯は左右に分れていた。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
見渡す限り、人影もなくて、ただ刈り
尽
(
つく
)
された田や圃は、漠然として目に見えるもの、すべての自然は
鬱
(
ふさ
)
いだ
顔付
(
かおつき
)
をしている。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鏡の中で顔を合わせた相手は、どことなく見覚えのある
顔付
(
かおつき
)
の人物だった。年齢の頃は三十四五にも見えた。鼻の下にぴんとはねた細いひげをはやしている。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
デミトリチの
顔付
(
かおつき
)
、
眼色
(
めいろ
)
などを
酷
(
ひど
)
く
気
(
き
)
に
入
(
い
)
って、どうかしてこの
若者
(
わかもの
)
を
手懐
(
てなず
)
けて、
落着
(
おちつ
)
かせようと
思
(
おも
)
うたので、その
寐台
(
ねだい
)
の
上
(
うえ
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
し、ちょっと
考
(
かんが
)
えて、さて
言出
(
いいだ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
人間とも
猿
(
さる
)
ともつかない
顔付
(
かおつき
)
をし、体のわりには妙にひょろ長い手足の先に、
山羊
(
やぎ
)
のような
蹄
(
ひずめ
)
が生えていて、まっ黒な
一重
(
ひとえ
)
の短い
胴着
(
どうぎ
)
の
裾
(
すそ
)
から、小さな
尻尾
(
しっぽ
)
がのぞいていました。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
私は自分の品格を重んじなければならないという教育から来た自尊心と、現にその自尊心を
裏切
(
うらぎり
)
している物欲しそうな
顔付
(
かおつき
)
とを同時に彼らの前に示すのです。彼らは笑いました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その中に一人の強そうな服を着けた青年が怒ったような
顔付
(
かおつき
)
でこう言ったのです。
不思議な魚
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
……時々、Kがこっちを向いて、ニヤリと眼を白くして冷たく笑った
顔付
(
かおつき
)
が、凄いというより、冷たかった。……
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私は食卓に着いた初めから、奥さんの
顔付
(
かおつき
)
で、事の
成行
(
なりゆき
)
をほぼ推察していました。しかしKに説明を与えるために、私のいる前で、それを
悉
(
ことごと
)
く話されては
堪
(
たま
)
らないと考えました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
廊下で主婦はふと皮肉めいた
顔付
(
かおつき
)
で、松岡を見戍りながら言った。
三階の家
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
と、アンドレイ、エヒミチは
悪
(
わ
)
るかったと
云
(
い
)
うような
顔付
(
かおつき
)
で
云
(
い
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「それになあ」とパイ軍曹はもったいらしい
顔付
(
かおつき
)
で
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人々は、心配そうな
顔付
(
かおつき
)
をして互に黙って独りこの世を離れて行く、娘の臨終の有様を見守るばかりであった。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そういう父親を憐むような
顔付
(
かおつき
)
をしていた。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
だが、モロは、それを
顔付
(
かおつき
)
には一向出さず
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
茫然
(
ぼんやり
)
とした
顔付
(
かおつき
)
をして人が
好
(
よさ
)
そうに
見
(
みえ
)
る。一日中古ぼけた長火鉢の傍に坐って身動きもしない。古い
煤
(
すす
)
けた
家
(
うち
)
で夜になると鼠が
天井張
(
てんじょうばり
)
を駆け廻る音が騒々しい。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
背の低い
眇目
(
びょうもく
)
の、
顔付
(
かおつき
)
のどことなくおっとりとした鼠色の服を着ていなさる、幾人の
兄弟
(
けいてい
)
や、姉妹があり、父や母は
何処
(
いずく
)
にどうして、
而
(
そ
)
して真面目な恋もあって
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
白髪の皺の寄った
顔貌
(
かお
)
が、何んだか死んだお婆さんに
遇
(
あ
)
った時のように懐しく思われた。正一は黙って、そう思いながら、不思議そうな
顔付
(
かおつき
)
をして、旅僧の顔を仰いで見ると
過ぎた春の記憶
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
最初は眼を
閉
(
つぶ
)
って、尖った唇で何か甘い物でも飲むような調子で
悠然
(
ゆったり
)
と吸い始めたが二口、三口目から、彼の
顔付
(
かおつき
)
は怖しく変って、口は耳許まで裂けたように薄黒い歯をむき出して
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、言うと乞食は
不審
(
いぶかし
)
そうな
顔付
(
かおつき
)
をして、立止って二郎の顔をつくづくと眺めて
迷い路
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お婆さんは、少しでもお金が儲かるなら、決していやな
顔付
(
かおつき
)
をしませんでした。
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
勇は
鬱
(
ふさ
)
いだ
顔付
(
かおつき
)
をして、天上に飛んでいる銀蜻蛉を欲しそうに眺めています。
百合の花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
柿村屋は、誰に
遇
(
あ
)
っても丁寧な物言いをして、さも親切らしいことをいった。おくらに対しても、やはり、あの苦み走った
顔付
(
かおつき
)
をして、極めて黙った落付いた態度をかえなかったものと思われる。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
眼の三角形な
険
(
けわ
)
しい
顔付
(
かおつき
)
の監督は、
憎々
(
にくにく
)
しそうに女を横目で睨んだ。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
顔
常用漢字
小2
部首:⾴
18画
付
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“顔”で始まる語句
顔
顔色
顔容
顔馴染
顔貌
顔立
顔面
顔触
顔料
顔回