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遠
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とほざ
ふりがな文庫
“
遠
(
とほざ
)” の例文
醜悪なる社界を罵蹴して
一蹶
(
いつけつ
)
青山に入り、怪しげなる
草廬
(
さうろ
)
を結びて、空しく俗骨をして畸人の名に敬して心には
遠
(
とほざ
)
けしめたるなり。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
加之
(
しかのみならず
)
、
較々
(
やや
)
完全に近かつた雅典の人間より、遙かに完全に
遠
(
とほざ
)
かつた今の我々の方が、却つて/\大なる希望を持ち得るではないか。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
山田
(
やまだ
)
は
元来
(
ぐわんらい
)
閉戸主義
(
へいこしゆぎ
)
であつたから、
其
(
そ
)
の
躯
(
からだ
)
が
恁
(
かう
)
云
(
い
)
ふ
雑務
(
ざつむ
)
に
鞅掌
(
わうしやう
)
するのを
許
(
ゆる
)
さぬので、
自
(
おのづ
)
から
遠
(
とほざ
)
かるやうに
成
(
な
)
つたのであります
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
段々近づく或は段々
遠
(
とほざ
)
かる汽車には、汽船とはまた違つた一種の活動味があつて、敏捷なる動物を想像せしめるのであつた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
利巧な連中は文界の
継児
(
まゝこ
)
である保雄と
交
(
まじは
)
る事が将来の進路に不利だと見て取つて
其
(
それ
)
と無く
遠
(
とほざ
)
かる者も少く無かつたが
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
▼ もっと見る
長吉
(
ちやうきち
)
は
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
思案
(
しあん
)
をしなほすつもりで、
折
(
をり
)
から近所の子供を得意にする
粟餅屋
(
あはもちや
)
の
爺
(
ぢゝ
)
がカラカラカラと
杵
(
きね
)
をならして来る
向
(
むか
)
うの
横町
(
よこちやう
)
の方へと
遠
(
とほざ
)
かつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
此時鎮守の森の陰あたりから、夜を
戒
(
いまし
)
める
柝木
(
ひやうしぎ
)
の音がかち/\と聞えて、それが段々向ふヘ/\と
遠
(
とほざ
)
かつて行く。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
汝は逍遙子に敬して
遠
(
とほざ
)
けられたるか。我は逍遙子が心を用ゐたることの深きに感ず。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
兄
(
あに
)
さん何して
居
(
ゐ
)
るのだと
舟大工
(
ふなだいく
)
の子の声を
懸
(
か
)
け
候
(
そろ
)
によれば
其
(
その
)
時の
小生
(
せうせい
)
は
兄
(
あに
)
さんに
候
(
そろ
)
如斯
(
かくのごと
)
きもの
幾年
(
いくねん
)
厭
(
あ
)
きしともなく
綾瀬
(
あやせ
)
に
遠
(
とほざ
)
かり
候
(
そろ
)
後
(
のち
)
は
浅草公園
(
あさくさこうえん
)
の
共同
(
きようどう
)
腰掛
(
こしかけ
)
に
凭
(
もた
)
れて
眼
(
め
)
の前を
行交
(
ゆきか
)
ふ
男女
(
なんによ
)
の
年配
(
ねんぱい
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
この燃えてゐる私の愛の火から
遠
(
とほざ
)
かれ
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
加之
(
しかのみならず
)
較々
(
やゝ
)
完全に近かつた
雅典
(
アテーネ
)
の人間より、遙かに完全に
遠
(
とほざ
)
かつた今の我々の方が、却つて/\大なる希望を持ち得るではないか。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
世の中が華文妙辞を
弄
(
もてあそ
)
ぶを事として、実際道徳に
遠
(
とほざ
)
かるを憂ふるに出でたる者なることをも承知して居たるなり。
人生の意義
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
貫一のこの人に向ひて親く物言ふ今夜の如き
例
(
ためし
)
はあらず、彼の物言はずとよりは、この人の
悪
(
にく
)
み
遠
(
とほざ
)
けたりしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
一度
(
ひとたび
)
別れたお
糸
(
いと
)
とは
互
(
たがひ
)
に異なる
其
(
そ
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
から
日
(
ひ
)
一
日
(
にち
)
と
其
(
そ
)
の心までが
遠
(
とほざ
)
かつて行つて、
折角
(
せつかく
)
の
幼馴染
(
をさなゝじみ
)
も
遂
(
つひ
)
にはあかの他人に
等
(
ひと
)
しいものになるであらう。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さては
出行
(
いでゆ
)
きし恨も忘られて、
二夜三夜
(
ふたよみよ
)
は
遠
(
とほざ
)
かりて、せめてその文を形見に思続けんもをかしかるべきを。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
看よ人間の歴史は、
恒
(
つね
)
に善き事をなして、恒に悪しき事を為すにあらずや。恒に真理に近づき、恒に真理に
遠
(
とほざ
)
かるにあらずや。恒に進歩して、恒に退歩するにあらずや。
頑執妄排の弊
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
私は階段を
上
(
あが
)
つた。
何處
(
いづこ
)
にしても廣大な建築物の内部に於て感ずる空氣の冷靜と日光から
遠
(
とほざ
)
かつた幽暗の氣とが、殊に仲店の賑ひを通り過ぎて來た身には一層強く感じられた。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
われ之を
悪
(
に
)
くむ。内界の紛擾せる時に、われは寧ろ外界の諸識別を
遠
(
とほざ
)
けて、暗黒と寂寞とを迎ふるの念あり。内界に
鑿入
(
さくにふ
)
する事深くして、外界の地層を没却するは自然なり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
見ることの
冷
(
ひややか
)
に、言ふことの
謹
(
つつし
)
めるは、彼が近来の特質にして、人はこれが為に
狎
(
な
)
るるを
憚
(
はばか
)
れば、
自
(
みづから
)
もまた
苟
(
いやしく
)
も親みを求めざるほどに、同業者は
誰
(
たれ
)
も誰も偏人として彼を
遠
(
とほざ
)
けぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
人間は自分より
遠
(
とほざ
)
かつたものを愛する自然の性情の爲す處であらうかと論じて
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
哲学の高致を解せざるが故に、愚物を
騙罔
(
へんまう
)
して文学を
遠
(
とほざ
)
くべしと謂ふ、斯くして一国の愛国心をも一国の思想をも一国の元気をも一国の高妙なる趣味をも
尽
(
こと/″\
)
く
苅尽
(
かいじん
)
して、以て福音を
布
(
し
)
かんとす
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
顔を見られるのが
厭
(
いや
)
さに、
一散
(
いつさん
)
に
通
(
とほ
)
りの
方
(
はう
)
へと
遠
(
とほざ
)
かつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
“遠”を含む語句
遠方
永遠
遠雷
遠近
迂遠
遠江
無遠慮
遠眼鏡
遠国
望遠鏡
遠灯
遠々
遠離
遠望
遠慮
遠退
遠山
待遠
遠路
遠吠
...