道筋みちすぢ)” の例文
横手よこて桟敷裏さじきうらからなゝめ引幕ひきまく一方いつぱうにさし込む夕陽ゆふひの光が、の進み入る道筋みちすぢだけ、空中にたゞよちり煙草たばこけむりをばあり/\と眼に見せる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
取建四方の道筋みちすぢへは與力同心等晝夜出役して往來わうらいの旅人うま駕籠かご乘打のりうちを禁じ頭巾づきん頬冠ほゝかぶりをも制し嚴重に警固せり天一坊方にては此樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんのお前様まへさまたばかりぢや、わけはござりませぬ、みづになつたのはむかふのやぶまでゞ、あと矢張やツぱりこれと同一おんなじ道筋みちすぢやままでは荷車にぐるまならんでとほるでがす。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
道筋みちすぢには處々ところ/″\はなばなれないへ隙間すきまちひさな麥畑むぎばたけがあつた。麥畑むぎばたけうね大抵たいてい東西とうざいかたちづけられてあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その道筋みちすぢに、おびたゞしくしづめたる材木ざいもくは、あたか退けるごとくに、さんみだしてさつ左右さいうわかれたのである。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さして來りければ道筋みちすぢ見物けんぶつやまをなしておびただしく既に御城代屋敷へ到り乘物のりもの玄關げんくわん横付よこづけにせん氣色けしき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
粘膜ねんまくのやうにあかうるほひをつた二つの道筋みちすぢつたひてつめたくれたはなかれすゝりながら、はしよこへて汁椀しるわん鹽辛しほから干納豆ほしなつとうつまんでくちれたり茶碗ちやわんなかいたりして幾杯いくはいかのめしつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
驛路えきろうますゞおと、しやんと道筋みちすぢながら、時世ときよといひ、大晦日おほみそか道中だうちうひつそりとして、兩側りやうがはひさしならぶる商賈しやうこいへまきそろへて根占ねじめにしたる、門松かどまつつらねて、としかみおくるといふ
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)