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道筋
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みちすぢ
横手の
桟敷裏から
斜に
引幕の
一方にさし込む
夕陽の光が、
其の進み入る
道筋だけ、空中に
漂ふ
塵と
煙草の
煙をばあり/\と眼に見せる。
取建四方の
道筋へは與力同心等晝夜出役して
往來の旅人
馬駕籠は
乘打を禁じ
頭巾頬冠りをも制し嚴重に警固せり天一坊方にては此樣子を
何のお
前様、
見たばかりぢや、
訳はござりませぬ、
水になつたのは
向ふの
那の
藪までゞ、
後は
矢張これと
同一道筋で
山までは
荷車が
並んで
通るでがす。
道筋には
處々離れ
離れな
家の
隙間に
小さな
麥畑があつた。
麥畑の
畝は
大抵東西に
形づけられてあつた。
其道筋に、
夥しく
沈めたる
材木は、
恰も
手を
以て
掻き
退ける
如くに、
算を
亂して
颯と
左右に
分れたのである。
指て來りければ
道筋は
見物山をなして
夥だしく既に御城代屋敷へ到り
乘物を
玄關へ
横付にせん
氣色を
粘膜のやうに
赤く
濕ひを
持つた二つの
道筋を
傳ひて
冷たく
垂れた
洟を
彼は
啜りながら、
箸を
横に
持ち
換へて
汁椀の
鹽辛い
干納豆を
抓んで
口へ
入れたり
茶碗の
中へ
撒いたりして
幾杯かの
飯を
盛つた。
驛路の
馬の
鈴の
音、しやんと
來る
道筋ながら、
時世といひ、
大晦日、
道中寂りとして、
兩側に
廂を
並ぶる
商賈の
家、
薪を
揃へて
根占にしたる、
門松を
早や
建て
連ねて、
歳の
神を
送るといふ