)” の例文
けれども実は私も心の中では怖いさ。何処どこから焼け始まってドンな事になるか知れぬと思うから、何処どこかにげる用意はして置かなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ほそあしのおかげではしるわ、はしるわ、よつぽどとほくまでげのびたが、やぶのかげでそのうつくしいつのめがさヽ引掛ひつかかつてとう/\猟人かりうどにつかまつたとさ。
「いや外ではとりがすおそれがあります、もはやお屋敷まわりに手配りもできていますから、ではごめんを蒙ります」
菊屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
われ慌てゝぐるを、少女はすかさず追ひすがりて、兩膝にて我身をしかと挾み、いやがりて振り向かむとする頭を、やう/\胸の方へ引き寄せたり。
と云うと生酔なまよいも酔が覚め、腰が抜けてげる事が出来ませんで、いながら板塀の側にふるえておりますと、剣術遣いはジリ/\ッと詰寄って参ったから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぢきげて来さへすりや、切れると云ふんぢやなし、すこし不好いやな夢を見たと思へば、それでも死ぬよりはましだらう、と私はさう申しますと、狭山さんは、それは詐取かたりだ……
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それやにせ大納言が通る、太いやつだ。こらしてやれ。」と、叫んで、おぢいさんに石を投げたり、打つてかゝつてきましたので、おぢいさんは、はう/\のていげだしました。
拾うた冠 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
ロミオ いかにも、きてをられぬぢゃ。なればこそ此墓こゝへはた。いやなう、わか命知いのちしらずのもの手出てだしをなさるな。はやうおげなされ。この亡者達もうじゃたちことおもうておそれたがよい。
そうですから容易にげることも出来ずその石牢の中で苦しんで居るので、折々この世の日影を見るような事が出来ると、必ず打ち叩かれるか恐ろしい拷問ごうもんに遇わされるそうです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
相手にならねば、はなはだ機嫌がわるい※から、余義なくその手を押さえそうにすれば、たちまちきゃッきゃッと軽忽きょうこつな声を発し、高く笑い、遠方へげ、例のまぶちの裏を返して、ベベベーという。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
譬へば関東には「げ水」の実在が信ぜられて居た。それは、先へ行けば行く程、水が逃げて行くと考へられて居たものである。又「入間イルマ言葉」なども、大分後になつて、歌枕に這入つて来た。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「おれのつのはなんてうつくしいんだらう。だが、このあしほそいことはどうだろう、もすこしふとかつたらなア」と独語ひとりごといつた。そこへ猟人かりうどた。おどろいて鹿しかげだした。
これだけは端金はしたで出して置くと仰しゃったのを側で聞いておりまして、不図ふと悪い了簡を出して、お包を持ってげましたが、中にお書付でもってはお気の毒でございますから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
イヤ/\気楽な所ではない、僕は命掛けだ。君達は戦うとも和睦しようとも勝手にしなさい、僕は始まると即刻そっこくげて行くのだからといったら、加藤がプリ/\おこって居たことがあります。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
も少しはるとつたやうな多芸たげい才子さいしで、学課がくくわ中以上ちういじやう成績せいせきであつたのは、校中かうちう評判ひやうばんの少年でした、わたしは十四五の時分じぶんはなか/\のあばれ者で、課業くわげふの時間をげては運動場うんどうばへ出て
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ベンヺ ロミオ、はやう! はやげた! あれ、市人まちびとさわぎはじむる。チッバルトは落命らくめいぢゃ。狼狽うろたへてゐるところでない。とらへられたならば、領主りゃうしゅ死罪しざい宣告せんこくせう。はやちた、はやう/\!
げ出す途中ではぐれてしまい、今日が日まで行方が知れないから、※々だん/\手分けをして捜がしたが、何うしても知れなかったのが、不図山の宿の山形屋という宿屋に泊っていた客が
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かう執着とつつかれでもするやうな気がして、あの、それ、く夢で可恐おそろしい奴なんぞに追懸おつかけられると、げるには迯げられず、声を出さうとしても出ないので、どうなる事かと思ふ事がありませう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いよ/\戦争になってげる時にその家をかついで行かれるものでない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
何処どこげようぞ、かくれようぞ。
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
側にいた年齢としごろ廿二三で半合羽はんがっぱを着ている商人体あきんどていの男が、草鞋のよごれたのを穿いて頬冠ほうかむりをしながら、此の男も出に掛りますと、突然いきなり傍にあった角右衞門の風呂敷包を引攫ひっさらってげましたから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それは如何いかにお可愛かはいいのか存じませんけれど、一旦愛相あいそつかしてげて行つた女を、いつまでも思込んで遅々ぐづぐづしてゐらつしやるとは、まあ何たる不見識な事でせう! 貴方はそれでも男子ですか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そうで無いにしても表で暴れて家をゆすぶると家が潰れるでしょう、奴の力は大した者だから、やアというとうちに地震がって打潰ぶっつぶされてしまいます、なんにしてもうちにいると面倒だからげて下さい、え
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ヤレの旦那を取れ、此の旦那の妾になれと今まで云われた事は何度あるか知れやしないが、漸々よう/\云抜けては置いたが、辛くって/\今日は駈出そうか、明日はげようかと思った事もあったけれど
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)