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衷心
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ちゅうしん
ふりがな文庫
“
衷心
(
ちゅうしん
)” の例文
K大耳鼻科のお仕込みもさる事ながら、彼女は実に天才的の看護婦である事を発見させられて、
衷心
(
ちゅうしん
)
から舌を巻かされたのであった。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
我らの
衷心
(
ちゅうしん
)
が
然
(
しか
)
囁くのだ。しかしながらその愉快は必ずや我らが汗もて血もて涙をもて
贖
(
あがな
)
わねばならぬ。収穫は短く、準備は長い。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
しかし予は
衷心
(
ちゅうしん
)
不憫
(
ふびん
)
にたえないのであった。ふたりの子どもはこくりこくり
居眠
(
いねむ
)
りをしてる。お光さんもさすがに心を取り直して
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
防護団にあると家庭にあるとを問わず、この防空第一線を死守されました皆様に、
衷心
(
ちゅうしん
)
から敬意を表して放送を終ります。JOAK
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あなたは
衷心
(
ちゅうしん
)
に確にソレを知ってお出です。夫人、あなたは其深い深い愛の
下
(
もと
)
に頭を
低
(
た
)
れて下さることは出来ないのでしょう乎。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
「それは、そうであろう。伊織も
衷心
(
ちゅうしん
)
からおよろこび申しあげる。多年の本懐を達せられた御老人の心中こそ察せられるなあ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
修業の仕方一つでその人々と同じものか、或いは似ていて自分が
衷心
(
ちゅうしん
)
求めている神秘を確に自分の中に持ち来せるのである。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
勝豊は、養父と秀吉との関係が日にまして険悪になりつつある情勢にたいし、
衷心
(
ちゅうしん
)
、憂いていたところだったのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでわれわれは、彼らの命が助かることを
衷心
(
ちゅうしん
)
から希望する者であり、そのためには常に尽力を惜しまない者である。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
同時に、一種の弱点を持ったこの兄さんを、私は今でも
衷心
(
ちゅうしん
)
から敬愛していると固く信じて疑わないのであります。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私がこれから物語ろうと思ういきさつの男女も、このような微笑の初夜を得るように、私は
衷心
(
ちゅうしん
)
から祈っている。
花燭
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
友を以て全く己と等しきものと思い、友はわが
衷心
(
ちゅうしん
)
を
悉
(
ことごと
)
く了解しくれるならんと予期していた。しかるにこの予期は裏切られて彼は
大
(
おおい
)
なる失望を
味
(
あじわ
)
った。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
アメリカ機密局は、したがってF3号の一団は、日本の隣組がそういう風にわれわれに好都合な方向に進んで行くことを
衷心
(
ちゅうしん
)
より希望しているのであります。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
宇治山田の米友という
代物
(
しろもの
)
が、ここと同じところにいて、出て行く船と伊勢の国をながめて
衷心
(
ちゅうしん
)
から憤っていたはずですが、それには充分に憤るべき理由があり
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何の
憚
(
はばか
)
るところなく善事を
行
(
や
)
るであろうが、普通人はしばしば善事をするのでなく、たまたま
衷心
(
ちゅうしん
)
より世のためだと思うことをすると、一方に
臆病
(
おくびょう
)
の考えが起こり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その
腹蔵
(
ふくぞう
)
のない態度にわたしは
衷心
(
ちゅうしん
)
から感謝し、また、わたしの希望に対して紳士的の許可をあたえてくれたことをも感謝して、わたしは自分の望むものを手に入れることになった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
どうせ病人に逢えないのにその
家人
(
かじん
)
をして応接に忙殺せしむるのも気の毒だから私は御見舞に出ないけれども先生の御全快を祈って
窃
(
ひそか
)
に
衷心
(
ちゅうしん
)
を
苦
(
くるし
)
めておりますと見舞状を出しておいた。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
獄舎制度も面白くないが、教育制度も
甚
(
はなは
)
だ面白くない。まるきり心霊の知識を欠ける人類は半盲人である。到底
碌
(
ろく
)
な考えの浮ぶ筈がない。私は
衷心
(
ちゅうしん
)
から、日本国民よ、
何所
(
どこ
)
に行くと叫びたい。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
孝悌は道(すなわち仁)の本であるが、その孝悌を実現するに当たって、単に外形的に言葉や表情でそれを現わしたのではだめである。父母兄弟に対し
衷心
(
ちゅうしん
)
からの愛がなければ孝悌ではない。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
人間は不正な事に満足し得る人間ではない。悲惨な事や
淋
(
さび
)
しみに冷やかな人間ではない。圧迫や争闘は
衷心
(
ちゅうしん
)
からの求めではない。今の世は不純な勢いを
酵
(
かも
)
して、心ならずも醜い生活を続けている。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
こはかかる有様を見せしめなば妾の所感
如何
(
いかが
)
あらんとて、磯山が
好奇
(
ものずき
)
にも
特
(
こと
)
に妾を呼びしなりしに、妾の怒り思いの
外
(
ほか
)
なりしかば、同志はいうも
更
(
さら
)
なり、
絃妓
(
げんぎ
)
らまでも、
衷心
(
ちゅうしん
)
大いに
愧
(
は
)
ずる所あり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
衷心
(
ちゅうしん
)
から
湧起
(
わきおこ
)
る
武士
(
さむらい
)
の赤誠を
仄見
(
ほのみ
)
せて語ったその態度その
風采
(
ふうさい
)
。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
済まない済まない済まないと彼は
衷心
(
ちゅうしん
)
から後悔した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
余は、わが火星探険協会長に永年よせられたるアメリカ全国民の後援に対し、
衷心
(
ちゅうしん
)
感謝の意を表するものであります。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
気がついてみると、復一は両肘を
蹲
(
しゃが
)
んだ
膝頭
(
ひざがしら
)
につけて、
確
(
かた
)
く
握
(
にぎ
)
り合せた両手の指の節を更に口にあててきつく噛みつつ、
衷心
(
ちゅうしん
)
から祈っているのであった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『万々一、そうした事の起った場合は、一同、
静粛
(
せいしゅく
)
に御吟味を願い出で、赤穂引渡し以後の始末、われ等の
衷心
(
ちゅうしん
)
、ただ
真直
(
まっすぐ
)
に申し出るほかはござるまい』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
衷心
(
ちゅうしん
)
から悪いこととは信じきれないで、愛せねばならぬ人を愛することも、恋せずにはいられない人を恋するのも同じことである——そこで、この奇妙なる関係が
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
衷心
(
ちゅうしん
)
から疑い出す一方に、時折り彼を呼びかけるその声が、果して自分の声だかどうだかを、的確に聞き分けてやろうと思って、ショッチュウ心掛けていたものであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わしはただもう滅多無性に川村をほめ上げ、彼の幸運を祝し、かくの如く富裕にして趣味豊なる青年紳士を、我が社交界に迎え得たことは、
衷心
(
ちゅうしん
)
より愉快に耐えぬ所である。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
世の中にはいろんな人がいるが、
衷心
(
ちゅうしん
)
から尊敬に値して、なんでも秘密をうちあけて智恵を借りる
畏友
(
いゆう
)
は、風来坊泰軒居士と、この湯殿のラスプチン愚楽老人以外にはない——こう考えている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
人間は不正な事に満足し得る人間ではない。悲惨な事や
淋
(
さび
)
しみに冷やかな人間ではない。圧迫や争闘は
衷心
(
ちゅうしん
)
からの求めではない。今の世は不純な勢いを
酵
(
かも
)
して、心ならずも醜い生活を続けている。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
衷心
(
ちゅうしん
)
からそう思われた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
衷心
(
ちゅうしん
)
から恥じ入ったふうで、そこから越後の
国府
(
こう
)
まで、一行に
従
(
つ
)
いてきてしまったのみか、以来、配所のあばらやに
侍
(
かしず
)
いて、ひたすら念仏教に参じていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らの
衷心
(
ちゅうしん
)
からほとばしり
出
(
い
)
でた言葉であることが
肯
(
うなず
)
かれもし、そして又、そのように
途方
(
とほう
)
もない夢を
画
(
えが
)
くことによって僅かに自分を慰めなければならぬほど
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
前の養母にも一度
衷心
(
ちゅうしん
)
感謝を
披瀝
(
ひれき
)
したといふのは、
享和
(
きょうわ
)
元年彼は六十八歳になつたが、この年齢は大阪の歌島稲荷社の神が彼に与へた寿命の尽きる歳であつた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
好きといったところで、惚れたの腫れたのというわけではないが、おたがいにどうしても
衷心
(
ちゅうしん
)
から憎み合えないような何物かがあることを、おたがいに気がつきません。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と若い親方が五尺ばかりの長さの溜息を
吐
(
つ
)
いた。
衷心
(
ちゅうしん
)
から感心してしまったかのように……。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
でも正成の責任はそれで消えぬ、この正成の……と笠置の過去をかえりみたとき、彼ははっと、いまの
衷心
(
ちゅうしん
)
を訴えうるただひとりの御一人を胸のうちに見つけていた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ともかくもその場はお君を取鎮め、万事を我に任せろと頼もしいことを言って力をつけたものの、兵馬自身によくよく
衷心
(
ちゅうしん
)
を叩いて見ると、それは甚だ
覚束
(
おぼつか
)
ないことです。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
という心持ちを
衷心
(
ちゅうしん
)
から表明しているかのように見えた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
然るに、恨むらくは、兵少なく、地利あらず、いま一陣にやぶれて、臣孔明に
万恨
(
ばんこん
)
を託され、江水の縁を頼って、呉に合流せんことを
衷心
(
ちゅうしん
)
ねがっているわけであります。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駒井の
面
(
かお
)
を見ていると、むらむらとして、
衷心
(
ちゅうしん
)
の憤りと、憎しみとが、湧き起るのを
禁
(
と
)
めることができないと見えて、その
拳
(
こぶし
)
がワナワナと動いて、
頓
(
とみ
)
には口も
利
(
き
)
けないでいるのを
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
衷心
(
ちゅうしん
)
から吸い付けられてしまっていた。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大きな慈悲の眼をもって、働きかけていただきたいと、
衷心
(
ちゅうしん
)
からお願い申すわけであります
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人の風流人は、風流の地に落ちないことを
衷心
(
ちゅうしん
)
よろこびに堪えなかったようです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
つい、
他事
(
よそごと
)
のみ申し上げたが、そうした自分の
衷心
(
ちゅうしん
)
です。……実は一昨日、伊勢守どのに拝顔の折、よほどお打明けして、と存じたが、貴僧にこう申すようには云えぬのでござった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君が
衷心
(
ちゅうしん
)
から動かされたような感動を、ここへ来て受け得られないところに、受け得られないで平々淡々たる親しみを感ずるところに、海の本色と、その偉大さがあるといってもいい。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は
衷心
(
ちゅうしん
)
にきざまれました……徹底的のところには、すべての人間相が、少しも姿を隠さずに、眼前に現われて来ます、誰も荒海の漁師の子に、
阿媚
(
あび
)
と
諂佞
(
てんねい
)
を捧げるものはありません
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
車舎人
(
くるまとねり
)
として、都で仕えた藤原忠平を、心にたよって——摂関家への、上訴と、そして情状の酌量をも仰いだ——彼としては、一字一行も、涙なきを得ない、
衷心
(
ちゅうしん
)
を
吐露
(
とろ
)
した文書である。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「臣の弟孔明は、陛下に仕えて、久しく蜀にあります。故に、余人より幾分か、陛下のご
眷顧
(
けんこ
)
も仰がれようかと、主人孫権が、特に不肖を使いとなして、呉の
衷心
(
ちゅうしん
)
を申しあげる次第でございます」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“衷心”の意味
《名詞》
衷 心(ちゅうしん)
心の奥底。
(出典:Wiktionary)
衷
常用漢字
中学
部首:⾐
9画
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
“衷”で始まる語句
衷
衷情
衷甸
衷裡
衷甸両牡
衷甸兩牡