いたし)” の例文
... なかなかサッパリして美味おいしゅうございますよ」玉江嬢「ロールキャベツというものはちょいとやわらか美味おいしいものですがあれはどういたします」
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
切害せつがいいたし候に相違無之儀と存じ奉つり候に付何卒なにとぞ御慈悲を以て兩人の解死人げしにん御吟味下ごぎんみくだおかれ候樣仕つり度依之此段願ひ上奉つり候以上
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一昨夜なども徹夜していはゆる事宜を弁理候始末ほとほと閉口いたし候うちに自ら一種のおもしろみさすがになきにしもあらず
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
引払ひ候あいだ明後日夕景よりいつもの連中ばかりにていささ新屋しんおく落成のしるしまで一酌いっしゃくいたしたくぞんじ候間御迷惑ごめいわくながら何とぞ御枉駕ごおうがの栄を得たく懇請たてまつり候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
田舎の者が元勲を崇拝し大臣をえらい者に思い政治上の力量も識見も元勲大臣が一番に位する者と迷信いたし候結果
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
天守てんしゆおいては、かね貴女あなた双六すごろくつてなぐさみたいが、御承知ごしようちなければ、いたしやうもかつたをりから……ちやう僥倖さいはひ、いやもとより、もとよりのぞまをところ……とある!
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かんしんいたし候ゆえ文して申遣もうしつかわし参らせそろ左候さそうらえば日にまし寒さに向い候えどもいよいよかわらせなく相くらされこのかたも安心いたしおり候ととさんともうしかかさんと申誠に誠に難有ありがたく………
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
よろしい! 不用いらなけゃ三円も上げんばかりだ。泣くな、泣くな、可いじゃないか母上おっかさんの方からおやでもない子でも無いというのなら、いたしかたもないさ。無理も大概にしてもらわんとな」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
おんめもしいたし…何という字だろう…御うれしく……はてな、御めしがうれしいとは何ういう訳だろう、それから…そんじじょう…※…サア此のせむしのような字は何とか云ったッけねえおめえさん
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
次いで同じ月の六日に、幕府はおん医師即ち官医中有志のものは「阿蘭オランダ医術兼学いたし候とも不苦くるしからず候」と令した。翌日また有馬左兵衛佐さひょうえのすけ道純みちずみ家来竹内玄同たけうちげんどう、徳川賢吉けんきち家来伊東貫斎かんさいが奥医師を命ぜられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
汝等が執持とりもち致せしも同前なりしかるに九助は其等の儀をいからずして速かに離別に及び父が遺言ゆゐごんおもんじ不埓ふらちの伯父女房等に大切たいせつの金子を配分はいぶんいたし遣たるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
真淵は歌につきては近世の達見家にて、万葉崇拝のところなど当時にありて実にえらいものに有之候へども、せいらの眼より見ればなほ万葉をもめ足らぬ心地ここちいたし候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
取り万事はなはだものうく去年彩牋堂竣成しゅんせい祝宴の折御話有之候薗八節そのはちぶし新曲の文章も今以てそのまゝ筆つくることあたはず折角の御厚意無にいたし候不才の罪御詫おわび致方いたしかた無御座ござなく候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
引取嫁にいたしくれ候大恩は勿々なか/\私し一生の中に報じられ間敷まじくと存じ心の及ぶだけは孝行をつくし度心得に候處うんしくしうと暫時しばしの中に失ひ其上借財多く出來やむことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗匠的俳句と言えばただちに俗気を連想するがごとく、和歌といえばただちに陳腐を連想いたし候が年来の習慣にて、はては和歌という字は陳腐という意味の字のごとく思われ申候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
この事は非常に秘密にいたしをり候やうにうけたまわりをり候が実は今度東京の慶応義塾にてその文学部を大刷新しこれより漸々ようよう文壇において大活動をさむとする計画これありそれにつき文学部の中心となる人物を
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
歌らしき歌は一首もあい見え不申もうさず候。かつてある人にかく申し候ところその人が「川風寒く千鳥鳴くなり」の歌はいかがにやと申され閉口いたし候。この歌ばかりは趣味ある面白き歌に候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)