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膾炙
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かいしゃ
ふりがな文庫
“
膾炙
(
かいしゃ
)” の例文
とあるのは人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
した詩句で、秦始皇を
弑
(
しい
)
そうとして壮士
荊軻
(
けいか
)
が
燕
(
えん
)
の太子の燕丹に易水のほとりで分れた事蹟を咏じたのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
また従来から久しく人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
し
来
(
きた
)
って口に慣れているので、今殊更にこれを改めなくてもあえて不都合を感じないからでもあった。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
たとえば人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
した「やは肌の」の歌にしろ、そこには、綿々たる訴えはなくて、自分からの働きかけの姿があり、その働きかけは
婦人と文学
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ということを、村長さんや、在郷軍人分会の会長さんたちに依って、村人を、特に若い青年を憤起させ、
膾炙
(
かいしゃ
)
せしめたから、私達小児まで
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
する『自然』についての小論の中で、ゲーテは云ふ、「過去も未来も自然は知らない。現在はそれの永遠である。」
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
▼ もっと見る
この人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
している周知の聖句をさえ汝らは知らぬのか、と言われつつイエス様はキッとなって祭司長、学者、長老たちを見渡された。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
急遽
(
きゅうきょ
)
単独航海をやめて
護送船団編制
(
コンボイシステム
)
に改めさせたことは、あまねく人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
しているところであるが、当時独逸軍令部の秘密命令を受けて
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
六十六 商業社会や産業社会で、日頃
大達者
(
おおだっしゃ
)
と立てられてその名前は家々の守護神の様に人の口に
膾炙
(
かいしゃ
)
している大紳商、大紳士も、様は無い。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
例の「きり/″\すなくや霜夜のさむしろに」の歌が
人口
(
じんこう
)
に
膾炙
(
かいしゃ
)
している通り、秋の虫の中ではコオロギが冬まで生延びることになっている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
ルナールの作品としては、この『博物誌』が『にんじん』に次いで人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
している。それにはいろいろの理由がある。
博物誌あとがき
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
主人窓外有
二
芭蕉
一
。これ人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
する
少杜
(
しょうと
)
の詩なり。また
憶
(
おも
)
ふ
杜荀鶴
(
とじゅんかく
)
が、半夜燈前十年事。一時和
レ
雨到
二
心頭
一
。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“二条河原落書”は、文辞からみても、そう学識がある者の
業
(
わざ
)
ではない。けれど、七五調なので、覚えよく、
謡
(
うた
)
いやすいので、すぐ人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
し
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はこのリドリング地方と云う名前が、僕が数日の間に、全英国の人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
した言葉となってしまった物語を、そのままここに述べてみることとする。
暗号舞踏人の謎
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
なんらかたとえ話となって日本人の口に
膾炙
(
かいしゃ
)
していたかも知れない、それを元就が聞き知っていて、自分の
最期
(
さいご
)
の遺言に利用したものと見られないこともあるまい
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
の一句は古今の傑作として人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
する所、馬丁走卒もなほかつこれを知る。しかもその意義を問へば一人のこれを説明する者あるなし。今これが説明を聴くを得んか。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
この他、『唐詩選』の
李于鱗
(
りうりん
)
における、百人一首の
定家
(
ていか
)
卿における、その
詩歌
(
しいか
)
の名声を得て今にいたるまで人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
するは、とくに選者の学識いかんによるを見るべし。
読倫理教科書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
後世田沼主殿頭が、まことにみじめに失脚した時、それを諷した阿呆陀羅経が作られ、一時人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
したが、それを作ったのが貝十郎であると、当時ひそかに噂された。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、これらは、余り人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
しすぎて居りますから、ここにはわざと申上げません。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『来たか、庄さん、待ってた、ホイ』という
人口
(
じんこう
)
に
膾炙
(
かいしゃ
)
した文句があるんだ。名倉君はそれをもじったんだ。『橘高、庄さん、待ってた、ホイ』さ。うまいよ。
当意即妙
(
とういそくみょう
)
じゃないか?
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
では、人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
している中里介山君の「大菩薩峠」の内から引例して見よう——。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
されば当時の武将たちが彼等を間牒に放った例は諸書に散見するのであって、分けても
陶晴賢
(
すえはるかた
)
がめくら法師を間者として毛利
元就
(
もとなり
)
の行動を知ろうとした話は、最も人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
している。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
門人
浦無窮
(
うらむきゅう
)
に描かしめたる肖像の自賛文に至っては、彼が一生の抱負と特性とを視るに足るべきもの、
吾人
(
ごじん
)
はその文の既に人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
したるに拘らず、これを掲載するを禁ずる
能
(
あた
)
わず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「牡丹燈籠」は拙作『圓朝』の中でも記しておいたとおり、最も人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
された代表作である上に、「累ヶ淵」「皿山畸談」とともに今日のこっているものの最古の作品にかかっている。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
支那の詩は
李白
(
りはく
)
にしろ、
杜甫
(
とほ
)
にしろ、日本人に
膾炙
(
かいしゃ
)
されているのは知るごとくである。自然観に、人生観に、同じきがためだ。これを見ると、東洋は元一国という感じさえ起こるのである。
日本的童話の提唱
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
卒業の後東西に
徂徠
(
そらい
)
して、日に中央の文壇に遠ざかれるのみならず、一身一家の事情のため、
擅
(
ほしいま
)
まに読書に
耽
(
ふ
)
けるの機会なかりしが故、有名にして人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
せる典籍も大方は名のみ聞きて
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さのさぶしの「花づくし、
山茶花
(
さゞんか
)
、桜か、水仙か」及び、しののめぶしの「蒸汽ャ出て行く、煙は残る」程度、人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
した文句だが、高野斑山博士の『俚謡集拾遺』によると、これには
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
オール博多の人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
する事になったのだから痛快中の痛快事である。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
チェーホフの数ある作品の中でも最も
愛誦
(
あいしょう
)
され、最も人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
した作品であろう。トルストイがこれを四度も続けさまに朗読して、しかも少しも
倦
(
う
)
まなかったという逸話は余りにも有名である。
「可愛い女 犬を連れた奥さん 他一編」あとがき
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
手習いがいやなのではなく、
寺院
(
おてら
)
の
夫人
(
だいこく
)
さんが、針ばかりもたせようとするのが嫌だったのだ。もっとも、
近松
(
ちかまつ
)
や
西鶴
(
さいかく
)
の生ていた時代に遠くなく、もっとも義太夫
節
(
ぶし
)
の
膾炙
(
かいしゃ
)
していた
京阪
(
けいはん
)
地方である。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
赤人の此処の長歌も簡潔で
旨
(
うま
)
く、その次の無名氏(高橋
連
(
むらじ
)
虫麿か)の長歌よりも旨い。また此反歌は古来人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
し、叙景歌の絶唱とせられたものだが、まことにその通りで赤人作中の傑作である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
当時諺となって人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
したものであるまいか。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
どうかするとその警句が人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
したものだ。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
フランクリンの凧の逸話は人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
しているが、一七五二年の九月の暴風雨のその一夜にいたる迄には、ギリシャ人たちが
琥珀
(
こはく
)
の玉をこすっては
科学の常識のため
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
行水を捨てる句として最も
人口
(
じんこう
)
に
膾炙
(
かいしゃ
)
したのは、
鬼貫
(
おにつら
)
の「行水のすてどころなし虫の声」であろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
ということで、吾妻鏡を初め、盛衰記や平家物語でも、およそ人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
されているところだ。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宿昔青雲
ノ
志、蹉跎
ス
白髪
ノ
年、誰
カ
知
ル
明鏡裏、形影自
ラ
相憐
ム
〔
宿昔
(
しゅくせき
)
青雲
(
せいうん
)
の
志
(
こころざし
)
。
蹉跎
(
さた
)
す
白髪
(
はくはつ
)
の
年
(
とし
)
。誰か知る
明鏡
(
めいきょう
)
の
裏
(
うち
)
。
形影
(
けいえい
)
自
(
みずか
)
ら
相
(
あい
)
憐
(
あわれ
)
む〕とはこれ人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
する唐詩なり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
支那の初唐時代での有名な詩の「葡萄ノ美酒夜光ノ杯、飲マント欲シテ琵琶馬上ニ催ス、酔テ沙場ニ臥ス君笑フコト
莫
(
な
)
カレ、古来征戦幾人カ回ヘル」はよく人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
した七絶である。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
の色ごのみなどと云う
御渾名
(
おんあだな
)
こそ、御受けになりましたが、誠に御無事な御生涯で、そのほかには何一つ、人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
するような御逸事と申すものも、なかったからでございます。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
社長の説明の通り、来たか庄さんは余程
人口
(
じんこう
)
に
膾炙
(
かいしゃ
)
しているものらしい。
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この句は
人口
(
じんこう
)
に
膾炙
(
かいしゃ
)
する句なれども俗気多くして俳句とはいふべからず。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
玉
(
たま
)
の
盃
(
さかずき
)
底なきが如しなどの語は、今に至るまで人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
する所にして、
爾後
(
じご
)
武家の世にあっては、戸外兵馬の事に
忙
(
せ
)
わしくして内を修むるに
遑
(
いとま
)
なく、下って徳川の治世に儒教大いに興りたれども
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
かくの如く福岡の喜多流の今日在るは全く故只圓翁の遺徳を基礎としたもので、翁の遺訓は今以て他流の人士の間にも伝わり、翁の清廉無慾と翁の堂々たる芸風とは今も尚流内の人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
している。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
すべて人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
しているので、めったに除くわけにもゆかないが、平軍の敗走理由や、余りに分かりきった矛盾のある所は、思いきって、ぼくは古典の
弊
(
へい
)
を書き改めた。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勿論
(
もちろん
)
有名とか、有名でないとかいうのも比較的の話で、中には相当人に知られた作家の句も混っているが、その場合は
人口
(
じんこう
)
に
膾炙
(
かいしゃ
)
した、有名な句をつとめて避けることにした。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
枕山の号は人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
しているが故である。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
義経と梶原とが
逆櫓
(
さかろ
)
のことで、議論となり、味方喧嘩をひき起こしたという話になっているが、これはかなり人口にも
膾炙
(
かいしゃ
)
しているので、次回のことだが、あらかじめここで断っておきたい。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その中でも、大内
義隆
(
よしたか
)
の大内家壁書とか、細川幽斎の幽斎覚え書だの、細川
頼之
(
よりゆき
)
の武士訓などは、特に有名であり、家臣から世上に伝写されて、時人の座右の銘とされ、また人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
して行った。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“膾炙”の意味
《名詞》
膾 炙(かいしゃ)
生肉とあぶった肉。
人々の口に上りもてはやされること。
(出典:Wiktionary)
膾
漢検1級
部首:⾁
17画
炙
漢検1級
部首:⽕
8画
“膾”で始まる語句
膾
膾斬