“膾炙:かいしゃ” の例文
“膾炙:かいしゃ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治3
福沢諭吉2
芥川竜之介2
正岡子規2
夢野久作2
“膾炙:かいしゃ”を含む作品のジャンル比率
自然科学 > 植物学 > 植物学8.3%
社会科学 > 社会 > 家族問題・男性・女性問題・老人問題1.1%
文学 > 日本文学 > 日本文学0.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
行水を捨てる句として最も人口じんこう膾炙かいしゃしたのは、鬼貫おにつらの「行水のすてどころなし虫の声」であろう。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
また此反歌は古来人口に膾炙かいしゃし、叙景歌の絶唱とせられたものだが、まことにその通りで赤人作中の傑作である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
たとえば人口に膾炙かいしゃした「やは肌の」の歌にしろ、そこには、綿々たる訴えはなくて、自分からの働きかけの姿があり、その働きかけは、
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
また従来から久しく人口に膾炙かいしゃきたって口に慣れているので、今殊更にこれを改めなくてもあえて不都合を感じないからでもあった。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
もっとも、近松ちかまつ西鶴さいかくの生ていた時代に遠くなく、もっとも義太夫ぶし膾炙かいしゃしていた京阪けいはん地方である。
チェーホフの数ある作品の中でも最も愛誦あいしょうされ、最も人口に膾炙かいしゃした作品であろう。
私はこのリドリング地方と云う名前が、僕が数日の間に、全英国の人口に膾炙かいしゃした言葉となってしまった物語を、そのままここに述べてみることとする。
例の「きり/″\すなくや霜夜のさむしろに」の歌が人口じんこう膾炙かいしゃしている通り、秋の虫の中ではコオロギが冬まで生延びることになっている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
ルナールの作品としては、この『博物誌』が『にんじん』に次いで人口に膾炙かいしゃしている。
博物誌あとがき (新字新仮名) / 岸田国士(著)
形影けいえいみずかあいあわれむ〕とはこれ人口に膾炙かいしゃする唐詩なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
が、これらは、余り人口に膾炙かいしゃしすぎて居りますから、ここにはわざと申上げません。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
六十六 商業社会や産業社会で、日頃大達者おおだっしゃと立てられてその名前は家々の守護神の様に人の口に膾炙かいしゃしている大紳商、大紳士も、様は無い。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
では、人口に膾炙かいしゃしている中里介山君の「大菩薩峠」の内から引例して見よう——。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
我が王朝文弱の時代にその風を成し、たまさかずき底なきが如しなどの語は、今に至るまで人口に膾炙かいしゃする所にして、爾後じご武家の世にあっては
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
“二条河原落書”は、文辞からみても、そう学識がある者のわざではない。けれど、七五調なので、覚えよく、うたいやすいので、すぐ人口に膾炙かいしゃし、
この句は人口じんこう膾炙かいしゃする句なれども俗気多くして俳句とはいふべからず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
後世田沼主殿頭が、まことにみじめに失脚した時、それを諷した阿呆陀羅経が作られ、一時人口に膾炙かいしゃしたが、それを作ったのが貝十郎であると、当時ひそかに噂された。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
の一句は古今の傑作として人口に膾炙かいしゃする所、馬丁走卒もなほかつこれを知る。しかもその意義を問へば一人のこれを説明する者あるなし。今これが説明を聴くを得んか。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
平家の大軍七万余騎が、水鳥の羽音を敵襲と間違え、仰天して、都へ逃げ帰ってしまう。ということで、吾妻鏡を初め、盛衰記や平家物語でも、およそ人口に膾炙かいしゃされているところだ。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「牡丹燈籠」は拙作『圓朝』の中でも記しておいたとおり、最も人口に膾炙かいしゃされた代表作である上に、「累ヶ淵」「皿山畸談」とともに今日のこっているものの最古の作品にかかっている。
支那の初唐時代での有名な詩の「葡萄ノ美酒夜光ノ杯、飲マント欲シテ琵琶馬上ニ催ス、酔テ沙場ニ臥ス君笑フコトカレ、古来征戦幾人カ回ヘル」はよく人口に膾炙かいしゃした七絶である。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
どうかするとその警句が人口に膾炙かいしゃしたものだ。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これ人口に膾炙かいしゃする少杜しょうとの詩なり。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かくの如く福岡の喜多流の今日在るは全く故只圓翁の遺徳を基礎としたもので、翁の遺訓は今以て他流の人士の間にも伝わり、翁の清廉無慾と翁の堂々たる芸風とは今も尚流内の人口に膾炙かいしゃしている。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
この他、『唐詩選』の李于鱗りうりんにおける、百人一首の定家ていか卿における、その詩歌しいかの名声を得て今にいたるまで人口に膾炙かいしゃするは、とくに選者の学識いかんによるを見るべし。
読倫理教科書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
人口に膾炙かいしゃする『自然』についての小論の中で、ゲーテは云ふ、「過去も未来も自然は知らない。現在はそれの永遠である。」このやうにゲーテにとつて時間は現在であり、現在はまた永遠を意味する。
ゲーテに於ける自然と歴史 (新字旧仮名) / 三木清(著)
支那の詩は李白りはくにしろ、杜甫とほにしろ、日本人に膾炙かいしゃされているのは知るごとくである。自然観に、人生観に、同じきがためだ。これを見ると、東洋は元一国という感じさえ起こるのである。
日本的童話の提唱 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これが奇功を奏して一時はさすがの大英帝国をして食糧飢饉を嘆ぜしめ、急遽きゅうきょ単独航海をやめて護送船団編制コンボイシステムに改めさせたことは、あまねく人口に膾炙かいしゃしているところであるが
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
されば当時の武将たちが彼等を間牒に放った例は諸書に散見するのであって、分けても陶晴賢すえはるかたがめくら法師を間者として毛利元就もとなりの行動を知ろうとした話は、最も人口に膾炙かいしゃしている。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
惟うに茶人のる十徳という物あるに因って、茶を植うれば他の作物に十倍増して利益ある由を、この書の出来た貞享五年頃、またはその前に世に言いはやし、当時諺となって人口に膾炙かいしゃしたものであるまいか。
その中でも、大内義隆よしたかの大内家壁書とか、細川幽斎の幽斎覚え書だの、細川頼之よりゆきの武士訓などは、特に有名であり、家臣から世上に伝写されて、時人の座右の銘とされ、また人口に膾炙かいしゃして行った。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、仁三郎が完全に呼吸いきを引取ったアトの事で、御本尊の仁三郎のお陀仏自身にすら思い付かない……しかも仁三郎一流の専売特許式珍劇がオッ初まって、オール博多の人口に膾炙かいしゃする事になったのだから痛快中の痛快事である。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
——渡辺の岸から屋島へ出陣しようというさいに、義経と梶原とが逆櫓さかろのことで、議論となり、味方喧嘩をひき起こしたという話になっているが、これはかなり人口にも膾炙かいしゃしているので、次回のことだが、あらかじめここで断っておきたい。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もしそれ彼がいわゆる訣別のために、門人浦無窮うらむきゅうに描かしめたる肖像の自賛文に至っては、彼が一生の抱負と特性とを視るに足るべきもの、吾人ごじんはその文の既に人口に膾炙かいしゃしたるに拘らず、これを掲載するを禁ずるあたわず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
フランクリンの凧の逸話は人口に膾炙かいしゃしているが、一七五二年の九月の暴風雨のその一夜にいたる迄には、ギリシャ人たちが琥珀こはくの玉をこすっては、軽いものを吸いつけさせて遊んでいた時代から二千年もの人類の歴史がつみ重ねられて来ている。
科学の常識のため (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しかし、もう少し同情した考えようによると、日本でこの本がはじめて翻訳されたのは文禄三年ということだが、それ以前に日本へ来た宣教師や外人によって、なんらかたとえ話となって日本人の口に膾炙かいしゃしていたかも知れない、それを元就が聞き知っていて
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と申しますのは、大殿様とは御違いになって、あめしたの色ごのみなどと云う御渾名おんあだなこそ、御受けになりましたが、誠に御無事な御生涯で、そのほかには何一つ、人口に膾炙かいしゃするような御逸事と申すものも、なかったからでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)