“突(つい)” の例文
「よきはどうしたんだ」おつぎは岸(きし)へ上(あが)つて泥(どろ)だらけの足(あし)で草(くさ)の上(うへ)に膝(ひざ)を突(つい)た。與吉(よきち)は笑交(わらひまじ)りに泣(な)いて兩手(りやうて)を出(だ)して抱(だ)かれようとする。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夫(そ)れから捕(つか)まえられたとか斬られたとか、或(あるい)は奥平屋敷の溝の中に人が斬倒(きりたお)されて、ソレを又(また)上から鎗(やり)で突(つい)たと云うような大(おお)騒動。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
アンドレイ、エヒミチはうんざりして、長椅子(ながいす)の上(うへ)に横(よこ)になり、倚掛(よりかゝり)の方(はう)へ突(つい)と顏(かほ)を向(む)けた儘(まゝ)、齒(は)を切(くひしば)つて、友(とも)の喋喋(べら/\)語(しやべ)るのを詮方(せんかた)なく聞(き)いてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
せし天一樣は將軍樣の若君樣(わかぎみさま)なりしか然(され)ばこそ急に簾(みす)の中へ入せられ御住持樣(ぢうじさま)も打(うち)て替(かは)り御主人の樣に何事も兩手(りやうて)を突(つい)て平伏(へいふく)なさると下男共は此等の事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一寸(ちょと)百突(つい)て渡(わた)いた受取(うけと)った/\一つでは乳首啣(くわ)えて二つでは乳首離(はな)いて三つでは親の寝間を離れて四つにはより糸(こ)より初(そ)め五(いつつ)では糸をとりそめ六つでころ機織(はたおり)そめて——
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
空しく長き嘈(うめ)き声を洩すのみ、此有様抑(そ)も如何ように見て取る可きか、目科は隙(すか)さず突(つい)て入り
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
アンドレイ、エヒミチはうんざりして、長椅子(ながいす)の上(うえ)に横(よこ)になり、倚掛(よりかかり)の方(ほう)へ突(つい)と顔(かお)を向(む)けたまま、歯(は)を切(くいしば)って、友(とも)の喋喋(べらべら)語(しゃべ)るのを詮方(せんかた)なく聞(き)いている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
時ならぬ真夜中に人の眠りを妨るは何(いず)れの没情漢(ぼつじょうかん)ぞと打呟(うちつぶや)きながら、起行(おきゆ)きて戸を開くに、突(つい)て入(い)る一人(いちにん)は是なん目科其人にして衣服の着様(きざま)は紊(みだ)れ、飾り袗(しゃつ)の胸板は引裂かれ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
胸に定め先(まづ)待(まち)たまへ長庵殿最早(もはや)委細は分つたり然ば外には言分(いひぶん)なし勘辨なして下されと千太郎は悔(くや)しくも兩手を突(つい)て詫(わび)ければ長庵呵々(かゝ)と冷笑(あざわら)ひ夫みられよ最初(さいしよ)より某しが言通り其方が騙(かた)りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
巫女(くちよせ)の婆(ばあ)さんは突(つい)て居(ゐ)る肘(ひぢ)を少(すこ)し動(うご)かして乘地(のりぢ)に成(な)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
傍に落て居るとか何うとかする女の頭挿を取て突(つい)たのだ孰(いず)れにしても殺す傍(そば)には女びれが居たは之で分る(大)でも頭挿の脚は二ツだから穴が二ツ開(あ)く筈だろう(谷)馬鹿を言い給え
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
突(つい)て挨拶(あいさつ)をぞなしたり其夜吉兵衞には酒肴(しゆかう)を取寄(とりよ)せ船頭(せんどう)はじめ水主(かこ)十八人を饗應(もてな)し酒宴(しゆえん)を催(もよほ)しける明れば極月(ごくづき)廿九日此日は早天より晴渡(はれわた)り其上追手(おつて)の風なれば船頭杢右衞門は水主共(かこども)に出帆(しゆつぱん)の用意(ようい)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)