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突如
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いきなり
ふりがな文庫
“
突如
(
いきなり
)” の例文
すると日頃丈夫な父親が急に不眠症を起して、
突如
(
いきなり
)
宿へ転地して来た。もう
厭
(
いや
)
も応もなかった。仕舞ったと気がついたが、もう
晩
(
おそ
)
い。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
梯子段
(
はしごだん
)
を
踏轟
(
ふみとどろ
)
かして上ッて来て、
挨拶
(
あいさつ
)
をもせずに
突如
(
いきなり
)
まず
大胡坐
(
おおあぐら
)
。我鼻を視るのかと怪しまれる程の下眼を遣ッて文三の顔を視ながら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その時はもう
全
(
まる
)
で夢中で、
唯
(
ただ
)
那奴の憎らしいのが胸一杯に
込上
(
こみあ
)
げて、
這畜生
(
こんちくしよう
)
と思ふと、
突如
(
いきなり
)
其処
(
そこ
)
に在つたお皿を那奴の
横面
(
よこつつら
)
へ
叩付
(
たたきつ
)
けて遣つた。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
突如
(
いきなり
)
噛着
(
かみつ
)
き兼ねない剣幕だったのが、
飜
(
ひるがえ
)
ってこの
慇懃
(
いんぎん
)
な態度に出たのは、人は
須
(
すべか
)
らく
渠等
(
かれら
)
に対して洋服を着るべきである。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あなた。もう歩けないわ。私。」と鼻をならして、「手でも曳いて頂戴なねえ、不実よ。」と
突如
(
いきなり
)
懐手
(
ふところで
)
して歩いている慶三の袖口へ手を入れた。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
そして更に机や手文庫を逐一調べて腑に落ちないか、チェッと
舌撃
(
したうち
)
をしたが、
突如
(
いきなり
)
しゃがむと机の下から座蒲団と共に、皺になった新しい
手巾
(
ハンカチーフ
)
を引摺出した
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
「えっ、お
玉杓子
(
たまじゃくし
)
が何を云うんだい。私という女ながらも大親分に、じかに口が利けるもんか。黙って引込んでいやあがれ」と、お鉄は
突如
(
いきなり
)
小虎を突飛ばした。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
彼は、
突如
(
いきなり
)
苦しそうに、半身を起しながら、座敷中を見廻した。
併
(
しか
)
し美奈子が
其処
(
そこ
)
にいる訳はなかった。二三秒間身体を支え得た丈で、またどうと後へ倒れた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
突如
(
いきなり
)
蒲団を後から引いたので、蒲団は厠の入口で細君の手に残った。時雄はふらふらと危く小便をしていたが、それがすむと、
突如
(
いきなり
)
鞺
(
どう
)
と厠の中に横に寝てしまった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
彼は
突如
(
いきなり
)
、中へ飛び込んで行って男を引き擦り出して来た。その瞬間に、今までの蕩児らしい気分が跡方も無く消え去って、すっかり巡査としての職業的人間が彼を支配して居た。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
先
(
ま
)
ず彼は自分の姿に変装させた友人を家に入れておき、老婆がひとりきりで茶の間にいるという合図にマンドリンを弾かせ、自分はそっと家へ忍込んで、
突如
(
いきなり
)
老婆を襲ったのである。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
周三は眼色を變へて、
衝
(
つ
)
と
立起
(
たちあが
)
ツたかと思ふと、
突如
(
いきなり
)
ピツシヤリ障子を閉めきツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
応接室へ通されると、年若な記者は
突如
(
いきなり
)
頭が
卓子
(
テーブル
)
に
打突
(
ぶつつ
)
かる程大きなお辞儀をした。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
今
(
いま
)
は
躊躇
(
ちうちよ
)
しては
居
(
を
)
られぬ
塲合
(
ばあひ
)
、
私
(
わたくし
)
は
突如
(
いきなり
)
眞裸
(
まつぱだか
)
になつて
海中
(
かいちう
)
へ
跳込
(
をどりこ
)
んだ、
隨分
(
ずいぶん
)
覺束
(
おぼつか
)
ない
事
(
こと
)
だが、
泳
(
およ
)
ぎながらに、
端艇
(
たんてい
)
をだん/″\と
島
(
しま
)
の
方
(
ほう
)
へ
押
(
お
)
して
行
(
ゆ
)
かんとの
考
(
かんがへ
)
、
艇中
(
ていちう
)
からは
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
突如
(
いきなり
)
竦
(
すく
)
んだような影が差した。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「○○町だってそれと知ったら反対したろうが、角町に出し抜かれて、
突如
(
いきなり
)
押しつけられたものだから、否も応もない。しかし徳をした」
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と精々
喜多八
(
きだはち
)
の気分を
漾
(
ただよ
)
わせて、
突出
(
つきだ
)
し店の
硝子戸
(
がらすど
)
の中に飾った、五つばかり装ってある朱の盆へ、
突如
(
いきなり
)
立って手を掛けると、娘が、まあ、と言った。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時雄はいかにしても苦しいので、
突如
(
いきなり
)
その珊瑚樹の蔭に身を
躱
(
かく
)
して、その根本の地上に身を
横
(
よこた
)
えた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
けれども水練知らぬ者のように、
突如
(
いきなり
)
救いの人へ抱きつくような危険はしなかった。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
まだ夜の明けるには
間
(
ま
)
があるが、いつまでもこんな所に寝ていられるものかと、吾輩は
突如
(
いきなり
)
跳ね起き、
拳
(
こぶし
)
を固めて
傍
(
そば
)
の
巨
(
おお
)
太鼓を、ドドンコ、ドンドン、ドドンコ、ドンドンと
無暗
(
むやみ
)
に打叩けば
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
そこを出ると
懐中
(
ポケット
)
から時計を覗かせて、ちょっと眺めると、
突如
(
いきなり
)
どしどし急速に歩き出したので、渡邊は呆れて眼を円くしながら、後れじと跡を
逐
(
お
)
わねばならなかった、十分間もこんな状態が続くと
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
青年が、何かを答へようとしたとき、女は
突如
(
いきなり
)
彼を遮ぎつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ところが昨日の朝、フラ/\とやって来て
突如
(
いきなり
)
私のベンチに腰を下したものがあった。見ると例の若旦那だったから、私は好奇心を動かした。
朝起の人達
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
『こいつは
愈々
(
いよ/\
)
面白
(
おもしろ
)
くなつて
來
(
き
)
た。』と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
突如
(
いきなり
)
少年
(
せうねん
)
を
抱上
(
いだきあ
)
げた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
せかせかおいでなさって、(持って行く。)と
突如
(
いきなり
)
おっしゃる。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青年が、何かを答えようとしたとき、女は
突如
(
いきなり
)
彼を
遮
(
さえ
)
ぎった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と言って、その通りの真似をしたら、赤羽君が
突如
(
いきなり
)
打ってかゝった。谷君は身をかわして逃げ出した。赤羽君が追っかけたら、佐伯君が
遮
(
さえぎ
)
った。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と
突如
(
いきなり
)
私を指した。私は立ち上ったが、用意がない。慌しく出身中学と生年月日を言って着席したら、立花君が
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
僕が当ったから、『おい、ノートを寄越せ』と言って、吉田君に貸して置いたのを取ると、『他のを見る奴があるか?』って
突如
(
いきなり
)
後ろから突き飛ばしたんだよ。
母校復興
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と僕は
突如
(
いきなり
)
言ってやった。一寸の虫にも五分の魂だ。再婚多妻論を主張しながら、陰に廻って縁談の註文をつけている。僕は社長の二重取引が癪に障ったのである。
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「叔母が母に『その山下さんて
何
(
ど
)
んな方?』って
突如
(
いきなり
)
お訊きになりましたの。私、ハッとしましたわ」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と安子さんはもう好い加減にする積りだったが、茶化されたので、
突如
(
いきなり
)
結論を口走ってしまった。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「時々来ます。
突如
(
いきなり
)
引き合せて、誰だと訊いてやりましょうか? 面白いですな、これは。妻も喜びますよ。家で同窓会が出来ます。然う/\、会社では
団
(
だん
)
さんが同窓の先輩です」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と卓造君は
突如
(
いきなり
)
立ち上った。狐のことを思い出したのである。
四辺
(
あたり
)
はもう
暮色蒼然
(
ぼしょくそうぜん
)
。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それも死ぬの生きるのと言わずに
突如
(
いきなり
)
上ってしまうから溜まりません。そこでその男は笠置に待っている相棒に渡すまで荷を揺り通しです。笠置から新手がまた京都まで揺って行きます。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と菊太郎君は久子夫人に頭の働きを見せる積りか、
突如
(
いきなり
)
揚げ足を取った。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と芸者は
突如
(
いきなり
)
卓造君の膝を
抓
(
つね
)
った。色気抜きだから念力が
罩
(
こも
)
っている。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「二郎兄さんが、早稲田、早稲田、早稲田って入って行って、
突如
(
いきなり
)
後ろから俊一兄さんに抱きついて引っくり返ったんです。兄さんは万年筆にインキを入れていましたから、浴びちゃったんです」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「長倉は黙って聴いていたが、
突如
(
いきなり
)
食ってかゝって来た。閣下のようにもう功成り名遂げた人は恥も外聞もなく、そんな禿頭を被って太平楽を並べていられるんですと言うんだ。失敬じゃないか?」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と私は
秘
(
ひそ
)
かに期しているところを
突如
(
いきなり
)
指されて尠からず
面食
(
めんくら
)
った。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
尤
(
もっと
)
も
突如
(
いきなり
)
ではない。それまでに然るべく手順を運んでいる。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
とお上さんは
突如
(
いきなり
)
文一君の掌に五十銭銀貨を押しつけた。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「その前に何かあったろう?
突如
(
いきなり
)
ってことはない」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「あの細君じゃ
突如
(
いきなり
)
喉笛へ
食
(
くら
)
いつくから、命が危い」
髪の毛
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と
突如
(
いきなり
)
一番困る問題を持ち出した。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と安子さんは
突如
(
いきなり
)
立ち上った。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「まあ、
突如
(
いきなり
)
人身攻撃?」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
突如
(
いきなり
)
だから返答に困る。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
突如
(
いきなり
)
撲り合いを始めた。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
突如
(
いきなり
)
逆襲でしたね?」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“突如”の意味
《形容動詞》
予想しない事態が前触れもなく起こるさま。
(出典:Wiktionary)
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
如
常用漢字
中学
部首:⼥
6画
“突”で始まる語句
突
突然
突立
突込
突出
突飛
突兀
突伏
突張
突嗟