“いきなり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
突然74.3%
突如13.2%
唐突4.4%
卒然2.2%
匆卒1.5%
不意0.7%
匇卒0.7%
単直0.7%
直然0.7%
行也0.7%
(他:1)0.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは、食堂からここへ入ると、突然いきなり客室の戸を開けようとして男の硝子扉がらすどに手をかけた時であった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と向返る子爵の頭へ、さそくに、ずずんと身を返したが、その割に気の軽さ。突然いきなり見越入道で、おおわれかかって、
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小虎此時は早や疲労し切っていた。けれども水練知らぬ者のように、突如いきなり救いの人へ抱きつくような危険はしなかった。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
梯子段はしごだん踏轟ふみとどろかして上ッて来て、挨拶あいさつをもせずに突如いきなりまず大胡坐おおあぐら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
対手がそれで平伏へこたまれば可いが、さもなければ、盃をげて、唐突いきなり両腕を攫んで戸外そとへ引摺り出す。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
わたくし狂喜きやうきのあまり、唐突いきなり武村兵曹たけむらへいそうくびけて
卒然いきなり道端みちばたの小石を拾って打着ぶっつけてやろうとしたら、車は先の横町へ曲ったと見えて、もう見えなかった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
賢ちゃんが吃驚びッくりして眼を円くした時、私は卒然いきなりバタバタと駈出し、前へ行く児にトンと衝当つきあたる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
其晩そのばん郵便局長いうびんきよくちやうのミハイル、アウエリヤヌヰチはかれところたが、挨拶あいさつもせずに匆卒いきなりかれ兩手りやうてにぎつて、こゑふるはしてふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
難有ありがとう御座います。それで僕も安心しました。イヤまことに失礼しました匆卒いきなり貴様をとがめまして……」と彼は人をおしつけようとする最初の気勢とはうって変り、如何いかにも力なげにわびたのを見て、自分も気の毒になり、
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ところが、どうしたことか、中途で法水は不意いきなり動作を中止して、戦慄せんりつを覚えたように硬くなってしまった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ところがそこから折り返してもとの位置に戻ると、法水は卓子灯スタンドの中に何を認めたものか、不意いきなり検事を振り向いて、
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
匇卒いきなりへや飛出とびだしたが、ばうかぶらず、フロツクコートもずに、恐怖おそれられたまゝ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其所そこへのっそり帰って来たのが亭主の磯吉である。お源は単直いきなり前借の金のことをいた。磯は黙って腹掛から財布を出してお源に渡した。お源は中をあらためて
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
井下伯もせめて娘だけでも世話をしてやらんと富岡が可憐かわいそうだと言ッて、大変乃公を気の毒がっていたとこう言うじゃアないか、乃公は直然いきなり彼奴きゃつの頭をぽかり一本参ってやった、何だ貴様まで乃公を可憐そうだとか何とか思っているのか、そんな積りで娘を托けると言うのか
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いやな色だ、何んだ。」と湯村は行也いきなりその髪油の壜を取つて流しに投付けた。三和土たゝきになつてる。ひどい音して粉々に壊れた。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
「六郎さんが丈夫ですと、今年は一緒に大学へ来るんでした。一昨日の晩停車場ステーションでお母様がう云つて泣かれました。」と、坐ると行也いきなり、その事を云出す。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
雜然たる叫聲の中、殺氣は既に滿ち渡つて、氣早の若者は行成いきなり横合から飛び出して、思ひ切り芳の天窓あたまを擲つた、續いて何處よりともなく、拳の雨は彼の頭上に降り注いだのである。
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)