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ふゐ
此時不意に、
車外の
猛獸の
群は
何者にか
愕いた
樣子で、
一時に
空に
向つて
唸り
出した。
途端、
何處ともなく、
微かに
一發の
銃聲!
から/\と
男の
笑ふに
少し
恥かしく、
考へ
事をして
歩いて
居たれば
不意のやうに
惶てゝ
仕舞ました、よく
今夜は
來て
下さりましたと
言へば、あれほど
約束をして
待てくれぬは
不心中とせめられるに
山も、
谷も、
一時に
顛倒する
樣な
響と
共に、
黒煙パツと
立昇る。
猛獸羣は
不意に
驚いて、
周章狼狽て
逃げ
失せる。