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破
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やぶれ
ふりがな文庫
“
破
(
やぶれ
)” の例文
と、
葭簀
(
よしず
)
を出る、と入違いに境界の柵の
弛
(
ゆる
)
んだ
鋼線
(
はりがね
)
を
跨
(
また
)
ぐ時、
莨
(
たばこ
)
を
勢
(
いきおい
)
よく、ポンと投げて、裏つきの
破
(
やぶれ
)
足袋、ずしッと草を踏んだ。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
療醫の見込も
膏氣
(
あぶらけ
)
増長いたし
血路
(
けつろ
)
を塞
循環
(
じゆんくわん
)
不
レ
致候故、痛所も出來、
若
(
もし
)
脉路を塞ぎ脈路
破
(
やぶれ
)
候節は、即ち中風と申ものに候由。
遺牘
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
若者は空想から
破
(
やぶれ
)
た。この時悲哀な声で
研手
(
とぎて
)
の悪者が歌い出した——その声は
寂然
(
ひっそり
)
とした
山谷
(
さんこく
)
に響く。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夫
(
それ
)
に引変え
破
(
やぶれ
)
褞袍
(
おんぼう
)
着て
藁草履
(
わらぞうり
)
はき腰に
利鎌
(
とがま
)
さしたるを農夫は拝み、
阿波縮
(
あわちぢみ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
、
綿八反
(
めんはったん
)
の帯、洋銀の
簪
(
かんざし
)
位
(
ぐらい
)
の御姿を見しは
小商人
(
こあきんど
)
にて、風寒き北海道にては、
鰊
(
にしん
)
の
鱗
(
うろこ
)
怪しく光るどんざ
布子
(
ぬのこ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
人にも知られず、我身一つの恥辱ならんには、この
面
(
おもて
)
に
唾吐
(
つばはか
)
るるも
厭
(
いと
)
はじの覚悟なれど奇遇は棄つるに惜き奇遇ながら、
逢瀬
(
あふせ
)
は今日の
一日
(
ひとひ
)
に限らぬものを、事の
破
(
やぶれ
)
を目に見て愚に
躁
(
はやま
)
るべきや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
浮世の
破
(
やぶれ
)
めを
切張
(
きりばり
)
の、木賃宿の数の行燈、薄暗いまで屋根を圧して、むくむくと、両国橋から本所の空を渡ったのである。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしその
言
(
ことば
)
の通りにすると、
蓑
(
みの
)
を着よ、そのようなその
羅紗
(
らしゃ
)
の、毛くさい
破
(
やぶれ
)
帽子などは脱いで、
菅笠
(
すげがさ
)
を
被
(
かぶ
)
れという。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
釣上げた
古行燈
(
ふるあんどん
)
の
破
(
やぶれ
)
から、穴へ入ろうとする
蝮
(
まむし
)
の尾のように、かもじの
尖
(
さき
)
ばかりが、ぶらぶらと下っていた。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大巌山の町の上に、小さな溝があるばかり、障子の
破
(
やぶれ
)
から人顔も見えないので、その時ずッと寄って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ
葦簀
(
よしず
)
の屋根と柱のみ、
破
(
やぶれ
)
の見える床の上へ、二ひら三ひら、申訳だけの
緋
(
ひ
)
の
毛布
(
けっと
)
を敷いてある。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
屈
(
かが
)
んで通抜けました。そこを
除
(
よ
)
けて、わざわざ廻って、逆に小さな
破
(
やぶれ
)
から透かして見ると……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
摺木
(
すりこぎ
)
に足が生えたり、
破
(
やぶれ
)
障子が口を開けたり、時ならぬ月が
出
(
い
)
でなどするが、例えば雪の
一片
(
ひとひら
)
ごとに不思議の形があるようなもので、いずれも睡眠に世を隔つ、夜の形の
断片
(
かけら
)
らしい。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馴
(
な
)
れて畳の
破
(
やぶれ
)
にも
突
(
つっ
)
かからず、台所は横づけで、長火鉢の前から手を
伸
(
のば
)
すとそのまま取れる
柄杓
(
ひしゃく
)
だから、並々と一杯、
突然
(
いきなり
)
天窓
(
あたま
)
から
打
(
ぶっ
)
かぶせる気、お勝がそんな家業でも、さすがに
婦人
(
おんな
)
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
惜気
(
おしげ
)
なく
真鍮
(
しんちゅう
)
の火鉢へ
打撒
(
ぶちま
)
けると、横に
肱掛窓
(
ひじかけまど
)
めいた低い障子が二枚、……其の紙の
破
(
やぶれ
)
から
一文字
(
いちもんじ
)
に吹いた風に、又
※
(
ぱっ
)
としたのが
鮮麗
(
あざやか
)
な
朱鷺色
(
ときいろ
)
を
染
(
そ
)
めた、あゝ、秋が深いと、火の
気勢
(
けはい
)
も
霜
(
しも
)
に
染
(
そ
)
む。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
池
(
いけ
)
はひつくりかへつても
居
(
を
)
らず、
羽目板
(
はめいた
)
も
落
(
お
)
ちず、
壁
(
かべ
)
の
破
(
やぶれ
)
も
平時
(
いつも
)
のまゝで、
月
(
つき
)
は
形
(
かたち
)
は
見
(
み
)
えないが
光
(
ひかり
)
は
眞白
(
まつしろ
)
にさして
居
(
ゐ
)
る。とばかりで、
何事
(
なにごと
)
も
無
(
な
)
く、
手早
(
てばや
)
く
又
(
また
)
障子
(
しやうじ
)
を
閉
(
し
)
めた。
音
(
おと
)
はかはらず
聞
(
きこ
)
えて
留
(
や
)
まぬ。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
“破”を含む語句
破壊
打破
破局
破片
破損
破綻
驚破
素破
破落戸
破壞
切破
破目
看破
破滅
破障子
破衣
破風
破鐘
破屋
破裂
...