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盗人
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ぬすっと
ふりがな文庫
“
盗人
(
ぬすっと
)” の例文
旧字:
盜人
「お前を九百九十両の
盗人
(
ぬすっと
)
だと思ってるわけじゃねえ。実は先廻りして、あの晩お前が家から一と足も出ない事を聞いて来たんだ」
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大公儀の役人というものは間男をして、
盗人
(
ぬすっと
)
をして、カラクリ賭博を打って、罪もない娘を斬り棄てるのが役目かと、詰めてくれた
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
考えてみると、おれは
盗人
(
ぬすっと
)
さえしなければ、聖人のようなものだ、盗人にならなけりゃ、相州の二宮金次郎になっていたかも知れねえ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わしは
夜
(
よる
)
家に忍び込む
盗人
(
ぬすっと
)
よろしく、カチェリーナのトランクの
鍵
(
かぎ
)
をまんまと盗み出し、持って帰った俸給の残りを引っ張り出してしまった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「黙ってよその
家
(
うち
)
へ入り込んで来て、
盗人
(
ぬすっと
)
……盗人!」と、隣り合壁に聞えるような、大きな声を出してがなりつづけた。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
「う、うっちゃっといておくんなせえ、いいえこんな……こんな
盗人
(
ぬすっと
)
野郎。そ、そこの不忍の池へ叩ッ込んで、む、
貉
(
むじな
)
の餌食にでもしてやらなきゃ」
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
してくださいましたわね。
盗人
(
ぬすっと
)
などの多い土地だのに宿直の人だって初めほど頼もしい人は来ていなかったのですからね、代役だと言って下っぱの者を
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「あいつは、
丹頂
(
たんちょう
)
のお
粂
(
くめ
)
といって、名うてな女賊ですぜ、どうです、どこかの茶屋のかみさんという
風体
(
ふうてい
)
、まさか、女の
盗人
(
ぬすっと
)
とは見えなかったでしょう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
盗人
(
ぬすっと
)
でも封印のついたものは切らんと言います。もっとも、
怪物
(
ばけもの
)
退治に持って見えます刃物だって、自分で抜かなければ別条はないように思われますね。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こりゃ六兵衛、
汝
(
なんじ
)
が
盗人
(
ぬすっと
)
でない
証拠
(
しょうこ
)
を見せるために、
余
(
よ
)
の手のひらに書いた文字を当ててみよ。うまく
判
(
はん
)
じ当てたならば、のぞみ通りの
褒美
(
ほうび
)
をとらせよう。
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
卑劣
(
ひれつ
)
な
盗人
(
ぬすっと
)
でも恥じるような手段を
廻
(
めぐ
)
らして、唐沢家を迫害し、
不倫
(
ふりん
)
な結婚を遂げようと云うような、浅ましいやり方を、恥ずかしいとは思わないのですか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
糞放
(
くそったれ
)
め、罪もねえ者を無闇に牢の中へ放り込んで、金を呉れた
盗人
(
ぬすっと
)
がふん
捕
(
づか
)
まるまで、牢の中へ入れときやアがって面白くもねえ、本当に癪に障って堪らねえや
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こんな奴等は
盗人
(
ぬすっと
)
も同様、あさ寝も昼寝もめずらしくないので、手先は雨戸をこじ明けて踏み込むと、虎七は煎餅蒲団の上に大きい口をあいて
蹈
(
ふ
)
んぞり返っていた。
廿九日の牡丹餅
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
えっ、
市
(
まち
)
まで? 飛んでもない!……家をあけるのは困りますわい。なにせ、わしのとこの奴らは
盗人
(
ぬすっと
)
か悪者ばかりでがしてな、一日で洗いざらい盗み出して、外套を
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「おれに、わけを訊くのか。フン、
盗人
(
ぬすっと
)
、たけだけしいちゅうは、お前等のことじゃのう。吉田の大親分に当てつけた芝居を、この若松で、やりきるなら、やってみい」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「あるよ、山下町だったかでも査公に一ぺん
咎
(
とが
)
められたし、たしかこの家の門前でも咎められたよ。
咄
(
はな
)
さなかったかねえ、自分の家へ、
盗人
(
ぬすっと
)
にはいる奴もないじゃないか。」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これに反して俳諧は、なんでもない
只
(
ただ
)
の人、極度に平凡に活きている
家刀自
(
いえとじ
)
、もっと進んでは
乞食
(
こじき
)
、
盗人
(
ぬすっと
)
の妻までを、俳諧であるが故に考えてみようとしているのであります。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「これはどうだ、不用心だなあ。こんなことならおれにだって、本物の
盗人
(
ぬすっと
)
が出来そうだ」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
休んでると、へんな奴が二人来て、
俺
(
おいら
)
を
盗人
(
ぬすっと
)
が
午睡
(
ひるね
)
してると云うから、
撲
(
なぐ
)
りつけて
諍闘
(
けんか
)
になったところへ、その女が来て仲裁してくれたのだ、それで俺は八幡様を出て来たものの
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「冗談言うな、……裏木戸はちゃんとあいている。……俺は手先じゃねえ、例繰方だ。
盗人
(
ぬすっと
)
の肩に手をかけるような真似はしないのだ。……さア、逃げ出せ、……あとで手先を向けてやる」
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それに清水の爺さんは
盗人
(
ぬすっと
)
が恐いから随分用心しているので、そう容易には入れないはずだし、それに先にそら銀行の通帳の一件があったりして、てっきり例の無電小僧の仕業となったのよ。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
全財産の半分とは、あなた方兄弟の肚の中は
盗人
(
ぬすっと
)
根性というものです
ジロリの女
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
漁夫二
盗人
(
ぬすっと
)
め! (俊寛の顔を打つ)
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
貝
盗人
(
ぬすっと
)
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
己
(
おの
)
れの天分を順当に発達さえさせてくれたら、あながち
盗人
(
ぬすっと
)
にならずとも、他に出世の道があったに相違ないという述懐を漏らします。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
盗んだ金を遠くへは離せないのが
盗人
(
ぬすっと
)
の根性だ。近江屋は自分の家へ隠し、谷中の五重の塔の時は、お前がツイ傍の花屋で見張っていた。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
申しますると、この御心配ばかりは御無用になさいませ。義理も張りも相手によりまする。蔵元屋に限って御尽しになる義理張りは
盗人
(
ぬすっと
)
に追銭も同様……
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いわば野暮な
盗人
(
ぬすっと
)
だが、知らねえ先あともかくも、こういう
身性
(
みじょう
)
と聞いたらば、お
主
(
ぬし
)
ゃあ
厭
(
いや
)
になりやしねえか。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汝
(
おの
)
れ相川様へ
胡麻
(
ごま
)
アすりやアがって、
己
(
おれ
)
の養子になる邪魔をした、そればかりでなくおれの事を
盗人
(
ぬすっと
)
根性があると云やアがったろう、どう云う訳で胡麻を
摺
(
す
)
って
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
六兵衛はこりゃすてきなことをきいたと思い、大
喜
(
よろこ
)
びで
盗人
(
ぬすっと
)
はそのまま
逃
(
に
)
がしてやりました。
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
友蔵が『ひとの買物を横取りする奴は
盗人
(
ぬすっと
)
も同然だ』と罵ると、相手の由兵衛はせせら笑って、『なるほど盗人かも知れねえ。だが、おれはまだ人の女を盗んだことはねえよ』
虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そりゃあ何も不思議はないさ、
盗人
(
ぬすっと
)
の昼寝というやつ、毎晩
稼
(
かせ
)
ぎに出かけるのだろう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分は、人の死屍から、高貴な物品を、
剥
(
は
)
ぎ取る恐ろしい
卑
(
いや
)
しい
盗人
(
ぬすっと
)
と思われても、何の云い訳もないではないか。青年の遺言を受けたと抗弁しても、果して信じられるだろうか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は、それを
聴
(
き
)
くと、もう、むらむらとなった。そして、腹の中で、「何を
吐
(
ぬ
)
かしやがる。
盗人
(
ぬすっと
)
猛々
(
たけだけ
)
しいとは、その言い分である」と、思ったが、それはじっと
抑
(
おさ
)
えて口には出さず
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
貴郎
(
あなた
)
はびっくりしましょうが、私の
伯父
(
おじ
)
と兄は、
真人間
(
まにんげん
)
じゃありません、伯父と兄は、恐ろしい
盗人
(
ぬすっと
)
でございます、船頭になって貴郎方を
伴
(
つ
)
れて来て、殺してものを
奪
(
と
)
ろうとしております
参宮がえり
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貝
盗人
(
ぬすっと
)
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それから柳橋へ行ってお通の茶店で見せびらかして、
札止
(
ふだどめ
)
は木場の春木屋だ。主人にも番頭にも小僧にも見せて、三千両の
盗人
(
ぬすっと
)
はこの手紙を
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
盗人
(
ぬすっと
)
猛々
(
たけだけ
)
しいとは貴殿のことだ、人の大事の娘をかどわかしておきながら、年はどうの、名は何のと……人を食った挨拶」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかもその
詐欺
(
インチキ
)
と
盗人
(
ぬすっと
)
の
附
(
つけ
)
景気のお蔭で、品物がドンドン
捌
(
さば
)
けて行きますので、地道に行きよったら
生物
(
なまもの
)
は腐ってしまいます。世の中チウものは不思議なもんだす。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
手下「大夫が御改心なら仕方がねえ、山を下りようか」「いや己は今更
盗人
(
ぬすっと
)
を
廃
(
やめ
)
るのは厭だ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
新助という若い男が店にいて、表面は手固い小間物店に変りないが、実は
盗人
(
ぬすっと
)
の寝泊りする家で、
私
(
わたし
)
はそこで買物をしたが因果で、怖ろしい男に切通しまでツケられたのでございます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
盗人
(
ぬすっと
)
待て。……」と伯爵夫人は一方ならぬ侮辱を
蒙
(
こうむ
)
りて、
堪
(
こら
)
え堪えし腹立声。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
盗人
(
ぬすっと
)
の女を
伴
(
つ
)
れて家へ帰れるものか、舟は
俺
(
おら
)
が漕ぐ」
参宮がえり
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貴様も忍びと
盗人
(
ぬすっと
)
にかけちゃかなりの腕だそうだが、どうだ一番、遊行上人のものを盗んでみろと、こういうのだ
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
素人には分らねえから
宜
(
い
)
いと云って拙いのを隠して売付けるのは素人の目を盗むのだから
盗人
(
ぬすっと
)
も同様だ、
手前
(
てめえ
)
盗人をしても銭が欲しいのか、
己
(
おら
)
ア
此様
(
こん
)
な職人だが卑しい事ア
大嫌
(
でえきら
)
いだ
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おまえのきらいな、いっしょになると生き血を吸われるような人間でな、たとえばかったい坊だとか、高利貸しだとか、再犯の
盗人
(
ぬすっと
)
とでもいうような者だったら、おれは喜んで、くれてやるのだ。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの小姓は三千両の
盗人
(
ぬすっと
)
で、手代の宗次郎を殺した下手人に相違なく、それに身許も名前もわからず、捜しようも無いではないか、そんな者に逢わせろというのは、世間様への聴えも恥ずかしい
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「たしかに人間だ、人をおどして物を取る
盗人
(
ぬすっと
)
だ」
餅を喫う
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
盗人
(
ぬすっと
)
に来たということは明らかだが、それにしても、このいけ図々しい猫撫声を聞いていると、ただ物質が欲しくて忍び込んだものとのみは思われない。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鹽「やい
盗人
(
ぬすっと
)
、
旅中
(
りょちゅう
)
の事ゆえ助けて遣るまいものでもないが、包をよこせ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
盗
常用漢字
中学
部首:⽫
11画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“盗人”で始まる語句
盗人根性
盗人猫
盗人冥利
盗人仲間
盗人厩
盗人心
盗人覗
盗人上戸
盗人沙汰
盗人猛々