“珍重:ちんちょう” の例文
“珍重:ちんちょう”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治5
中里介山4
村井弦斎3
北大路魯山人3
芥川竜之介2
“珍重:ちんちょう”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 風俗習慣・民俗学・民族学8.7%
技術・工学 > 家政学・生活科学 > 食品 料理2.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
少くも貧乏な好事家こうずか珍重ちんちょうされるだけで、精々せいぜい黄表紙きびょうし並に扱われる位なもんだろう。
「死中、生アリ。生中、生ナシ。——嗚呼ああ珍重ちんちょう珍重。秋水冷やかなるを覚ゆ。謙信、なお死なずとみゆる」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この任侠にんきょうな勇猛な性質は、勘定かんじょう高き現今げんこんの社会においておおいに珍重ちんちょうすべきものと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
花蓋片かがいへんの中央紅色べにいろの深いものはベニスジユリととな珍重ちんちょうせられるが、これは園芸的の品である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ここ以外で捕ったものは、とうてい宮古もののような美味さがないので、自然宮古ものは珍重ちんちょうされている。
鮪を食う話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
昔はこの物を酒杯しゅはいに造って、珍重ちんちょうする風習があり、それも大陸から伝わってきたように、多くの物知りには考えられていた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
前掲の句の作者は元禄げんろく時代の人だから、その時代に江戸っ子が初がつおを珍重ちんちょうしたのはうかがえるが、今日これは通用しない。
いなせな縞の初鰹 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「瓦っかけと言ってしまえばそれまでだが、あれで好事家こうずかの手にわたると、相当珍重ちんちょうの品なのだ、それにあの箱が珍しいと思いましたよ」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
舶来品だけが久しい間珍重ちんちょうせられ、国内で盛んに作り出したのは二百年ぐらい前からのことで、それも明治になってようやく一般化したものである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
佐藤春夫さとうはるおにでも紹介してやったら、さぞ珍重ちんちょうすることであろう。
不思議な島 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
食通しょくつう間では、ごりの茶漬けを茶漬けの王者と称して珍重ちんちょうしている。
京都のごりの茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
心持がやや間接だが、先ず万葉の歌の一体として珍重ちんちょうしていいだろう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
母も死ぬ三日前に愛想あいそをつかした——おやじも年中持て余している——町内では乱暴者の悪太郎と爪弾つまはじきをする——このおれを無暗に珍重ちんちょうしてくれた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ともかくもこれを頸珠として珍重ちんちょうした動機にも、ただ容色をよそおい立てる以上に、まだ何かの隠れた力が考えられることは、古史を読む者の年久しい体験であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「うむ、珍重ちんちょうじゃの、この冬にない初物じゃ、ゆっくり休むがよい」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
また利休居士りきゅうこじ珍重ちんちょうしていた「赤がしら」と称える水さしも、それを贈った連歌師れんがし本名ほんみょうは、甚内じんないとか云ったと聞いています。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しきり珍重ちんちょうする処へ下女が新しき料理を持ち来る。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
自分はしばしば思うた、もし武蔵野の林が楢のたぐいでなく、松か何かであったらきわめて平凡な変化に乏しい色彩いちようなものとなってさまで珍重ちんちょうするに足らないだろうと。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「ほ。この忠顕ただあきの世話を、お辺は、さまで心にめいじていてくれたか。いや珍重ちんちょうあたいする。近ごろは信義もすたれ、軽佻けいちょうな奴らばかりが多い中でよ」
さす手ひく手のたえ、面白の振りの中にびた禅味がたゆとうとて珍重ちんちょうされたのは、鯉魚庵の有力な檀越だんおつとなって始終、道味聴聞どうみちょうもんの結果でありました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「ははあ、安綱がお手に入ったか、それは珍重ちんちょう
それを聞くと道庵が珍重ちんちょうがって、ちょうど、その小金ヶ原へは自分もひとつ下検分に行ってみたいと思っていたところだから、お前が行くならば一緒に行こうと、乗り気になってしまいました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
無類珍重ちんちょう嬉しかりしと珠運後に語りけるが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御身に病児を托す、願わくは珍重ちんちょうにせよかしとて、決然たもとわかちしに、そののち二週間ばかりにして、またもや彼が頭上に一大災厄の起らんとは、にも悲しき運命なるかな。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ついで正保しょうほう二年松向寺殿も御逝去遊ばされ、これより先き寛永十三年には、同じ香木の本末を分けて珍重ちんちょうなされ候仙台中納言殿さえ、少林城わかばやしじょうにおいて御逝去なされ候。
その古風な舞いぶりを、今の若衆わかいしゅたちが老人の後見で、伝えられた通りを大事に保存しながら、威勢よく舞っているらしいのが、お松をして、いっそう珍重ちんちょうの念を起させたようであります。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それも私は知らなかったが、私の住んで居る家の娘子は長くそこに住むに随って茶などをくれたり、あるいはその村で最も上菓子と珍重ちんちょうせるところの蕎麦そばパンをこしらえて折々私にくれるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
これは仏蘭西人ふらんすじんが最上等の料理と珍重ちんちょうするドウキングのケーポンだよ」大原「何の事だね」主人「ドウキングというのは肉用鶏にくようけいの中で第一等の種類さ。ケーポンというのはその去勢したのだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
珍重ちんちょう、珍重」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
珍重ちんちょう珍重」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
珍重ちんちょう。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「その一点はいまいましいが、荒磯のあくたのなかに一粒の真珠を見たような心地はする。——いやこの尊氏の前途にあたって、そのようなゆゆしい大敵が待つかと思えば、尊氏もまた、いちばいな智と勇をふるいおこさずにはおられん。珍重ちんちょう珍重。もうよい……。介、充分に休息をとれ」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに牛の脳味噌も薬になるといって西洋人が大層珍重ちんちょうするそうですね」お登和嬢「ハイ脳味噌はお豆腐のように柔くって味も良うございますが、まだ御婦人なんぞは気味が悪いといって召上らない方が多いようです。西洋人の養生家ようじょうかは一週間に一度必ず食べるとめているそうです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「大蘆原軍医殿は、この栄螺の内臓を珍重ちんちょうされるようだが、僕はこんな味のものだとは、今日の今日まで知らなかった」と、星宮理学士は、長いはしを器用に使って、黄色味がかったプリプリするものをはさみあげると、ヒョイと口の中にほうりこんで、ムシャムシャと甘味うまそうに喰べた。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
小蕪は兎に合い物でこういう風に料理したのが兎のシチューですけれどもまだ上等とは申されません。西洋人が珍重ちんちょうするのは血のソースで煮た兎といいまして兎を切る時大切に心臓の近所の血をしぼり取ります。日数を経たものは凝結かたまっていますが一羽の兎から五勺位出ます。それを今の汁へ混ぜて煮込んだのが兎料理の第一等としてあります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
常にうぐいすを飼っていてふんぬかぜて使いまた糸瓜へちまの水を珍重ちんちょうし顔や手足がつるつるすべるようでなければ気持を悪がり地肌のれるのを最もんだべて絃楽器を弾く者は絃をおさえる必要上左手の指のつめえ加減を気にするものだが必ず三日目ごとに爪をらせやすりをかけさせたそれが左の手ばかりでなく両手両足に及んだ剪ると云ってもほとんど眼に見えてびていないわずかに一りん二厘に過ぎないのをいつも同じ恰好かっこうに正確に剪るように命じ剪ったあとを一つ一つ手でさぐって見て少しでもくるいがあることを許さなかった佐助は実にこのような世話を一人で引きけ合間にはまた稽古をしてもらい時にはお師匠様に代って後進の弟子達に教えもした
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)