状態じょうたい)” の例文
そののち何回なんかいうした儀式ぎしきのぞんだかれませぬが、いつもいつもおな状態じょうたいになるのでございまして、それはまった不思議ふしぎでございます。
「昨夜海へびらがここで過ごしたことは、明らかである、この状態じょうたい判断はんだんすると、二三時間まえにかれらは、ここを去ったものであろう」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
じつは自分は花前はもうだめとあきらめていたところ、きょうのようすでは精神せいしん状態じょうたいが、たしかにすこしよくなってる。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そのどの家もめいめいの商売だけではくらしがたたず、百姓ひゃくしょうもしていれば、片手間かたてまには漁師りょうしもやっている、そういう状態じょうたいは大石先生の村と同じである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
そのなか夢心地ゆめごこち状態じょうたいにあきてくると、彼はうごきまわっておとをたてたくてたまらなくなった。そういう時には、楽曲がっきょくつくり出して、それをあらんかぎりのこえで歌った。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
長男が生れたのは、終戦後、追放をうけて、だしぬけに空虚閑散かんさんな境遇に落ちつき、残る人生について、本気で考えねばならぬような状態じょうたいに立ちいたったときである。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
こんどの世界戦争せかいせんそうは、くにのすべての産業さんぎょう革命かくめいをもたらしました、箔屋はくやという商売しょうばいが、たとえ一時的じてきにせよ、まったくおとろえる状態じょうたいとなり、このみせもついに閉店へいてんして
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
遭難そうなんしてから二十日目のことで、見張台の上の人間どもは、かすかにいきが通っているというだけの、死の一歩手前の状態じょうたいにあったので、「おか」という言葉がなにを意味するのか
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
故意こいならず犯罪はんざいすことがいともわれぬ、ひと讒言ざんげん裁判さいばん間違まちがいなどはありべからざることだとはわれぬ、そもそも裁判さいばん間違まちがいは、今日こんにち裁判さいばん状態じょうたいにては、もっともありべきことなので
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
問『ではいままでただお姿すがたせないというだけで、あなたさまわたくし狂乱きょうらん状態じょうたいかげからすっかり御覧ごらんになってはられましたので……。』
ただ無性むしょうに弱くなった気持ちが、ふと空虚くうきょになった胸に押し重なって、疲れと空腹とを一度に迎えたような状態じょうたいなのだ。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
高等科こうとうか卒業そつぎょうするころには、たがいに家庭かてい状態じょうたいことなって、りょう一は、電気でんき興味きょうみをもつところから、そのほうの学校がっこうへいったし、友吉ともきちは、農業のうぎょう学校がっこうはいることになりました。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
吉之丞は海岸のようすを見るなり、最悪の状態じょうたいになっていることを一と眼で読みとった。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「ゴルドン君、ぼくはひとりで、ドノバン君が発見したというセルベン号のある海岸へいってみようと思う。いつまでも不安な状態じょうたいであるより、なにかしっかりした消息しょうそくをつかまえたいんだ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そのころ生活せいかつ状態じょうたいをもっとくわしく物語ものがたれとっしゃいますか——致方いたしかたがございませぬ、おしゃべりのついでに、すこしばかりおもしてることにいたしましょう。
それがわかれば、いっそうかれが今日こんにち状態じょうたい興味きょうみがふかいだろうけれど、わからぬものはしかたがないとして、きょう見ただけでもかれは興味きょうみある変人だ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
むらは、いつしか、時計とけいのなかったむかし状態じょうたいにかえったのです。そして、たよるべき時計とけいがないとおもうと、みんなは、また、むかしのように、大空おおぞらあおいで太陽たいようがりぐあいで、時間じかんをはかりました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
下宿屋の状態じょうたいから、諸商人のようす表通りの商店のふうなどにも、目がとまり、自分の周囲がすべて明るくなって、ようやく身外の事物に目をそそぐ余裕よゆうができてきた。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)