注意深ちゅういぶか)” の例文
白鳥はくちょうは、注意深ちゅういぶかくその広場ひろばりたのであります。そして、そこに、一人ひとり少年しょうねんくさうえにすわって、ふえいているのをました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでいて足音あしおとしずかで、ある様子ようす注意深ちゅういぶか忍足しのびあしのようである。せま廊下ろうかひと出遇であうと、まずみちけて立留たちどまり、『失敬しっけい』と、さもふとこえいそうだが、ほそいテノルでそう挨拶あいさつする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
正直しょうじきな、やさしいかみなりは、くろい、ふと一筋ひとすじ電線でんせんが、空中くうちゅうにあるのをつけました。そして、注意深ちゅういぶかく、そのせんうえりました。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、ここに、こんなひととおみちがあったのか? あの臆病おくびょうな、注意深ちゅういぶかいこまどりが、なんでたのんでも、こんなところへをかけよう。」
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、たがいにジャックのみぎになり、ひだりになりして、ジャックの護衛ごえいするように注意深ちゅういぶか先方せんぽうつめていました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、しんがりを注意深ちゅういぶかビーがんがつとめ、よわいものをばれつなかにいれて、長途ちょうとたびについたのであります。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、どんなものにたいしても注意深ちゅういぶかく、またみみざといとりしたほういて、すぐに子供こどもつけて、そのいうことをすっかりいたのでありました。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どこから、あんな弾丸たまんできたのだろう……。」と、かれらは、注意深ちゅういぶかく、あたりをながめていました。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひめさまは、うれしくおもわれました。しかし、なかなか注意深ちゅういぶかいおかたでありましたから、ただ一人ひとり家来けらいのいったことだけでは、安心あんしんをいたされませんでした。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
悪魔あくまいているといけないから、だまっていよう。」と、ぜんちゃんは、注意深ちゅういぶかくいいませんでした。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まあ、ああいってんでいるのだ、いってみよう。」と、のこったれは、それから注意深ちゅういぶかしたのようすをさぐりながら、ぐるぐるとそらをまわってだんだんしたりてきました。
すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人しゅじんは、よくいた、花弁はなびらとさないように、注意深ちゅういぶかく、二ほんのばらをきながら
花と少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、ひとごとをしながら、注意深ちゅういぶかく、ほそたけ小刀こがたなあなをあけていたのです。しかし、若竹わかたけやわらかくて、うまくおもうようにいかなかったのです。にわのすみに、寒竹かんちくえていました。
へちまの水 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほかのひとが、クロをぶと、すぐちかくまできて、るけれど、けっして、あたまをなでようとしても、そばへはきませんでした。そして、注意深ちゅういぶかく、相手あいて顔色かおいろをうかがっていました。
青い石とメダル (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、としとった工夫こうふは、トンネルのぐちにさしかかったのです。かれは、注意深ちゅういぶかあしもとをつめて、一、一ひろうようにして、やみのうちへまれるようにはいってきました。