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染
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じ
ふりがな文庫
“
染
(
じ
)” の例文
未
(
ま
)
だ東京で三年前に買つた
儘
(
まゝ
)
のを
被
(
かぶ
)
つて居る僕の帽も
此
(
この
)
連中
(
れんぢゆう
)
の
垢
(
あか
)
染
(
じ
)
みた鳥打帽や
亀
(
ひゞ
)
裂
(
わ
)
れた
山高帽
(
やまだかばう
)
に比べれば謙遜する必要は無かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「ははは、何だか馬鹿に年寄り
染
(
じ
)
みたことを言うじゃねえか。お光さんなんざまだ女の盛りなんだもの、本当の面白いことはこれからさ」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
この子供を人間の子供と解されぬこともないけれども、それでは余り芝居
染
(
じ
)
みて来る。やはり狐の子とする方が穏当であろう。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
世帯
染
(
じ
)
みたことに没頭しているいま、池上にしろ葛岡にしろ、また逢って最初に切出す皮切りのひと皮の挨拶が妙に億劫な気がいたします。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
町内で揃いに染めさした、波に千鳥と桜をあしらった手拭、少しお花見手拭
染
(
じ
)
みますが、派手な図柄を選った、若い人達の好みだったのです。
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
しかし不遠慮に言えば、百物語の催主が気違
染
(
じ
)
みた人物であったなら、どっちかと云えば、必ず
躁狂
(
そうきょう
)
に近い間違方だろうとだけは思っていた。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
かうして、彼女は、田舍
染
(
じ
)
みた
建物
(
たてもの
)
に入り、村童等の驚いた列の間を
滑
(
すべ
)
り拔けた。彼女は、大抵リヴァズ氏の日課である聖書問答の時間に來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
自分たちの境遇が変ると、
昨日
(
きのう
)
まで
軽蔑
(
けいべつ
)
していた人の
真似
(
まね
)
をして
恬
(
てん
)
として気の付かない姉夫婦は、反省の足りない点においてむしろ子供
染
(
じ
)
みていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つまるところ、目賀野は本事件の主役ではなく、その
傍系
(
ぼうけい
)
のドンキホーテ
染
(
じ
)
みたところのある人物に過ぎないのだ。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
孫永才は、狂気
染
(
じ
)
みた眼をして、丘の斜面を見守りながら、弟の頸に手をかけようとしたが、肉親の情に突き上げてくる涙をおさえるのがやっとだった。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
この頃は
二子
(
ふたこ
)
の裏にさえ甲斐機を付ける。斜子の羽織の胴裏が絵甲斐機じゃア郡役所の書記か小学校の先生
染
(
じ
)
みていて、待合入りをする
旦那
(
だんな
)
の
估券
(
こけん
)
に
触
(
さわ
)
る。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
同情
(
おもひやり
)
の深い智恵子は、宿の子供——
十歳
(
とを
)
になる梅ちやんと
五歳
(
いつつ
)
の新坊——が、モウ七月になつたのに垢
染
(
じ
)
みた袷を着て暑がつてるのを、
例
(
いつも
)
の事ながら見るに見兼ねた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
直情径行の堀尾君も愛人の前には策を
弄
(
ろう
)
する。十万円貰うと真向から発表しては宣伝
染
(
じ
)
みて品が好くないから、斯ういう手順を履んだのらしい。ナカ/\機嫌取りが巧い。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
何
(
なに
)
しろ
何
(
なん
)
だ、そんな
世帶
(
しよたい
)
染
(
じ
)
みた
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふなアよしてくれ。
聞
(
き
)
いただけでもくさくさするよ」
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
と突然狂気
染
(
じ
)
みた声で、大鳥井紋兵衛は
怒鳴
(
どな
)
ったものである。彼はムックリと起き上がった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
播磨守
(
はりまのかみ
)
政岑は、分家とはいえ門地の高い生れだけあって、顔に間の抜けたところがなく、容貌はむしろ立派なほうだが、ツルリとした
粋
(
いき
)
好みの
細面
(
ほそおもて
)
がいかにも芸人
染
(
じ
)
みたふうにみえ
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
玄翁
(
げんのう
)
か何かで一度に叩ッ殺し、そのまま線路上へ投げ出して置く——が、しかし、この場合の犯人は、既に僕等も見て来た様に、実に不自然な、むしろ芝居
染
(
じ
)
みた道具立をしている。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
只遺骸を灰にして、高い山から、西風の吹く日に吹き飛ばして呉れといふ子供
染
(
じ
)
みた申状と、遺稿のうち、採るべきものがあつたら出版して欲しいといふ希望だけを、発表しておきます。
ある死、次の死
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
郵便切手を集める——といふと、何だか子供
染
(
じ
)
みた事のやうに思ふものが多い。また実際
欧羅巴
(
ヨーロツパ
)
の子供には切手を集めるに夢中になつて、日本人が
偶
(
たま
)
に故国の郵便切手でも呉れてやると
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
どうしたのかと聞けば、おふさは涙に
汚
(
よご
)
れた顏を上げて、髮が澤山拔けるから悲しいといふ。こんなに、いくらでも拔けるんですのと言ひながら、油
染
(
じ
)
みた櫛に引つかゝつた拔け毛を見せる。
金魚
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
先ほども言ったように失敗が既にどこか病気
染
(
じ
)
みたところを持っていた。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
平日
(
ふだん
)
から油
染
(
じ
)
んだ髪をきらっていたから、
菅糸
(
すがいと
)
だって、
葛引
(
くずひき
)
だって
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
世間は
他人
(
ひと
)
ごとどころではないと素気なく
弾
(
は
)
ね返す。彼はいきり立ち
武者振
(
むしゃぶ
)
りついて行く。気狂い
染
(
じ
)
みているとて今度は体を更わされる。あの手この手。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それにそんな嘘をつく必要がないだろうじゃないか。死ぬか生きるかと云う戦争中にこんな小説
染
(
じ
)
みた
呑気
(
のんき
)
な
法螺
(
ほら
)
を書いて国元へ送るものは一人もない訳ださ
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「もう二百年も以前のことですよ——それはもう、あのモオトン・ヴェイルのオリヴァさまの大きなお
邸
(
やしき
)
とは比べものにならない小さな田舍
染
(
じ
)
みた所ですがね。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
美妙斎美妙と名乗った理由は知らぬが、別段説明を聞かないでも
解
(
わか
)
るほど露骨であって詩人の奥床しさを欠いておる。小説家よりは曲芸師
染
(
じ
)
みて
寄席
(
よせ
)
のビラに書かれそうだ。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
たとえ二卵性の双生児としても、それはあまりにも似合わしからぬところであった。すると真一は境遇の上では妾の同胞に相当していながら、身体の上の印からはどうしても他人
染
(
じ
)
みていた。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
茜さんは、油
染
(
じ
)
んだ枕の上で、向うむきになったまま
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
このアルトゥールがどこで女に失敗するかというと、その熱心さがあんまり気狂い
染
(
じ
)
みているというんです。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
取り出して何心なく見たんだそうだ。するとその鏡の奥に写ったのが——いつもの通り
髭
(
ひげ
)
だらけな
垢
(
あか
)
染
(
じ
)
みた顔だろうと思うと——不思議だねえ——実に妙な事があるじゃないか
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
最も
苦辛
(
くしん
)
した労作と自からも称していた「いちご姫」は昔しの物語の焼直し
染
(
じ
)
みて根ッから面白くなかった。一時は好奇心を牽いた「おじゃる」
詞
(
ことば
)
も
徐々
(
そろそろ
)
鼻に附いて飽かれ出した。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そして、池上は気狂い
染
(
じ
)
みた笑い声を立てました。わたくしは、何か自分の身の上に早くも女として大人たちの間から目をつけられているものゝあることを感じました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
調戯
(
からか
)
うんだと思ったのか、あんまり小供
染
(
じ
)
みていると思ったのか
殆
(
ほと
)
んど取り合う気色はなかった。代助も平生の自分を振り返ってみて、
真面目
(
まじめ
)
にこんな質問を掛けた今の自分を、
寧
(
むし
)
ろ奇体に思った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三十歳前まではもう茶の湯謡曲から書画骨董のような老人
染
(
じ
)
みた道楽に浸っていました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「僕がさつき昼寐をしてゐる時、面白い夢を見た。それはね、僕が生涯にたつた一遍逢つた女に、突然夢の
中
(
なか
)
で再会したと云ふ小説
染
(
じ
)
みた御話だが、
其方
(
そのほう
)
が、新聞の記事より、聞いてゐても愉快だよ」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
他のときと場合ならわたくしたちの所作は芝居
染
(
じ
)
みていて、随分妙なものに受取られただろうが、しかし場合が場合なので、棺輿の担ぎ手も、
親戚
(
しんせき
)
も、葬列の人も、みな茶店の老婆と同じ心らしく
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
染
常用漢字
小6
部首:⽊
9画
“染”を含む語句
馴染
感染
伝染
幼馴染
煮染
血染
香染
藍染川
染衣
染出
顔馴染
友染
垢染
藍染
曙染
世帯染
茜染
傳染
黒染
蘇芳染
...