トップ
>
捕方
>
とりかた
ふりがな文庫
“
捕方
(
とりかた
)” の例文
老人の友達のうちに町奉行所の
捕方
(
とりかた
)
すなわち岡っ引の一人があったので、それからいろいろの捕物の話を聞かされたと云うのである。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
表でこの騒ぎを知るや知らずや、今度は
正銘
(
しょうめい
)
の
捕方
(
とりかた
)
が五人、比較的に穏かな御用の掛声で、ドヤドヤと裏口からこの家へ押込んで来た。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
偖
(
さて
)
又
(
また
)
憑司は其夜昌次郎を立せやり
草履
(
ざうり
)
に血の付たるを
持
(
もち
)
て傳吉宅へ
忍
(
しの
)
び
込
(
こみ
)
庭
(
には
)
の
飛石
(
とびいし
)
へ血を付置き夫より高田の役所へ
夜通
(
よどほ
)
しに往て
訴
(
うつた
)
へ
捕方
(
とりかた
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
捕方
(
とりかた
)
の手を振り払って、花世は、狂女のように、父の方へ、しがみついて来た。と、五百之進は、その手へ、ふいに、血みどろな脇差を渡して
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昨晩跡部からの書状には、
慥
(
たしか
)
な与力共の
言分
(
いひぶん
)
によれば、さ程の事でないかも知れぬから、
兼
(
かね
)
て打ち合せたやうに
捕方
(
とりかた
)
を出すことは
見合
(
みあは
)
せてくれと云つてあつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
と同時のごとく目にはいったものは、町々つじつじを堅めているものものしい
捕方
(
とりかた
)
たちの黒い影です。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
死骸を見て伴藏は
後
(
あと
)
へさがり、逃げ出さんとする所、御用と声掛け、八方より取巻かれたに、伴藏も
慌
(
あわ
)
てふためき必死となり、
捕方
(
とりかた
)
へ手向いなし、死物狂いに斬り廻り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明らかに
捕方
(
とりかた
)
の役人たちらしい。万三郎は反射的に笠で顔を隠し、いま自分の立っている枝道へそのままそれてゆこうとした。が、とつぜんぎょっとしたように振返った。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なんかと、満谷剣之助、いい気もちにそりかえって、そのまま
捕方
(
とりかた
)
をまとめて帰って行った。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
二俣
(
ふたまた
)
の奥、
戸室
(
とむろ
)
の
麓
(
ふもと
)
、岩で城を
築
(
つ
)
いた山寺に、
兇賊
(
きょうぞく
)
籠
(
こも
)
ると知れて、まだ
邏卒
(
らそつ
)
といった時分、
捕方
(
とりかた
)
が
多人数
(
たにんず
)
、
隠家
(
かくれが
)
を取巻いた時、表門の
真只中
(
まっただなか
)
へ、その
親仁
(
おやじ
)
だと言います、六尺一つの
丸裸体
(
まるはだか
)
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上州
(
じょうしゅう
)
岩鼻
(
いわはな
)
の代官を
斬
(
き
)
り殺した
国定忠次
(
くにさだちゅうじ
)
一家の者は、
赤城山
(
あかぎやま
)
へ立て
籠
(
こも
)
って、八州の
捕方
(
とりかた
)
を避けていたが、
其処
(
そこ
)
も防ぎきれなくなると、忠次を
初
(
はじめ
)
、十四五人の
乾児
(
こぶん
)
は、
辛
(
ようや
)
く一方の血路を、
斫
(
き
)
り開いて
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「あれは、たしかに
捕方
(
とりかた
)
! さては闇さんを捕りに向うたか——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
八州の
捕方
(
とりかた
)
を避けて横道につれ込まれた少年は、この案内者に相当の信用を置いているらしいが、気味の悪い感じも相当に伴わないではありません。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
形は小太刀に似て作りは十手と同じこの
獲物
(
えもの
)
を持つものは、無論、八丁堀の
捕役
(
とりて
)
か、
奉行
(
ぶぎょう
)
手先の
捕方
(
とりかた
)
に限ったもので
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なあ、庄太。土地の者はその飴屋を隠密だとか
捕方
(
とりかた
)
だとか云っているそうだが、よもやそんなことはあるめえな」
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
上意々々と呼はり
捕方
(
とりかた
)
の者十人餘りばら/\と掛り
折重
(
をりかさな
)
りて終に
繩
(
なは
)
をぞ
掛
(
かけ
)
けるに吾助も喜内より
劔術
(
けんじゆつ
)
柔術
(
じうじゆつ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「無手なら草香流、得物をとらば血を見ないではおかぬ江戸まえの
捕方
(
とりかた
)
じゃ、それでも来るか!」
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
此の辺に悪者が忍んで
居
(
お
)
るという噂が有って、八州の
捕方
(
とりかた
)
がまいって厳しい詮議が有るので、一人旅の者は何処の宿屋でも泊めてくれませんので、誠に当惑を致します
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さて
捕方
(
とりかた
)
の事を言ひ付けると、三人共思ひも掛けぬ様子で、
良
(
やゝ
)
久しく顔を見合せて考へた上で云つた。平山が
訴
(
うつたへ
)
はいかにも
実事
(
じつじ
)
とは信ぜられない。例の
肝積持
(
かんしやくもち
)
の放言を
真
(
ま
)
に受けたのではあるまいか。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
与力満谷剣之助をお
捕頭
(
とりがしら
)
に、それに、
眼明
(
めあか
)
しの金山寺屋の音松と、金山寺屋の手
飼
(
が
)
いの
捕方
(
とりかた
)
を四、五十人もつけて、一隊、
闇夜
(
あんや
)
の
暴風雨
(
あらし
)
をついて、黒門町の壁辰の家を
襲
(
おそ
)
った——まではよかったが
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「おじさん」と
刹那
(
せつな
)
に、若者のほうも、落着いたらしく、
弦
(
つる
)
の
矢筈
(
やはず
)
を
外
(
はず
)
して。「ごめんなさい。おじさん達は、旅の衆だね。
北京府
(
ほっけいふ
)
の
捕方
(
とりかた
)
じゃあなかったんだね」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浪士と
覚
(
おぼ
)
しき強盗が蔭へ廻って悪事を働き、なお火事場泥棒式の悪漢が出没するけれども、それを取締る
捕方
(
とりかた
)
は出て来るという評判だけで、ちっとも出て来ません。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
洗はんと
爲所
(
するところ
)
へ上臺憑司が
案内
(
あんない
)
にて關田の
捕方
(
とりかた
)
内へつか/\と入くるに傳吉夫婦は何事やらんと
驚
(
おどろ
)
くを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その眼つぶしが効を奏して、おたずね者の石原の松蔵は両腕に縄をかけられたのである。この時代でも
捕方
(
とりかた
)
に助勢して首尾よく罪人を取り押えたものにはお褒めがある。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人のうわさには金森家の浪人が八州のお
捕方
(
とりかた
)
を
斬払
(
きっぱら
)
って、矢切山へ隠れたという噂を聞いて、刀の詮議の手掛りにもなろうかと、仙太郎が重三郎と
舁夫
(
かごや
)
の安吉とを船に載せて
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たいていの
捕方
(
とりかた
)
だったら、品物が品物だからおそらくたんすか長持ちといったような貴重品の入れてある家財道具に着目すべきところを、右門は例のごとくその逆のからめてをたどって
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
与力の小田切千助が、それを
機
(
しお
)
に馬へ移ると、同心
捕方
(
とりかた
)
の面々も、今召捕った四、五人を引ッ立って、意気揚々と引き上げだした。すると、それを一目見た新九郎が
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども幕末の悲しさ、これを押えんために
捕方
(
とりかた
)
が向って来る模様も見えませんでした。そうなってみると貧窮組の組織は、決してこの一カ所にとどまらないことです。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
引摺つて駕籠のなかへ押込み、外から
垂簾
(
たれ
)
をおろす。おかんは不安らしく表をのぞいてゐると、路地の口より石子伴作は
捕方
(
とりかた
)
の者ふたりを連れ、雲哲と願哲を先に立てて出づ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
恟
(
びっく
)
りして、新吉が、段々
怖々
(
こわ/″\
)
ながら細かに読下すと、今夢に見た通り、谷中七面前、下總屋の中働お園に
懸想
(
けそう
)
して、無理無体に
殺害
(
せつがい
)
して、百両を盗んで逃げ、
後
(
のち
)
お
捕方
(
とりかた
)
に手向いして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奥甲賀の
山間
(
やまあい
)
に陽がおちるまでと約束した、与力中西
弥惣兵衛
(
やそべえ
)
と、その手の
捕方
(
とりかた
)
の影であった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
轟の源松とも言われる
捕方
(
とりかた
)
の功の者がおどろいたのだから、尋常の
見物
(
みもの
)
ではありません。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ほかに長屋の男 女 娘 子供
捕方
(
とりかた
)
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おのおのその
扮装
(
いでたち
)
をした
捕方
(
とりかた
)
の人数だと認めないわけにはゆきません。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
塀の外におけるこれらの問答が、いま、屋根の上の物音だけで耳を澄ましていた能登守の耳へ
歴々
(
ありあり
)
と聞えました。屋根の上のは何者とも知れないが、この塀の外のはまさしく
捕方
(
とりかた
)
の人数であります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もうその前後から
蝗
(
いなご
)
のように
捕方
(
とりかた
)
が飛びつきました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
捕
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“捕”で始まる語句
捕
捕虜
捕縛
捕手
捕縄
捕物
捕吏
捕捉
捕繩
捕獲