手持てもち)” の例文
手持てもち品物しなものならばなるたけはやこれさばかう、また手持てもち品物しなものなるたけすくなくしよう、ふことは當然たうぜん結果けつくわはなくてはならぬ。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
遣はし其後源八があそびに來りし時皆々折目高をりめだか待遇もてなしける故源八は手持てもち無沙汰ぶさた悄々すご/\と立歸り是は彼の文の事を兩親の知りし故なりとふか遺恨ゐこんおもひけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
板倉屋敷のそばまで行くと、角のもち屋の天水桶てんすいおけや一ト手持てもち辻番つじばん小屋の陰からムラムラと人影が立ちあがった。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
田圃たんぼはんはだらけたはなちて嫩葉わかばにはまだすこひまがあるので手持てもちなささうつて季節きせつである。わづかうるほひをふくんであしそこ暖味あたゝかみかんずる。たがやひとはまだたぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ちひさな葬式さうしきながらひつぎあと旋風つむじかぜほこりぱらつたやうにからりとしてた。手傳てつだひ女房等にようばうらはそれでなくても膳立ぜんだてをするきやくすくなくてひまであつたから滅切めつきり手持てもちがなくなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
るたけ手持てもち商品しやうひんげんじてつたが、すで爲替相場かはせさうばあがつてしまつて、其方面そのはうめんから物價低落ぶつかていらくがなくなつたからして、最早もはや安心あんしんして手持てもちふやすことが出來できる、すなは商取引しやうとりひきえる
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
たちたまひたり是によつて御列座も皆々退參たいさんと相成りければ跡に越前守只一人のこり手持てもちなき體なりしが外にせんすべもなくて凄々すご/\として御役宅を立ち去り歸宅せられしが忠義にこりなる所存を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それ、そこはうまはつてこぼれらな」勘次かんじ先刻さつきから、おこつたやうなはにかんだやうな、なんだか落付おちつきわる手持てもちのないかほをして、かへつ自分じぶんをば凝然ぢいつもせぬ卯平うへいかられるやうに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
手持てもち商品しやうひんすくなくすることは、商取引しやうとりひきることである。それだけ經濟界けいざいかいには不景氣ふけいききたすとふことである。それであるから爲替相場かはせさうばあが道程だうていおいては不景氣ふけいきむをない現象げんしやうであつた。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
始め一かうかまひつけず茶も一ぱい出さずして何か不興氣ふきようげの樣子なれば重四郎は手持てもちあしく平吉殿は如何いかゞされしやとおくとほらんとするを番頭ばんとう押止おしとゞめ今日は主人も平吉も留守るすなりと常にかはりし顏色にて重四郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)