干菜ほしな)” の例文
あらをはつたとき枯葉かれはおほいやうなのはみなかまでゝうしろはやしならみきなはわたして干菜ほしなけた。自分等じぶんら晝餐ひるさいにも一釜ひとかまでた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うちへ入ると、通し庭の壁側かべぎはに据ゑた小形のへつつひの前に小さくしやがんで、干菜ほしなでも煮るらしく、鍋の下を焚いてゐた母親が
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
宛如さながらあき掛稻かけいねに、干菜ほしな大根だいこんけつらね、眞赤まつか蕃椒たうがらしたばまじへた、飄逸へういつにしてさびのある友禪いうぜん一面いちめんずらりと張立はりたてたやうでもあるし、しきりに一小間々々ひとこま/\に、徳利とくりにお猪口ちよく、おさかなあふぎ
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて漬物甕つけものがめや、飯櫃めしびつや、鶏や、干菜ほしな漿塩壺しょうえんつぼなど思い思いに抱えてきた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ばばばかと書かれし壁の干菜ほしなかな
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
しなきててもべつつかれもしないのでそつと草履ざうり穿いてうしろ戸口とぐちからならつた干菜ほしなた。それからはやしなゝめはたへおりてまた牛胡頽子うしぐみそばつて其處そこをそつとかためた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大根だいこん時雨しぐれ干菜ほしなかぜとびからすせはしきそらを、くものまゝにつゝけば、霜林さうりん一寺いちじいだきてみねしづかてるあり。かねあれどもかず、きやうあれどもそうなく、しばあれどもひとず、師走しはすまちはしりけむ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それで蔬菜そさい庖丁はうちやうにかゝるあひだくちにこそつぱい干菜ほしな切干きりぼしやそれも缺乏けつばうげれば、れでも彼等かれら果敢はかない貯蓄心ちよちくしんもつと發揮はつきした大根だいこん鹽辛しほから漬物つけものをけにのみ副食物ふくしよくぶつもとめるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)