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こきざみ
ふりがな文庫
“
小刻
(
こきざみ
)” の例文
ややありて二人
三人
(
みたり
)
の
跫音
(
あしおと
)
の
小刻
(
こきざみ
)
に近付きつ、「私だよ。」というはお丹の声、「おやどうしなすった。」お丹は
闇中
(
くらがり
)
を
透
(
すか
)
し見て
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝは製罐部のような
小刻
(
こきざみ
)
な、一定の
調子
(
リズム
)
をもった音響でなしに、図太い、グヮン/\した音響が細い鋭い音響と入り交り、
汽槌
(
スチーム・ハンマー
)
のドズッ
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
軽い
小刻
(
こきざみ
)
な
韈
(
くつ
)
の音がすると、喬生は急いで
起
(
た
)
って往って
扉
(
と
)
を開けた。少女の持った真紅の鮮かな牡丹燈が
先
(
ま
)
ず眼に
注
(
つ
)
いた。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それに、
小刻
(
こきざみ
)
によろけるやうに歩いて居るのは、後ろ向きになつて垣から縁のところまで歩いて來た證據ぢやありませんか
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
とことことことこ
小刻
(
こきざみ
)
にかける足音がしたと思ふと、せつせと原稿を書いて居る三田の目の前に、母親に似て上唇の厚ぼつたくとんがつたひよわさうな子供が
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
▼ もっと見る
血色は優れず、両の眼玉は、あり得べからざるものの姿でも見た人のように、
空
(
うつ
)
ろに見開かれて、食器をとる手は、内心の亢奮を包み切れずか絶えず
小刻
(
こきざみ
)
に顫えていた。
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
とその中を、すらりと抜けて、
褄
(
つま
)
も包ましいが、ちらちらと
小刻
(
こきざみ
)
に、土手へ出て、
巨石
(
おおいし
)
の
其方
(
そなた
)
の隅に、松の根に立った娘がある。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
といいあえず、上着の
片褄
(
かたづま
)
掻取
(
かいと
)
りあげて
小刻
(
こきざみ
)
に足はやく、
颯
(
さっ
)
と芝生におり立ちぬ。高津は見るより
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白足袋で、黒の
爪皮
(
つまかわ
)
を深く掛けた小さく高い
足駄穿
(
あしだばき
)
で、
花崗石
(
みかげいし
)
の上を
小刻
(
こきざみ
)
の音、からからと二足三足。
頭
(
つむり
)
が軒の下を放れたと思うと、腰を
伸
(
の
)
して、打仰いで空を見た。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しとしという尋常らしい
跫音
(
あしおと
)
が、今はびちゃびちゃと聞えて来た。水なら
踵
(
かかと
)
まで
浴
(
かか
)
ろう深さ、そうして
小刻
(
こきざみ
)
に
疾
(
はや
)
くなったが、
水田
(
みずた
)
へ
蹈込
(
ふみこ
)
んで渡るのを
畔
(
あぜ
)
から聞く位の響き。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠
(
とほ
)
く
彼方
(
かなた
)
からひた/\と
小刻
(
こきざみ
)
に
駈
(
か
)
けて
来
(
く
)
るのは、二
本足
(
ほんあし
)
に
草鞋
(
わらぢ
)
を
穿
(
は
)
いた
獣
(
けもの
)
と
思
(
おも
)
はれた、いやさまざまにむら/\と
家
(
いへ
)
のぐるりを
取巻
(
とりま
)
いたやうで、二十三十のものゝ
鼻息
(
はないき
)
、
羽音
(
はおと
)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
カラカラと
小刻
(
こきざみ
)
に、女の通る下駄の音、屋敷町に響いたが、女中はまだ帰って来ない。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
取縋
(
とりすが
)
る法もあるけれども、
対手
(
あいて
)
方はそれなり口も利かなかった
咄嗟
(
とっさ
)
の間、お夏は
船納涼
(
ふなすずみ
)
の
転寝
(
うたたね
)
にもついぞ覚えぬ、冷たさを身に感じて、人心地もなく
小刻
(
こきざみ
)
につかつかと
踵
(
きびす
)
を返した。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時なんぞは銀行からお帰り
匇々
(
そうそう
)
と見えまして、白襟で小紋のお召を二枚も
襲
(
かさ
)
ねていらっしゃいまして、早口で弁舌の
爽
(
さわやか
)
な、ちょこまかにあれこれあれこれ、始終
小刻
(
こきざみ
)
に体を動かし通し
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むささびか知らぬがきッきッといって屋の
棟
(
むね
)
へ、やがておよそ小山ほどあろうと
気取
(
けど
)
られるのが胸を
圧
(
お
)
すほどに
近
(
ちかづ
)
いて来て、牛が鳴いた、遠くの
彼方
(
かなた
)
からひたひたと
小刻
(
こきざみ
)
に
駈
(
か
)
けて来るのは
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
些
(
ち
)
と
離
(
はな
)
れた
畝
(
あぜ
)
を
伝
(
つた
)
つて、
向
(
むか
)
ふから
又
(
また
)
一
(
ひと
)
つ、ひよい/\と
来
(
き
)
て、ばさりと
頭
(
かしら
)
を
寄
(
よ
)
せて
同
(
おな
)
じく
留
(
と
)
まる。と
素直
(
まつすぐ
)
な
畷筋
(
なはてすぢ
)
を、
別
(
べつ
)
に
一個
(
ひとつ
)
よたよた/\/\と、
其
(
それ
)
でも
小刻
(
こきざみ
)
の
一本脚
(
いつぽんあし
)
、
竹
(
たけ
)
を
早
(
はや
)
めて
急
(
いそ
)
いで
近寄
(
ちかよ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「恐れるな。
小天狗
(
こてんぐ
)
め、」とさも悔しげに口の内に
呟
(
つぶや
)
いて、
洋杖
(
ステッキ
)
をちょいとついて、
小刻
(
こきざみ
)
に二ツ三ツ
地
(
つち
)
の上をつついたが、
懶
(
ものう
)
げに帽の前を
俯向
(
うつむ
)
けて、射る日を
遮
(
さえぎ
)
り、
淋
(
さみ
)
しそうに、一人で歩き出した。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一言も物いわぬ三人の口は、一度にバアと云って驚かそうと、我がために、はた
爾
(
しか
)
く閉されているように思って、友染は
簪
(
かんざし
)
の花とともに、堅くなって膳を据えて、浮上るように立って、
小刻
(
こきざみ
)
に
襖
(
ふすま
)
の際。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
蚊遣香
(
かやりかう
)
は、
小刻
(
こきざみ
)
を
打
(
う
)
つて
畝
(
うね
)
つて、せつせと
燻
(
いぶ
)
る。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
小刻
(
こきざみ
)
に灰を落したが、直ぐにまた煙草にする。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お丹は
小刻
(
こきざみ
)
に座を進め
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
刻
常用漢字
小6
部首:⼑
8画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父