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嬶
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かかあ
ふりがな文庫
“
嬶
(
かかあ
)” の例文
「きょうは
嬶
(
かかあ
)
が留守だから、見舞はいずれ後から届けるが、
小児
(
こども
)
が病気じゃあ困るだろう。まあ、取りあえずこれだけ持って行け」
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一見筋の悪い口入屋の
嬶
(
かかあ
)
と云つた風の女が妙な苦笑を浮べながら石階を降りて小さな自分の包を取りに隅の方の腰掛の傍に行つた。
監獄挿話 面会人控所
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
例によって彼自身では何一つ楽しみも与えもしないで、苦労ばかりさせた妻にむかっては「ぼていふりの
嬶
(
かかあ
)
が相当だ」と
罵
(
ののし
)
った。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まるで赤ん坊を寝かしたような恰好で、その方がヨッポド気味が悪いんですが、
嬶
(
かかあ
)
はその方が安心らしく、よく眠るようになりましたよ。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
帰りはまた
聿駄天
(
いだてん
)
走りだ。自分の
辛
(
つら
)
いよりか、朝から三時過ぎまでお粥も
啜
(
すす
)
らずに待っている
嬶
(
かかあ
)
や子供が案じられてなんねえ。
躯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
「ええ、行きますべえ、ああ、どっこいしょ、山で日を送ってりゃ
安気
(
あんき
)
なもんだ、あさっでは久し振りで
嬶
(
かかあ
)
の顔でも見ますべえかなあ……」
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
「
妾
(
めかけ
)
も囲い者もあるかな、おれには女はお前
一人
(
ひとり
)
よりないんだからな。離縁状は横浜の土を踏むと一緒に
嬶
(
かかあ
)
に向けてぶっ飛ばしてあるんだ」
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
荷馬車はもう
準備
(
したく
)
が出来てゐて、権作は
嬶
(
かかあ
)
に何やら口小言を言ひながら、脚の太い
黒馬
(
あを
)
を曳き出して来て馬車に繋いでゐた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それから、彼は急に泣き出して了ひ、「わいの
嬶
(
かかあ
)
は、間男しやがつて、そいつの子を産みやがつて」と
嗚咽
(
をえつ
)
したが、やがて濡れた顔をあげると
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
彼の家に起ったこの二つの事件は、地主の
嬶
(
かかあ
)
共に依って次のようなデマを生み、部落内へ流布された。「神様を粗末にするから罰が当ったのだ」と。
母へ
(新字新仮名)
/
長沢佑
(著)
「あの野郎は
嬶
(
かかあ
)
をもらつて、今年は休ましてもらひますだとの」などいふ会話が幕の間に舞台の上下で交はされる。
閑山
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
嬶
(
かかあ
)
でもいるとお
髪
(
ぐし
)
やお召物のお世話をして上げるんでございますけれども、まあそのうちに嬶も帰って参りますから
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
併し、要するに、皆な自分の腑甲斐ない処から来たのだ。
彼女
(
あれ
)
は女だ。そしてまた、自分が
嬶
(
かかあ
)
や子供の為めに自分を
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
嬶
(
かかあ
)
や餓鬼を愛することが出来るに至って人間並の男で、好漢を愛し得るに至ってはじめて是れ好漢、
仇敵
(
きゅうてき
)
を愛し得るに至ってホントの出来た男なのだ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして『
遠眼鏡
(
スパイグラース
)
屋』は借地権も
暖簾
(
のれん
)
も道具一式もすっかり売り払って、
嬶
(
かかあ
)
どんは己と逢うためにそこを出ているよ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
そこへ持って来て、子供二人と老母と
嬶
(
かかあ
)
とこれだけの人間が、私を、この私を一本の杖にして
縋
(
すが
)
ってるんです。
牢獄の半日
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
……男は悲しい、可哀そうなもんだ。だから、だからおらあ
嬶
(
かかあ
)
をはり倒す、
拳骨
(
げんこつ
)
でも平手でも、……この阿魔ッふざけるな、蹴ころがしてやることもあるさ
嘘アつかねえ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
嬶
(
かかあ
)
も因果な奴さ、と卯平の云った言葉がぴんと胸にひびき、彼は、苦労させつづけている自分の女房と子供達のことを思い出し、今更のことではないけれども
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「
嬶
(
かかあ
)
や
餓鬼
(
がき
)
を、
乾
(
ひ
)
ぼしにしておいて、どの
面
(
つら
)
さげて帰って来たかっ、この呑ンだくれの、阿呆おやじがっ」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生れ立ての羚羊、
亭主
(
おやじ
)
の羚羊、それから
嬶
(
かかあ
)
の羚羊とこう三匹つかめえましたならば、まず
餓鬼
(
がき
)
の羚羊をモン・ブランのてっぺんへ持って行ってくくりつけておく。
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
藤兵衛の
嬶
(
かかあ
)
め、俺がいつか小豆一升貸せいうて頼んだのに、貸せんというてはねつけやがったものな。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「なアに
何家
(
どこ
)
の
嬶
(
かかあ
)
も同じことよ。
彼女
(
あれ
)
はここへ来ても、
小舎
(
うち
)
にいても、せっせと仕事をしているだ」
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
見てきた男に聞けば、林でおいおい泣き声が聞こえるから行ってみると、それは小屋の祭文読みの
嬶
(
かかあ
)
で、自分で
緊
(
し
)
め殺した赤児を抱いて声を
挙
(
あ
)
げて泣いていたそうな。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
おらんちの
嬶
(
かかあ
)
が目を悪くして病院さ入れたんでがすが、手術をしなくちゃ目が見えなくなってしまうっていうんで、手術をしてもらうべと思ったら、それにゃあ百五
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
この里には
別嬶
(
べっぴん
)
もいる、一人ずつ
嬶
(
かかあ
)
にするがいい。ため込んだ金もある筈だ、洗いざらいふんだくってしまえ! まず行って
下知
(
げち
)
を伝え、その足ですぐに裏手へ廻れ!
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ありゃ、山の狐じゃ。淋しいから、わしの
嬶
(
かかあ
)
にしてしもた。子が生れると、安倍晴明になる」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「俺にだって
嬶
(
かかあ
)
や子供はいるんだで」
白首
(
ごけ
)
のことを話した漁夫が急に怒ったように云った。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
言いますと、私の見込みもまずその辺のところですな。失礼ですが、あんたは私の逃げた
嬶
(
かかあ
)
に似てなさって、とても尋常では一人の亭主を護ってる柄でないようにおありなさる
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「じゃあ、さっさと帰ってって、
嬶
(
かかあ
)
に出鱈目を聞かせるさ! そら、お前の帽子だよ。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
ゲエープツ、ああ酔つたぞ酔つたぞ
真実
(
ほんと
)
に好い心持に酔つて。かう酔つた時の心持は実に何ともいへないや。
嬶
(
かかあ
)
が怒らうが、
小児
(
がき
)
が泣かうがサ、ハハハハゲエープツ、ああ好い心持だ。
磯馴松
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
「真面目もへったくれも有ッたもんかい!……気に入りゃ、かっぱらって
嬶
(
かかあ
)
にするし、いやになりゃポイポイ売ッとばすんだ。世話がなくって、どれだけ気しょくがいいか知れめえ!」
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
文壇や美術界を見ても、真面目な批評は一つも見られなくて、人の噂ばかりしかしていない。してみると日本の文壇画壇などというものは、まず長屋の
嬶
(
かかあ
)
の
寄合
(
よりあい
)
と同様に
看做
(
みな
)
すべきものだ。
独居雑感
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
眼玉の大きいところから蜻蛉の
辰
(
たつ
)
と呼ばれている中年者が住んでいるが、去年の夏、女郎上りの
嬶
(
かかあ
)
に死なれてからは、昼は家にごろごろして日暮れから
夜鳴饂飩
(
よなきうどん
)
を売りに出ているとのこと。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
安どまりの
嬶
(
かかあ
)
だよ。おきぬさん心配おしでない。喧嘩や刃物にゃ慣れっこだ。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「源公の野郎、木っぱと
嬶
(
かかあ
)
とばくみっこすりゃがって!」(交換の意)
夏蚕時
(新字旧仮名)
/
金田千鶴
(著)
「おとよさんほしいというか、
嬶
(
かかあ
)
にいいつけてやるど、やあいやあい」
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
初めは行き暮れた旅人を泊らしては路銀を
窃
(
ぬす
)
む悪猟師の女房、次には
媳
(
よめ
)
いびりの
猫化郷士
(
ねこばけごうし
)
の妻、三転して
追剥
(
おいはぎ
)
の女房の女按摩となり、最後に
折助
(
おりすけ
)
の
嬶
(
かかあ
)
となって亭主と馴れ合いに賊を働く
夜鷹
(
よたか
)
となり
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「何故って、子供をつけて出そうというのは
嬶
(
かかあ
)
に魂胆があるからさ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
『
嬶
(
かかあ
)
、ゆ、許してくれ、おら、申わけがねえ。申わけがねえだ。』
神童の死
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
嬶
(
かかあ
)
の気の毒がるのを
叱
(
しか
)
りつけようてった調子なんですからね。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「なにが不足で、わりゃ
嬶
(
かかあ
)
を置き放して、逃げるんか」
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
「だんなさま、
嬶
(
かかあ
)
がくいころされておりますだァ!」
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「独りだ。先月八人目の
嬶
(
かかあ
)
ににげられたんだ。」
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
ああ 奧さん! 長屋の上品な
嬶
(
かかあ
)
ども
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
頬の赤い
嬶
(
かかあ
)
が長々と昼寝をしてゐる
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
嬶
(
かかあ
)
は夜番
炭坑長屋物語
(新字新仮名)
/
猪狩満直
(著)
私
(
あっし
)
も多分そんな事だろうと思っているにはいるんですが……ですから一緒に寝ている
嬶
(
かかあ
)
がトテモ義足を怖がり始めましてね。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
やっぱり手ぶらで帰って来て、『今夜もまたやり損じた。おまけに
嬶
(
かかあ
)
が大きな声を出しゃあがったから、
自棄
(
やけ
)
になって土手っ腹をえぐって来た』
半七捕物帳:02 石灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「あの野郎は
嬶
(
かかあ
)
をもらって、今年は休ましてもらいますだとの」などいう会話が幕の間に舞台の上下で交わされる。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
間もなく木賃宿の
嬶
(
かかあ
)
が外に出て来たから、訊いて見ると、その男は昨日日が暮れてから来て泊つたのだといふ。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
嬶
漢検1級
部首:⼥
17画
“嬶”を含む語句
嬶天下
別嬶
嬶々
嬶共
嬶左衛門内
嬶様
嬶殿
嬶罰