母へははへ
一九二九年四月十六日未明、同志吉田君はやられた。彼の家は家宅捜索——神棚は勿論、土間の隅まで掻きむしられた。翌三〇年十一月、彼の愛弟は裏の河へ落ちて死んだ。彼の家に起ったこの二つの事件は、地主の嬶共に依って次のようなデマを生み、部落内へ流布 …