“かかあ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
60.8%
20.3%
媽々8.9%
女房5.1%
嚊々1.9%
亡妻0.6%
0.6%
0.6%
母親0.6%
阿媽0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一見筋の悪い口入屋のかかあと云つた風の女が妙な苦笑を浮べながら石階を降りて小さな自分の包を取りに隅の方の腰掛の傍に行つた。
監獄挿話 面会人控所 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
かかあの事なんぞを案じるよりゃ、お前こそ体に気をつけるがい。何だかこの頃はいつ来て見ても、ふさいでばかりいるじゃないか?」
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
朱羅宇しゅらう長煙草ながぎせるで、片靨かたえくぼ煙草たばこを吹かしながら田舎の媽々かかあと、引解ひっときもののの掛引をしていたのをたと言う……その直後である……浜町の鳥料理。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
肉づきまでがふっくりして、温かそうに思われたが、若し、僕に女房かかあを世話してくれる者があるなら彼様あんなのが欲しいものだ
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
神月が人魂だといったのを聞いた時、あいつ愛嬌あいきょうのない、鼻のたかい、目のきつい、源氏物語の精霊しょうりょうのような、玉司たまつかさ子爵夫人りゅう子、語を換えて云えば神月の嚊々かかあだ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お願いだ、親分。あの娘には、何にも知らせたくはありません。私の居ないのを不思議に思ったら、亡妻かかあ菩提ぼだいを弔うため、西国巡礼に出た——とそう言っておいて下さい」
死んだかかあは家附きで、俺は北海道へ出稼中、堅気に見込みを付けられて、中ぐらいな身代へ養子に入った身の上だがね。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あれが暮に除隊になって来るってなし、かかあどんは今から騒ぎ廻って居るのえ。花嫁様、さがすべえし、もうけ口さがすべえしない。百姓には、したくないちゅうてなし。中学出したからですぺ。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「今時の風邪は永引くもんでなあ。それにしても、風邪ぐれえなら、安心だ。母親かかあが心配してたぞ。」
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
パッパッと田舎の親仁おやじが、てのひらへ吸殻を転がして、煙管きせるにズーズーとやにの音。くく、とどこかで鳩の声。あかねあねえも三四人、鬱金うこん婆様ばさまに、菜畠なばたけ阿媽かかあまじって、どれも口を開けていた。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)