女房かかあ)” の例文
四十親仁おやじで、これの小僧の時は、まだ微禄びろくをしません以前の……その婆のとこに下男奉公、女房かかあも女中奉公をしたものだそうで。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
肉づきまでがふっくりして、温かそうに思われたが、若し、僕に女房かかあを世話してくれる者があるなら彼様あんなのが欲しいものだ
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
世帯しょたいもこれで幾度いくたびか持ってはこわし持っては毀し、女房かかあ七度ななたび持って七度出したが、こんな酒はまだ呑まなかった。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「どう仕りまして、陛下! 人間が女房かかあなしで生きられぬことは、陛下も御承知ではござりませぬか。」
自分のような男にも女房かかあになってやるという女が出来た、自分は少々歪んでても、曲っててもいい、女房かかあになってくれる女があれば、その女のために一所懸命やろうと思っていたが
世相 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「皆んな出鱈目だっていうことよ。セリーヌはいい女房かかあで、よく働いてくれるだ。それに、おれはこれっぱかりも彼女あれに不自由はさせてねえだから、彼女あれが何でおれを袖にするもんか」
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
馬鹿あかせ、三銭のうらみ執念しゅうねんをひく亡者もうじゃ女房かかあじゃあてめえだってちと役不足だろうじゃあえか、ハハハハ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「うちの女房かかあが去年のいちで二十五カペイカ出して買つた火掻棒は、こんなに……痛かあねえだが……。」
伝三郎の言を借りると、「うちの女房かかあ双子ふたご産みくさった様な気持がした」のだ。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
それというのも、女房かかあ婀娜女あだものなせいにちがいない——そう考えて来てふと思いだしたのは、もう一週間経てば軍隊の方へ一ヶ月も召集されて、その間留守にせねばならぬことであった。
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
はい、旦那さま、一年のうちに女房かかあと、娘と、男の子を二人られました。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
なあに、女房かかあも家にやゐねえんでね。