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嚊
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かかあ
ふりがな文庫
“
嚊
(
かかあ
)” の例文
それにこっちには仕事の勤めというものがあるし、年がら年中、そうべたくさする
嚊
(
かかあ
)
の相手にばかりなっちゃいられませんからなあ。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
嚊
(
かかあ
)
の事なんぞを案じるよりゃ、お前こそ体に気をつけるが
好
(
い
)
い。何だかこの頃はいつ来て見ても、ふさいでばかりいるじゃないか?」
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
え? 「モナコの岸」? マアセル? このマアセルか。
止
(
よ
)
せよジョウジ、冗談じゃあねえぜ。
此女
(
これ
)
あお
前
(
めえ
)
、俺んとこの
嚊
(
かかあ
)
じゃねえか。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ある夜のことに藤吉が参りまして、
洗濯物
(
せんたくもの
)
があるなら
嚊
(
かかあ
)
に洗わせるから出せと申しますから、遠慮なく
単衣
(
ひとえ
)
と
襦袢
(
じゅばん
)
を出しました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
読者中病身の
細君
(
さいくん
)
を親切に
看護
(
かんご
)
する者あれば、これを
褒
(
ほ
)
める者があると同時に、
彼奴
(
きゃつ
)
め
嚊
(
かかあ
)
に
惚
(
のろ
)
いと批評された経験もあろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
あすこの
嚊
(
かかあ
)
は子種をよそから
貰
(
もら
)
ってでもいるんだろうと農場の若い者などが寄ると
戯談
(
じょうだん
)
を言い合った。女房と言うのは体のがっしりした
酒喰
(
さけぐら
)
いの女だった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「すると、煙草屋のむすめと自身番の佐兵衛と番太の
嚊
(
かかあ
)
と、この三人にいたずらをした奴は手前の兄貴だな」
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「お上さん、今帰りました。」と息を切らせて、「すまねえが、
嚊
(
かかあ
)
に降りてこいって呼んでおくんなさい。」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「そんなに
嚊
(
かかあ
)
の事ばかり気にするなよ。どうせ取られちまったんだ。
今更
(
いまさら
)
唸ったってどうなるもんか。質に入れた嚊だ。受出さなけりゃ流れるなあ当り前だ」
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「家内以外の異性、即ち主として芸者だね。然ういうのを連れて一日の清遊をするのが二個連れさ。それから家内、即ち
嚊
(
かかあ
)
同伴でノメ/\出掛けるのが
鋳掛連
(
いかけづ
)
れさ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
女房は評判の
堅造
(
かたぞう
)
で病身、本人も評判の仏性で、
嚊
(
かかあ
)
孝行の
耄碌爺
(
もうろくおやじ
)
となれあ、疑いをかけるところはどこにも無いだろう。要するにこれは何でもない突発事件だと思うね
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
嚊
(
かかあ
)
を貰って、嚊の親もとへ行っていると、スパイは、その門の中へまでのこ/\はいって来る。
鍬と鎌の五月
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
嚊
(
かかあ
)
らに責任はもたせぬ、というようなことを言って、てんで寄せつけようとしないのであった。
米
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
話にきくと、北海の
鰊場
(
にしんば
)
には三角眼の不良鴉が
跳梁
(
ちょうりょう
)
しているそうである。子供の頭には乗っかる、突き飛ばす、赤銅色の漁師の腕はすり抜ける、
嚊
(
かかあ
)
衆の洗濯物はばたつかす。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
オヤ小紫ですってそれなら柳橋じゃない吉原でしょう。ナーニ柳橋にも小紫というおいらんがありますよ。スルト、
嚊
(
かかあ
)
め柳橋においらんがありますか、そりゃ
始
(
はじめ
)
て聞きました。
煩悶
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
すなわち趣味の同化から和楽しためでたいところで落ちになっているのであるが、この
嚊
(
かかあ
)
大明神の、竈の下でも吹いてやがれ云々が非常に
利
(
き
)
いて、痛快でかつ適切でありはせぬか。
東奥異聞
(新字新仮名)
/
佐々木喜善
(著)
「一度でもよいから、そんな軍功をわしが立てさえすれば、
嚊
(
かかあ
)
や子にも、もすこし人並な暮しもさせてやれようものを。万年足軽の万年貧乏。それに、わしももう
年齢
(
とし
)
が年じゃし」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ海のものとも山のものとも知れねいんだからね。これなら大丈夫屋台骨が張って行けるという見越しがつかんことにゃ、
私
(
あっし
)
ア不安心で、とても
嚊
(
かかあ
)
など持つ気になれやしない。嚊アを
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なあ甲助、どうせ養子をするほども無い
財産
(
しんだい
)
だから、
嚊
(
かかあ
)
が勧める嚊の甥なんぞの気心も知れねえ
奴
(
やつ
)
を入れるよりは、
怜悧
(
りこう
)
で
天賦
(
たち
)
の
良
(
い
)
いあの源三におらが
有
(
も
)
ったものは
不残
(
みんな
)
遣
(
や
)
るつもりだ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
前年の晩秋どこかへ
用達
(
ようた
)
しに行った帰り、夏
嚊
(
かかあ
)
に死なれて
悄気
(
しょげ
)
きっていた辰は途上で未知の大之進に掴まって片棒かつぐことになったのだが、名も言わず聞かず、ほとんど口もきかずに
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「君がいなかったものだから、僕は
嚊
(
かかあ
)
も子供も皆な奪られてしまったよ」と。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
髪の乱れた肥った
嚊
(
かかあ
)
が柱によりかかって、今年生まれた
赤児
(
あかご
)
に乳を飲ませていると、亭主らしい
鬚面
(
ひげづら
)
の四十男は、雨に仕事のできぬのを退屈そうに、手を伸ばして大きなあくびをしていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
彼等は——
知県
(
ちけん
)
に鞭打たれたことがある。紳士から
張手
(
はりで
)
を
食
(
くら
)
ったことがある。小役人から
嚊
(
かかあ
)
を取られたことがある。また彼等の親達が金貸からとっちめられて
無理死
(
むりじに
)
をさせられたことがある。
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「先生、この石塔も実は今の
嚊
(
かかあ
)
には内々で建ててやったんで御在ます。」
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
釣り気ちがいで、店は女房まかせ、そのために、いつも、夫婦喧嘩の絶え間がない。喧嘩といっても、常に、細君の方の一方的勝利に終るので、「なんでも屋」は、
嚊
(
かかあ
)
天下として、鳴りひびいている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そこへ行っちゃ兄さんなんかすばらしいもんだ、ちょいと夕方から二三時間廻ってくりゃ、腹巻にザクザクいうほど握ってくるんだから——なあ
嚊
(
かかあ
)
、羨しい腕じゃねえか。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「省くにしても、少し省き過ぎましたな。なにしろ
嚊
(
かかあ
)
をゼロにしてしまったんですからなあ」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「向こうに着いたらこれで
悶着
(
もんちゃく
)
ものだぜ。田川の
嚊
(
かかあ
)
め、あいつ、
一味噌
(
ひとみそ
)
すらずにおくまいて」
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これでも妻君が内に待ってるだろうッちゅうので折詰を持って帰るなどは大ていな事じゃないよ。
嚊
(
かかあ
)
大明神
尤
(
もっとも
)
少々焼いて見るなぞは有難いな。女房の焼くほど亭主持てもせず、ハハハハハ。
煩悶
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
新城町
(
しんしろまち
)
のもので、若い
嚊
(
かかあ
)
があったはずだ。上陸当座はいっしょによく徴発に行ったっけ。豚を
逐
(
お
)
い
廻
(
まわ
)
したッけ。けれどあの男はもはやこの世の中にいないのだ。いないとはどうしても思えん。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
風呂の中で
歌祭文
(
うたざいもん
)
を唄つてゐる
嚊
(
かかあ
)
たばね、上り場で手拭をしぼつてゐるちよん
髷
(
まげ
)
本多
(
ほんだ
)
、
文身
(
ほりもの
)
の背中を流させてゐる
丸額
(
まるびたひ
)
の
大銀杏
(
おほいてふ
)
、さつきから顔ばかり洗つてゐる
由兵衛奴
(
よしべゑやつこ
)
、
水槽
(
みづぶね
)
の前に腰を据ゑて
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は村人の中では確かにもう指折の人物になっていた。けれど夏は
燈火
(
あかり
)
のつかぬうちに食事をするのが農家の慣わしであるから、帰りが遅くなって
嚊
(
かかあ
)
に小言をいわれるのは無理もないことである。
風波
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
老先長き天下の学生にして学校の虚名空聞を欲する事さながら成金の位階を欲し、車掌の
嚊
(
かかあ
)
奥様と呼ばれて嬉しがるが如きものあるに至っては慷慨家にあらざるも亦長大息を漏らさざるを得ざるなり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「野郎は海へ出て魚を釣るし
嚊
(
かかあ
)
は家にいて歌を読むしと……」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「金しゅうも早く
癒
(
なお
)
って、
嚊
(
かかあ
)
を受け出したら好かろう」
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「その口ぶりじゃ、
嚊
(
かかあ
)
の方はもう辛抱して還る気はねえんだね。そのはずさ、七八年も世間師をしていちゃ、
旅人根性
(
たびにんこんじょう
)
は生涯抜けやしねえ、今さらとても土百姓に
返
(
けえ
)
られるものか。」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「正直のところ、おかしな
嚊
(
かかあ
)
を持つより無い方が、さっぱりしてますな」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
風呂の中で
歌祭文
(
うたざいもん
)
を
唄
(
うた
)
っている
嚊
(
かかあ
)
たばね、上がり場で
手拭
(
てぬぐい
)
をしぼっているちょん
髷本多
(
まげほんだ
)
、
文身
(
ほりもの
)
の背中を流させている
丸額
(
まるびたい
)
の
大銀杏
(
おおいちょう
)
、さっきから顔ばかり洗っている
由兵衛奴
(
よしべえやっこ
)
、
水槽
(
みずぶね
)
の前に腰を
据
(
す
)
えて
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
嚊
(
かかあ
)
は汚ない鼻たらしの子供を叱っている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「家庭発展党、
嚊
(
かかあ
)
大明神と来ている」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
まんざら路地裏の
嚊
(
かかあ
)
とも見えない。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「これか? これは
嚊
(
かかあ
)
に引っ
掻
(
か
)
かれたのさ。」
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
嚊
(
かかあ
)
かい? 嚊とも近々別れる筈だよ。」
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
嚊
漢検1級
部首:⼝
17画
“嚊”を含む語句
嚊々
嚊大明神
嚊々左衛門
嚊声
嚊天下
嚊左衛門
嚊座
嚊様
嚊殿
嚊等