トップ
>
吃驚
>
びっくり
ふりがな文庫
“
吃驚
(
びっくり
)” の例文
と、突然後からコートの背中を
突
(
つっ
)
つくものがあるので、
吃驚
(
びっくり
)
して振り返って見ると、見知らない一人の青年が笑いながら立っていた。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
すると、泥棒の方でも
吃驚
(
びっくり
)
して、いきなり下女の顔へ手文庫の中の
金
(
かね
)
を叩き付けたそうで、可哀相に若い娘が額をやられております。
銭形平次捕物控:039 赤い痣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あたしたちは
吃驚
(
びっくり
)
しているうちに、見物が抱上げて
出車
(
だし
)
の上の人たちの手に渡してくれた。無論上にはお金坊もおよっちゃんもいた。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
吃驚
(
びっくり
)
させられる事があるんです。——いつかも修善寺の
温泉宿
(
ゆやど
)
で、あすこに廊下の橋がかりに川水を引入れた
流
(
ながれ
)
の瀬があるでしょう。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
障子が
段々
(
だんだん
)
眩
(
まぶ
)
しくなって、時々
吃驚
(
びっくり
)
する様な大きな
響
(
おと
)
をさしてドサリ
撞
(
どう
)
と雪が落ちる。机の
傍
(
そば
)
では
真鍮
(
しんちゅう
)
の
薬鑵
(
やかん
)
がチン/\云って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
それはあなたの想像も及ばないところでして、きっとあなたは
吃驚
(
びっくり
)
なさいますと同時に、限りなく腹をお立てになるだろうと思います。
秘密の相似
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
しかしそれと同時に三十四歳とはどうしても見えない、少なくも四十はだいぶ越しているらしい年配である事を発見して二度
吃驚
(
びっくり
)
した。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
アメリア嬢は
肥
(
ふと
)
っちょの背の低い婦人で、姉をひどく怖がっていました。彼女はセエラのしうちに
吃驚
(
びっくり
)
して、
階下
(
した
)
に降りて行きました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
不意に後から声を掛けられたので、滝之助は
吃驚
(
びっくり
)
した。次第に依ってはその人をも殺して罪を隠そうと、身構えながら、振向いて見た。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
いせいのいい声でどなりながら、七八人の少年たちが追って来て、こっちが
吃驚
(
びっくり
)
しているうちに追いぬき、前へまわって立ち
塞
(
ふさ
)
がった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それを見ると、三次は脅し半分に腕を伸ばして辰の肩口を掴んだのだが、掴まれた辰よりもかえって掴んだ三次のほうが
吃驚
(
びっくり
)
した。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
やがて、東京へ行って来た
旨
(
むね
)
蝶子が言うと、種吉は「そら大変や、東京は大地震や」
吃驚
(
びっくり
)
してしまったので、それで話の糸口はついた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
徳市は
吃驚
(
びっくり
)
して
頭
(
かしら
)
を上げた。
空
(
す
)
いた腹を撫でまわしてあたりを見まわした。眼の前に立派な家が立っていた。何気なくその表札を見た。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
その日は丁度大金を所持してゐたので
花魁
(
おいらん
)
も
吃驚
(
びっくり
)
して店の金庫へ蔵してくれたこと、娼妓も三十を過ぎると全てに親切である話、等々
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
思出し笑いをしながら歩いているがんりきの横合いから不意に浴びせかけたものですから、そこでがんりきが
吃驚
(
びっくり
)
して踏みとどまると
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ナニ構うことはないから、平気でドンドン、飛行機を進めて行くさ、輪形陣の中に、こっちが入って行けば自信を裏切られて
吃驚
(
びっくり
)
する。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
玄関へ向って、胸を張って云ったが、家の中からは
答
(
いら
)
えがなく、その声に
吃驚
(
びっくり
)
したように奥の植込みの蔭で人影が木の葉をうごかした。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふと
轟
(
とどろ
)
いたお政の声に、
怖気
(
おじけ
)
の附いた文三ゆえ、
吃驚
(
びっくり
)
して首を
矯
(
あ
)
げてみて、安心した※お勢が誤まッて茶を
膝
(
ひざ
)
に
滴
(
こぼ
)
したので有ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「わたしも随分
鈍馬
(
とんま
)
ね。初めてこれを読んだときは、もう
吃驚
(
びっくり
)
して、どうしたらいいか解らなかったのよ。何て馬鹿でしょうね」
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「標札を見て
吃驚
(
びっくり
)
した。佐藤量順と言ってくれゝば直ぐ分るのに、佐藤氏佐藤氏と言うものだから、まさかあの先生だとは思わなかった」
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
……それから、
保羅
(
ぽうる
)
さんに、
礼奴
(
れいぬ
)
さん、そんな
吃驚
(
びっくり
)
したような顔をして、ウロウロしていないで、元気よく歌でもお唄いなさい。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
菅子は
吃驚
(
びっくり
)
人形のように起きあがると、浴衣の寝巻きのまま扉を開けに立った。叔母が出ていった布団の中はぬくぬくして気持ちがいい。
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
人力車の多いのには
吃驚
(
びっくり
)
する! 東京に六万台あるそうである! これは信用出来ぬ程の数である。あるいは間違っているのかも知れぬ。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
そして、
吃驚
(
びっくり
)
している私達を尻眼に掛けながら、喬介はタンクの梯子を降りて行った。そして其処で騒いでいた助役を捕えると
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「言うたか。今にそう言うであろうと待っていたのじゃ。ならば迷いの夢を
醒
(
さ
)
ましてやるために嗅がしてやるものがある。
吃驚
(
びっくり
)
するなよ」
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
もし犬屋で売ってくれましたら、二人で同じものを手に入れて品評会へ出して、ソレルの夫人を
吃驚
(
びっくり
)
させてやりましょうって……
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「まあ、旦那様でしたか。こんな所に立っていらして、本当に
吃驚
(
びっくり
)
しました!」と言いだした「いったいどうなすったのでございます?」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
吃驚
(
びっくり
)
するほど
筋肉
(
にく
)
の引き緊った犬というのも見たが、なかなか良い犬であった。それから一行はクリミヤ産の牝犬を見に行った。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「ええ、あの長い顔の
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やした。あれはなに、わたしあの人の下駄を見て
吃驚
(
びっくり
)
したわ。随分薄っぺらなのね。まるで
草履
(
ぞうり
)
よ」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若し彼女が一寸でも
吃驚
(
びっくり
)
したり恐れたりすると、もう彼は幾百年も元の人間の体には戻れないと云う事を話して聞かせました。
二つの短い話
(新字新仮名)
/
ダグラス・ハイド
、
パトリック・ケネディ
(著)
王は確かに夢ではないと思ったが、眼を開けて
吃驚
(
びっくり
)
さしてはいけないと思ったので、そのまま眠った
容
(
ふう
)
をしてじっとしていた。
蘇生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それを発見して私は非常に
吃驚
(
びっくり
)
しましたが、そのことを翌日私の所へ見えられた折に話しをしましたら、先生はさすがに顔色を変えられて
泉鏡花先生のこと
(新字新仮名)
/
小村雪岱
(著)
私も五つ六つ採集して紙に包み、小屋に帰ってから主人に見せたら、ヤア旦那、二両がとこ仕事をしましたネと言われて
吃驚
(
びっくり
)
したのでした。
木曾御岳の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
すると、この時に
背後
(
うしろ
)
の方に人の足音がしたので、僕は
吃驚
(
びっくり
)
して振り向いた。
和尚
(
おしょう
)
さんだろう。背の高い恐い顔をした坊さんが立っていた。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
引き明けた戸口から、石でも投げ付けるように、小さな声が
一斉
(
いっせい
)
に叫び立てた。万夫婦は
吃驚
(
びっくり
)
して声も出なかった。子供達の叫び声は続いた。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
人々はどんなにか
吃驚
(
びっくり
)
した事であったろう。房子は、物干のところで、まるで死体のようになって地べたへ
打
(
ぶ
)
っ倒れていた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
「文戦はやはり
盛
(
さか
)
んにやっていますか」ときいてみると、「えッ」と
吃驚
(
びっくり
)
したように問い返してから、「いや、ぼくは
左翼
(
さよく
)
は嫌いだから——」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
『お望みとあらば、画いてもいい。但し、それには矢張り君自身がモデルになってくれなければいけない。』『それは困る!』画家は
吃驚
(
びっくり
)
した。
絵姿:The Portrate of Dorian Gray
(新字新仮名)
/
渡辺温
、
オスカー・ワイルド
(著)
汚れたジャケツは、
吃驚
(
びっくり
)
して、三尺ほど空へとび上った。何事が起ったのか一分間ばかりジャケツが理解できないでいるさまが兵士達に見えた。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
(梯子を駈け登りしため、息を切らしいる様子。)本当にあんまり出し抜けだもんですから、
吃驚
(
びっくり
)
しましたのと、それにわたしは
恥
(
はず
)
かしくって。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
殿様はさぞ
吃驚
(
びっくり
)
したでありましょう。これは私が子供のとき付いていた乳母が得意になって私に話して聴かした話で、今に耳に残っております。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ああそれではこの人は、光明優婆塞であるまいか」庄三郎は
吃驚
(
びっくり
)
して、尚よく自分の前にいる有髪の僧を見ようとした。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「実は、テレーズの人形を焚き捨てて頂きたいのです」とクリヴォフ夫人がキッパリ云い切ると、熊城は
吃驚
(
びっくり
)
して叫んだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そしてついそのまま居眠りをしたり、ことによるとがっくりと
睡
(
ねむ
)
りころげかかっては
吃驚
(
びっくり
)
して眼を覚ましたりなんかした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
芳一はあまりに
吃驚
(
びっくり
)
してしばらくは返事も出なかった、すると、その声は厳しい命令を下すような調子で呼ばわった——
耳無芳一の話
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
其の程度のボンヤリした考えで東京へ出て来たものだから、種々な微妙複雑な問題の氾濫にすっかり
吃驚
(
びっくり
)
したのである。
章魚木の下で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
堅くなった蓬餠でも
焙
(
あぶ
)
りながら、三年会わなかった弟の勇吉が駅で自分を見それて、
吃驚
(
びっくり
)
したように誰かと思ったと云った話もしたいのであった。
三月の第四日曜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
丁
(
とん
)
、と一つ、軽く
背
(
せなか
)
を叩かれて、
吃驚
(
びっくり
)
して後を振返って見ると、旦那様はもう
堪
(
こら
)
えかねて様子を見にいらしったのです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それを見て下僕はいよいよ
吃驚
(
びっくり
)
して「こりゃ本当にただのお方でない」と大いに恐れて、もはや疑いを起す余地もなくなってしまった様子でした。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
一方の友人はこの見なれぬ粗末な服装の女にさも慣々しく言葉をかけられたので、一方ならず
吃驚
(
びっくり
)
してあわてながら
頸飾り
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
“吃驚”の意味
《名詞》
吃 驚(きっきょう、きっけい, 当て字:びっくり)
驚くこと。
(出典:Wiktionary)
吃
漢検準1級
部首:⼝
6画
驚
常用漢字
中学
部首:⾺
22画
“吃驚”で始まる語句
吃驚仰天
吃驚敗亡