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可愛
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かわ
ふりがな文庫
“
可愛
(
かわ
)” の例文
だが笑う
眉
(
まゆ
)
がちょっぴり下ると親の身としては何かこの子に足らぬ性分があるのではないかと、
不憫
(
ふびん
)
で
可愛
(
かわ
)
ゆさが増すのだった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
当人はもちろん丁坊を眼の中に入れても痛くないというほど
可愛
(
かわ
)
いがっているお母さんにも、
全
(
まった
)
くわかっていなかったろう。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこへ行くとおない年だって先は女だもの、『御免よ』なんて子供らしい言葉を聞けば
可愛
(
かわ
)
いくもなるだろうが、また馬鹿馬鹿しくもなるだろうよ
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おまえの
可愛
(
かわ
)
いい眼の菫、か……」そんなうろおぼえのハイネの詩の切れっぱしが私の口をふと
衝
(
つ
)
いて出る。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一ト
言
(
こと
)
心
(
こゝろ
)
に
染
(
そ
)
まる
事
(
こと
)
のあれば
跡先
(
あとさき
)
も
無
(
な
)
く
其者
(
そのもの
)
可愛
(
かわ
)
ゆう、
車夫
(
しやふ
)
の
茂助
(
もすけ
)
が
一人子
(
ひとりこ
)
の
與太郎
(
よたらう
)
に、
此新年
(
このはる
)
旦那
(
だんな
)
さま
召
(
めし
)
おろしの
斜子
(
なゝこ
)
の
羽織
(
はをり
)
を
遣
(
つか
)
はされしも
深
(
ふか
)
くの
理由
(
わけ
)
は
無
(
な
)
き
事
(
こと
)
なり
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
おとよの父も一度省作に
逢
(
あ
)
ってからは、大の省作好きになる。無論おとよも
可愛
(
かわ
)
ゆくてならなくなった。あんまり変りようが
烈
(
はげ
)
しいので家のものに笑われてるくらいだ。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その香水
壜
(
びん
)
ほどの
可愛
(
かわ
)
いらしいやつが、色
玻璃
(
はり
)
だの玉石だの白磁だの、
稀
(
まれ
)
には
堆朱
(
ついしゅ
)
だのの肌をきらめかせながら、ざつと二三百ほども並んでゐるのだ。これには
呆
(
あき
)
れたね。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「持ても
可
(
え
)
えなんチュウことは言わさん、あれほど
可愛
(
かわ
)
いがっておって未だ文句が有るのか」
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
固
(
もと
)
より
玩弄物
(
なぐさみもの
)
にする気で飼ったのでないから、厭な犬だと言われる程、尚
可愛
(
かわ
)
ゆい。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
かくのごとき夜にむすぶ夢のなかには、あるいは
鬼
(
おに
)
に
襲
(
おそ
)
われたり、あるいは
化物
(
ばけもの
)
に
逢
(
あ
)
ったり、あるいは
魘
(
うな
)
されたりして
可愛
(
かわ
)
ゆかるべき顔にも苦痛または恐怖の念がありありと
顕
(
あらわ
)
れる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
このとき、
近
(
ちか
)
くの
水草
(
みずくさ
)
の
茂
(
しげ
)
みから三
羽
(
わ
)
の
美
(
うつく
)
しい
白鳥
(
はくちょう
)
が、
羽
(
はね
)
をそよがせながら、
滑
(
なめ
)
らかな
水
(
みず
)
の
上
(
うえ
)
を
軽
(
かる
)
く
泳
(
およ
)
いであらわれて
来
(
き
)
たのでした。
子家鴨
(
こあひる
)
はいつかのあの
可愛
(
かわ
)
らしい
鳥
(
とり
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
花子という
可愛
(
かわ
)
いい女の子が生れて、いつの間にか十年ばかり経ちました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
此の一席で
満尾
(
まんび
)
になります
故
(
ゆえ
)
、くだ/\しい所は省きまして、善人が栄え、悪人が
亡
(
ほろ
)
び、
可愛
(
かわ
)
いゝ同志が夫婦になり、失いました宝が出るという
勧善懲悪
(
かんぜんちょうあく
)
の
脚色
(
しくみ
)
は芝居でも
草双紙
(
くさぞうし
)
でも同じ事で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
歌声の主が意外に
可愛
(
かわ
)
いらしい少女だったことも、私の心を痛ませた理由の一つだったかもしれない。自分の残酷さが、悪趣味ないたずらとしかいいようのない行為が、次第に胸に重くつかえてきた。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
可愛
(
かわ
)
いい色々の設備であった。
奥さんの家出
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
可愛
(
かわ
)
いのもの抱え
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
河には船が相変らず頻繁に通り、向河岸の
稲荷
(
いなり
)
の社には、
玩具
(
がんぐ
)
の
鉄兜
(
てつかぶと
)
を
冠
(
かぶ
)
った
可愛
(
かわ
)
ゆい子供たちが戦ごっこをしている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
赤と白とのだんだらの
玩具
(
おもちゃ
)
の兵隊の服を着、頬っぺたには大きな日の丸をメイク・アップした
可愛
(
かわ
)
いい十人の踊り子が、五人ずつ舞台の両方から現れた。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「まあ何んて
可愛
(
かわ
)
いい目んめをして!」なんぞと、幼い私はその牛に向って、いつもおとなの人が私に向って言ったり、したりするような事を、すっかり見よう
見真似
(
みまね
)
で繰り返しながら
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
父は馬鹿だと言うけれど、馬鹿気て見える程無邪気なのが私は
可愛
(
かわ
)
ゆい。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
人に
捥
(
も
)
ぎとられて育つたやうな冊子でも出来て見れば、
可愛
(
かわ
)
ゆくないことはない。それだけにまた、人に勝手にされたいまいましい気持も、添ふが。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
可愛
(
かわ
)
いい
桜桃
(
さくらんぼ
)
のように弾力のある下唇をもっていて、すこし近視らしいが
円
(
つぶ
)
らな眼には湿ったように
光沢
(
こうたく
)
のある長い
睫毛
(
まつげ
)
が、美しい双曲線をなして、並んでいた——というと、なんだか
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「日によると二三
寸
(
すん
)
も一度に伸びる
芽尖
(
めさき
)
があるのでございます。草木もかうなると
可愛
(
かわ
)
ゆいものでございますね」
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
尤
(
もっと
)
も愛婿とするにしても、何も自分の家へ引き入れて
只
(
ただ
)
一人の母親を
放擲
(
ほうてき
)
して来させようなんて業慾なことは云はない。爺さんに小さな
可愛
(
かわ
)
ゆい娘があつた。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ママの
意図
(
いと
)
としては、フランス人の
性情
(
せいじょう
)
が、利に鋭いと同時に洗練された情感と
怜悧
(
れいり
)
さで、敵国の女探偵を
可愛
(
かわ
)
ゆく優美に待遇する微妙な境地を表現したつもりでしょう。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
川魚は、みな
揃
(
そろ
)
つて小指ほどの大きさで
可愛
(
かわ
)
ゆかつた。とつぷりと背から腹へ塗られた
紺
(
こん
)
のぼかしの上に
華奢
(
きゃしゃ
)
な
鱗
(
うろこ
)
の目が毛彫りのやうに刻まれて、銀色の腹にうす
紅
(
べに
)
がさしてゐた。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
それやこれやで親たちは
不憫
(
ふびん
)
を添へて
可愛
(
かわ
)
ゆがつた。白痴娘を持つ親の意地から婿は
是非
(
ぜひ
)
とも秀才をと十二分の条件を用意して八方を探した。河内屋は東京近郊のX町切つての資産家だつた。
汗
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「あの母は感心というより
可愛
(
かわ
)
ゆいな」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
“可愛”で始まる語句
可愛想
可愛相
可愛気
可愛御堂
可愛児
可愛好
可愛嶽
可愛いお方