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取留
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とりと
ふりがな文庫
“
取留
(
とりと
)” の例文
医者も
蒼
(
あお
)
くなって、騒いだが、神の
扶
(
たす
)
けかようよう
生命
(
いのち
)
は
取留
(
とりと
)
まり、三日ばかりで血も留ったが、とうとう腰が抜けた、もとより
不具
(
かたわ
)
。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かかる苦心は近頃
病
(
やまい
)
多く気力乏しきわが身の
堪
(
た
)
ふる処ならねば、むしろ随筆の気儘なる
体裁
(
ていさい
)
をかるに
如
(
し
)
かじとてかくは
取留
(
とりと
)
めもなく
書出
(
かきいだ
)
したり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
が、
取留
(
とりと
)
めた格別な
咄
(
はなし
)
もそれほどの用事もないのにどうしてこう
頻繁
(
ひんぱん
)
に来るのか実は解らなかったが、一と月ばかり経ってから
漸
(
やっ
)
と用事が解った。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
母は勝手元に
火焚
(
ひた
)
き
水汲
(
みずく
)
みまたは片付け物に
屈托
(
くったく
)
をしている間、省みられざる者は土間の猫
雞
(
にわとり
)
、それから窓に立ち軒の柱にもたれて、雲や丘の樹の
取留
(
とりと
)
めもない景色を
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
碌々気休め一つ云いまへんが、あの客を
取留
(
とりと
)
めれば
三百両
(
みッつ
)
や
四百両
(
よッつ
)
の才覚は出来ますから、そうしてお金を拵え、
三百両
(
みッつ
)
だけ主に上げるから、身の立つようにして呉んなまし
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
医者
(
いしや
)
も
蒼
(
あを
)
くなつて、
騒
(
さわ
)
いだが、
神
(
かみ
)
の
扶
(
たす
)
けか
漸
(
やうや
)
う
生命
(
いのち
)
は
取留
(
とりと
)
まり、三
日
(
か
)
ばかりで
血
(
ち
)
も
留
(
とま
)
つたが、
到頭
(
たうとう
)
腰
(
こし
)
が
抜
(
ぬ
)
けた、
固
(
もと
)
より
不具
(
かたわ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一刻も早く眠りたいと思いながらわけもなく思いに
耽
(
ふけ
)
る思いである。あくる日起きてしまえば何を考えたのやら一向に思い出す事の出来ない
取留
(
とりと
)
めのない思いである。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おまはんの病気は
癒
(
なお
)
るとお
医師様
(
いしゃさま
)
がそう云ったじゃア有りまへんか、兎も角も身二つに成ッちまって、病気も癒り、元のように仲の町へ出てサ、おまはん
善
(
い
)
い人を
取留
(
とりと
)
めて立派なお客に身請をされて
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
生命
(
いのち
)
を
取留
(
とりと
)
めたのも此の下男で、同時に
狩衣
(
かりぎぬ
)
を
剥
(
は
)
ぎ、緋の
袴
(
はかま
)
の
紐
(
ひも
)
を
引解
(
ひきほど
)
いたのも——鎌倉殿のためには
敏捷
(
びんしょう
)
な、忠義な奴で——此の下男である。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
水
(
みづ
)
になり、
空
(
そら
)
になり、
面影
(
おもかげ
)
は
宿
(
やど
)
つても、
虹
(
にじ
)
のやうに、すつと
映
(
うつ
)
つて、
忽
(
たちま
)
ち
消
(
き
)
えて
行
(
ゆ
)
く
姿
(
すがた
)
であるから、
確
(
しか
)
と
取留
(
とりと
)
めた
事
(
こと
)
はないが——
何時
(
いつ
)
でも
二人連
(
ふたりづれ
)
の——
其
(
そ
)
の
一人
(
ひとり
)
は、
年紀
(
とし
)
の
頃
(
ころ
)
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
取留
(
とりと
)
めのない考えが浮んだのも人が
知死期
(
ちしご
)
に
近
(
ちかづ
)
いたからだとふと気が付いた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
石垣の
草蒸
(
くさいきれ
)
に、
棄
(
す
)
ててある瓜の皮が、
化
(
ば
)
けて
脚
(
あし
)
が生えて、むく/\と
動出
(
うごきだ
)
しさうなのに、「あれ。」と
飛退
(
とびの
)
いたり。
取留
(
とりと
)
めのないすさびも、此の女の人気なれば、話せば逸話に伝へられよう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
取留
(
とりと
)
めのない
考
(
かんがへ
)
が
浮
(
うか
)
んだのも
人
(
ひと
)
が
知死期
(
ちしご
)
に
近
(
ちかづ
)
いたからだと
弗
(
ふ
)
と
気
(
き
)
が
着
(
つ
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
取留
(
とりと
)
めもなく
笑
(
わら
)
つた
拍子
(
ひやうし
)
に、
草
(
くさ
)
を
踏
(
ふ
)
んだ
爪先下
(
つまさきさが
)
りの
足許
(
あしもと
)
に
力
(
ちから
)
が
抜
(
ぬ
)
けたか、
婦
(
をんな
)
を
肩
(
かた
)
に、
恋
(
こひ
)
の
重荷
(
おもに
)
の
懸
(
かゝ
)
つた
方
(
はう
)
の
片膝
(
かたひざ
)
をはたと
支
(
つ
)
く、トはつと
手
(
て
)
を
離
(
はな
)
すと
同時
(
どうじ
)
に、
婦
(
をんな
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
は
頬摺
(
ほゝず
)
れにづるりと
落
(
お
)
ちて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
忽
(
たちま
)
ち消えて行く姿であるから、
確
(
しか
)
と
取留
(
とりと
)
めた事はないが——何時でも二人
連
(
づれ
)
の——その一人は、
年紀
(
とし
)
の頃、どんな場合にも二十四五の上へは出ない……一人は十八九で、この
少
(
わか
)
い方は、ふっくりして
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朦朧
(
もうろう
)
と
取留
(
とりと
)
めなく
影
(
かげ
)
を
投
(
な
)
げた
風情
(
ふぜい
)
に
見
(
み
)
える。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
別
(
べつ
)
に
取留
(
とりと
)
めたことがありはしなかつた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
留
常用漢字
小5
部首:⽥
10画
“取”で始まる語句
取
取出
取縋
取柄
取除
取次
取敢
取交
取做
取付