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何彼
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なにか
ふりがな文庫
“
何彼
(
なにか
)” の例文
何彼
(
なにか
)
につけて
急
(
せ
)
き立てられるような心持がするに相違ない。僕はお祖父さんお祖母さんを観察して、時には心細かろうと察している。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
して其の當座、兩人はこツそり其處らを夜歩きしたり、また
何彼
(
なにか
)
と用にかこつけて
彼方
(
あツち
)
此方
(
こツち
)
と歩き廻ツて、芝居にも二三度入ツた。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
○天下後世をいかにせばやなど、
何彼
(
なにか
)
につけて呼ぶ人あるを見たる時、こは自己をいかにせばやの意なるべしと、われは思へり。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
その若者が
何彼
(
なにか
)
と
冷評
(
ひやか
)
しかけるのを、
眇目
(
めつかち
)
の重兵衞が大きい眼玉を剥いて叱り附けた。そして、自分一人夜更まで殘つた。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
自分
(
じぶん
)
について
来
(
く
)
れば
判
(
わか
)
る。
汝
(
そなた
)
は
折角
(
せっかく
)
修行
(
しゅぎょう
)
の
為
(
た
)
めにここへ
寄越
(
よこ
)
されているのであるから、この
際
(
さい
)
できる
丈
(
だけ
)
何彼
(
なにか
)
を
見聞
(
けんぶん
)
して
置
(
お
)
くがよいであろう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
もしソクラテスにして、
何彼
(
なにか
)
と
斟酌
(
しんしゃく
)
ばかりして、思う事も遠慮していわなかったとするならば、世界はまあどれほどの大損失であったことだろう。
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その毎日にも
何彼
(
なにか
)
と心の
鬱
(
う
)
さの
紛
(
まぎ
)
れることもございましょうが、青い
蘆荻
(
ろてき
)
のそよぎばかり見ていては心は毎日
滅入
(
めい
)
ってしまうばかりでございます。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「あなたは
何彼
(
なにか
)
に就けて私をへこます。」と言い/\した。私は「あゝ済まぬ。」と思いながらも随分言いにくいことを屡〻言ってお前をこき
下
(
おろ
)
した。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
何彼
(
なにか
)
の世話を燒いてくれるのは、養子でもあり支配人格でもあり、殺されたお此の許嫁でもあるあの金次郎でした。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
善平は初めて心づきたるごとく、なに帰る?
私
(
わし
)
も帰るさ。一時も早く東京へ帰って、
何彼
(
なにか
)
の手はずを
極
(
き
)
めねばならぬ。光代、明日ははやく
発
(
た
)
とうぞ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
然し定基は
何彼
(
なにか
)
と尋ねると、いずれ五位六位ほどの妻であろうか、夫の長い
病
(
わずらい
)
の末か、或は何様いうかの事情の果にいたく窮乏して、如何ともし難くなって
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
若
(
も
)
し遅くなれば
喜右衞門
(
きえもん
)
どんに
何彼
(
なにか
)
と頼んで置いたから御心配は無いが、
万一
(
ひょっと
)
して花車も一抔やり
度
(
た
)
いなどゝ云うと、
些
(
ちっ
)
とは私も遣り度い物も有りますから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とにかく
何彼
(
なにか
)
につけて疑問を
出
(
いだ
)
し理智を磨く習慣を作るのがよい。仏教で「智慧の光明」という事を説く。婦人に全く欠けているのは自己の
無明闇夜
(
むみょうあんや
)
を照す智慧の光明である。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その後女はどうなったか、泉原はすこしも知らなかったが、彼が彼女を忘れ得ないように、女も
何彼
(
なにか
)
につけ、泉原を忘れ得ないであろう。それ程二人には深い様々な記憶があった。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
(間)
何彼
(
なにか
)
と申しましても、私は一つの願いに捉われている身でござりますれば、その願いの届くまでは、何んと申しても貴郎様の御親切にお答え申すことは出来ないのでござります。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
名音は
何彼
(
なにか
)
と新入の玉音のために世話をしてやった。玉音は顔だちも美しく素直な女だったので、住持にも気に入られた。名音は此の調子でゆけば、世話の
為甲斐
(
しがい
)
があると思って喜んだ。
法華僧の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
汽車を待つ間、新太郎君は父親の側を離れずに
何彼
(
なにか
)
とお相手を勤めた。
游泳
(
およぎ
)
の伝授中をお目に留まったのが気になって仕方がない。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その若者が
何彼
(
なにか
)
と
冷評
(
ひやか
)
しかけるのを、
眇目
(
めつかち
)
の重兵衛が大きい眼玉を
剥
(
む
)
いて叱り付けた。そして、自分一人夜更まで残つた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
親孝行で氣性者で、その癖
滅法
(
めつぽふ
)
愛くるしいお秀が、
何彼
(
なにか
)
につけて近所の獨り者の噂に上らない筈もありません。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
善
(
よ
)
きにつけ、
悪
(
あ
)
しきにつけ、
影身
(
かげみ
)
に
添
(
そ
)
いて、
人知
(
ひとし
)
れず
何彼
(
なにか
)
とお
世話
(
せわ
)
を
焼
(
や
)
いてくださるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
新吉は旅駕籠に
揺
(
ゆら
)
れて帰りましたが、駕籠の中で怪しい夢を見まして、
何彼
(
なにか
)
と心に掛る事のみ、取急いで
宅
(
うち
)
へ帰りますると、新吉の顔を見ると女房お累は虫気付き
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
当地のそれがしが柴の
庵
(
いおり
)
、何の風情も無く侘しうは候が、
何彼
(
なにか
)
と万端御意を得度く候間、明朝御馬を寄せられ候わば本望たる可く、粗茶進上
仕度
(
つかまりたく
)
候、という
慇懃
(
いんぎん
)
なものであった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
解剖臺には、解剖される少女の屍體が尚だ白い
布
(
きれ
)
を
被
(
かぶ
)
せたまゝにしてあツた。學生等は解剖臺を
繞
(
めぐ
)
ツて、立ツて、二人の助手は
何彼
(
なにか
)
と準備をして了ツて、椅子に
凭
(
もた
)
れて一と息してゐる。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
近頃は
何彼
(
なにか
)
と疑い深くなられました。これもあの女子のためでござりましょう。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
殿方すらも
何彼
(
なにか
)
とお
噂
(
うわさ
)
なされはじめました。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
熊谷
(
くまがい
)
は坊主になっても軍馬の物音を聞いて木魚を叩き
破
(
わ
)
ったというが、独逸仕込みは退役になっても独逸仕込みだ。
何彼
(
なにか
)
につけて英国が憎い。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ドーもこちらの
世界
(
せかい
)
のお
仕事
(
しごと
)
は、
人霊
(
じんれい
)
のみでは
何彼
(
なにか
)
につけて
不便
(
ふべん
)
があるのではないかと
存
(
ぞん
)
じられます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この優しく美しい内儀が、病人の主人の代りに、
俵屋
(
たはらや
)
の實權を握つて、
何彼
(
なにか
)
と評判のあることは、あまり遠くないところに住んでゐる、錢形平次も一應は知つてをります。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「天下の金は俺の物だ。斬り取り強盗武士の習い。昔の俺はそうだった。……両国橋の橋詰めで、あいつに河へ追い込まれてからは、
何彼
(
なにか
)
につけて怖じ気がつき、やることなすこと食い違い……」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
夕御飯が済んでも、お父さんは葉巻を一本
薫
(
くゆら
)
し尽すまで、
何彼
(
なにか
)
と子供の相手になって他愛がない。子供を煩さがりながらも、斯うやっている間に頭が休まるという。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
後添への口は降るほどあるが、二人の小さい子供を繼母の手で育てるのも可哀想だからと、そのまゝ聽流してゐたが、雇人も多勢ゐることだし、
何彼
(
なにか
)
につけて不自由で
叶
(
かな
)
はない。
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いえいえそんなことはございません。やっぱり活きておりましたら、
何彼
(
なにか
)
につけて頼みにもなり、嬉しいことも楽しいことも、分け合うことが出来ますのに。……可哀そうなことをいたしました。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「山へ登ると、
何彼
(
なにか
)
と面倒、私がひと足先に駆け抜けて、あの女を引き留めましょうか」
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何彼
(
なにか
)
の機会に千吉君の気を引く。碁の話が度々出たが、無論敵は本能寺にあった。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうして俺はもうつくづくここにいるのが厭になったのじゃ。獣や
不具
(
かたわ
)
者を引き連れて旅から旅を巡って歩く面白くもない見世物商売。そうして部落へ帰って来れば
何彼
(
なにか
)
と詰まらない用事ばかり。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ベーカーと幾久雄兄妹は、
何彼
(
なにか
)
の話に時の経つのも忘れましたが、熊谷へ来てから、信子が
切
(
しき
)
りに渇きを訴えるので、兄妹は食堂に入って、
暫
(
しば
)
らくソーダ水などに喉を潤おしました。
天才兄妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
俺も
未
(
ま
)
だ若い積りだが、ソロ/\後のことを考えて置きたい。新太郎はあの通り
気紛
(
きまぐ
)
れものだから、
何彼
(
なにか
)
と取越し苦労をする。君が一緒にいて指導してくれゝば何うにか
斯
(
こ
)
うにか店が張って行けよう。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
何彼
(
なにか
)
に邪魔なあの男を、硫黄ヶ滝で殺すためじゃわ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「大丈夫だ。
何彼
(
なにか
)
と理窟をつけるのは悪く思っていない証拠さ」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「あるとも、無いとも申し上げられません。それは兎に角、御紹介いたしましょう、これは関東新報の千種十次郎君、この事件について、
何彼
(
なにか
)
と助力して貰わなければなるまいと思いまして、私から頼んで一緒に来てもらいました」
女記者の役割
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
何彼
(
なにか
)
と言うと頭の問題になる。そんなに薄くなったかなあ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
“何”で始まる語句
何
何処
何時
何故
何人
何方
何卒
何處
何日
何事