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似通
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にかよ
ふりがな文庫
“
似通
(
にかよ
)” の例文
俳句は宿命として絵画と
甚
(
はなは
)
だ
似通
(
にかよ
)
ったものである。絵画が色や線で形を現すと同じく、俳句は文字を以て景色や事件を現すのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
もしも彼女が彼に
似通
(
にかよ
)
つてゐることを明かに證據立てることが出來たなら、それだけでも、彼はもつと彼女を心にかけたであらうに。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それは
丁度
(
ちょうど
)
、
幼
(
おさな
)
い
時
(
とき
)
から
別
(
わか
)
れ
別
(
わか
)
れになっていた
母
(
はは
)
と
子
(
こ
)
が、
不図
(
ふと
)
どこかでめぐり
合
(
あ
)
った
場合
(
ばあい
)
に
似通
(
にかよ
)
ったところがあるかも
知
(
し
)
れませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
何も朝鮮と歴史の
繋
(
つな
)
がりがあったのではなく、全く山国の生活が
淳朴
(
じゅんぼく
)
で自然で、気持ちにも
似通
(
にかよ
)
った点が互にあるからだと思われます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
いつの
間
(
ま
)
にかこんな歌がはいっていて、しかもその歌のこしらえかたが、伊豆の物搗歌などとも
似通
(
にかよ
)
うていることである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
ジャヴァの影人形の実演はまだ見たことがないが、その効果にはおのずからこの田舎大工の原始的な影人形のそれと
似通
(
にかよ
)
った点がありそうに思われる。
映画時代
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
衣絵
(
きぬゑ
)
さんに、
其
(
そ
)
の
称
(
となへ
)
の
似通
(
にかよ
)
ふそれより、
尚
(
な
)
ほ、なつかしく、
涙
(
なみだ
)
ぐまるゝは、
銀
(
ぎん
)
の
鍋
(
なべ
)
を
見
(
み
)
れば、いつも、
常夏
(
とこなつ
)
の
影
(
かげ
)
がさながら
植
(
う
)
ゑたやうに
咲
(
さ
)
くのである。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この少年に
似通
(
にかよ
)
ったところから、その長所がすべて、悪用されて、あたら有為の大材になるべきものが、あんなことで終ってしまったものではないか。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
尼寺に味噌摺る音とほととぎすの声とは、必ずしも
似通
(
にかよ
)
っているわけではない。
但
(
ただし
)
趣の上に或調和がある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
これはきっと、人殺しではなくても、何かそれに
似通
(
にかよ
)
った、恐しい事件が起ったものに相違ないのです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その気候や地勢の趣きが南仏ニースの市を中心として、西はカーニュ、アンチーブ、キャンヌ東はモンテカルロといった風な趣きにもよく
似通
(
にかよ
)
っているように思えてならない。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
剃髪
(
ていはつ
)
して五郎作
新発智東陽院寿阿弥陀仏曇奝
(
しんぼっちとうよういんじゅあみだぶつどんちょう
)
と称した。曇奝とは好劇家たる五郎作が、
音
(
おん
)
の
似通
(
にかよ
)
った劇場の
緞帳
(
どんちょう
)
と、
入宋
(
にゅうそう
)
僧奝然
(
ちょうねん
)
の名などとを配合して作った
戯号
(
げごう
)
ではなかろうか。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これらの大通は四谷青山白金
巣鴨
(
すがも
)
なぞと処は変れど、街の様子は何となく
似通
(
にかよ
)
っている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
娘は暫くこの奇怪な絵の
面
(
おもて
)
を見入って居たが、知らず識らず其の瞳は輝き其の唇は顫えた。怪しくも其の顔はだん/\と妃の顔に
似通
(
にかよ
)
って来た。娘は其処に隠れたる真の「
己
(
おのれ
)
」を見出した。
刺青
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
漸
(
ようや
)
く復活して頭を
擡上
(
もちあ
)
げ掛けると、
忽
(
たちま
)
ち
復
(
ま
)
た地震のためにピシャンコとなってしまったから、文壇の山本伯というは
苔
(
こけ
)
の下の二葉亭も余りありがたくないだろうが、
風丰
(
ふうぼう
)
が何処か
似通
(
にかよ
)
っている。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「おお、そうおっしゃれば、いかにも
似通
(
にかよ
)
うていたやつもおりましたな」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう一時代前の政治的夢想家に
似通
(
にかよ
)
っている所があったようです。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何故
(
なぜ
)
かと
申
(
もう
)
すに、
巌
(
いわ
)
の
上
(
うえ
)
から
見渡
(
みわた
)
す一
帯
(
たい
)
の
景色
(
けしき
)
が、どう
見
(
み
)
ても
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
三浦
(
みうら
)
の
西海岸
(
にしかいがん
)
に
何所
(
どこ
)
やら
似通
(
にかよ
)
って
居
(
い
)
るのでございますから……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この盲人の根気と熱心に感心すると同時に、その仕事がどことなく私が今紙面の斑点を捜してはその出所を詮索した事に
似通
(
にかよ
)
っているような気もした。
浅草紙
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
階級と財産などが私共を遠く隔てゝゐても、私は、自分の頭と心の
裡
(
うち
)
に、自分の血と神經の中に、何か精神的にあの方と
似通
(
にかよ
)
はせるものを持つてゐるのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
歌仙百韻の席に
列
(
つら
)
なるほどの者は、かねて経歴と心境との互いに
似通
(
にかよ
)
うたものが有ったうえに、改めて感興の統一によって、鋭敏に仲間の心持を理解し得た。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし前にも述べた通りいずれも商品化し過ぎた恨みがあって、これとて地方色に富むものは見当りません。段々お互が
似通
(
にかよ
)
って来て一列の品になりつつあります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
海竜として、かれらが怖るべきものを見たとすれば、よし全然間違いであったとしても、多少形体において、それに
似通
(
にかよ
)
った存在物を見たものとしなければならぬ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは恐らく、読者諸君のあらゆる悪夢の内、最も荒唐無稽で、最も血みどろで、そして最も瑰麗なるものに、幾分
似通
(
にかよ
)
っているのではないかと思われるのですが。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
とはじめて親しげに名を言って、
凝
(
じっ
)
と振向くと、
浪
(
なみ
)
の
浅葱
(
あさぎ
)
の
暖簾越
(
のれんごし
)
に、また
颯
(
さっ
)
と顔を
赧
(
あか
)
らめた
処
(
ところ
)
は、どうやら、あの錦絵の中の、その、どの一人かに
俤
(
おもかげ
)
が
幽
(
かすか
)
に
似通
(
にかよ
)
う。……
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そういえばところどころに
竹藪
(
たけやぶ
)
の多い村落のけしき、農家の家のたてかた、樹木の
風情
(
ふぜい
)
、土の色など、
嵯峨
(
さが
)
あたりの郊外と
似通
(
にかよ
)
っていてまだここまでは京都の
田舎
(
いなか
)
が延びて来ているという感じがする。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日本から南洋へかけての火山の活動の時間分布を調べているうちに、火山の名前の中には互いによく
似通
(
にかよ
)
ったのが広く分布されていることに気がついた。
火山の名について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あなたの趣味や習慣はダイアナやメァリーのと
似通
(
にかよ
)
つてゐる上に、僕はあなたの側にゐるといつも愉快です。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
記録としては久米島にただ一つ、残り伝わっているオトヂキョの神話が、日本の神代史の
蛭子
(
ひるこ
)
の物語と
似通
(
にかよ
)
う
節
(
ふし
)
があることは、伊波君もすでに注意せられている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「無論僕等には、そんな持って廻った狂言をやって喜ぶ男の心持は分らん。併し、全然見分けのつかぬ程
似通
(
にかよ
)
った二人の人間を想像するよりは、まだ幾分可能なことに思われる」
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こんな空想はどうでもよい事にして、平凡な実際問題として見た時にも、数学の学習と語学の学習とは方法の上でかなり
似通
(
にかよ
)
った
要訣
(
ようけつ
)
があるようである。
数学と語学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
たとえば言語に若干の一致があるとか、習俗がやや
似通
(
にかよ
)
うということなどは、是だけ年久しい隣住居で、また折々の交通を考えると、無かったらむしろ不思議と言ってよい。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どこかしら
似通
(
にかよ
)
ったものを含んでいるのだが、それは
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、柾木が芙蓉を憎みながら、彼女の芝居を見に行った心持も、やっぱりこれで、彼の憎悪というのは、その相手と顔を見合わせた時
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どれほどまで
似通
(
にかよ
)
い、どの点が特に異なっているかに、向かわなければならぬと私は考える。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
イカリのイが単に発語だと仮定するとこれがやはり
似通
(
にかよ
)
って来るからおもしろい。
言葉の不思議
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「非」の字の形がげじげじの形態と
似通
(
にかよ
)
っているためである。その当時だれかから聞きかじったこのげじげじという名称が、子供心になんとなく強く深い印象を与えたものと思われる。
蒸発皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
かなりピッチの高い共鳴器で聞くとチリチリチリといったように一秒間に十回二十回ぐらいの割合で断続する
轢音
(
れきおん
)
が聞こえる、それがいくらかこの蝗群の羽音に
似通
(
にかよ
)
っているのである。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
これと
似通
(
にかよ
)
っていて、しかも本質的にだいぶ違う「金曜日」の例が一つある。
時事雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
児の顔を見て後に両親を見くらべるとまるでちがった二つの顔がどうやら
似通
(
にかよ
)
って見えるのが不思議である。姪はあまり両親には似ないで却ってよく平一に似ていると妹が云った事も思い出した。
障子の落書
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
似
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
“似”で始まる語句
似
似合
似而非
似非
似気
似寄
似絵
似而非者
似顔
似氣