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伏
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ふりがな文庫
“
伏
(
ぶ
)” の例文
なにか、いいかけたと思うと、彼の引っ張っていた杖の先を離して、沢の石ころや
草叢
(
くさむら
)
の中に、
蹌
(
よろ
)
りと、音もなく
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
してしまった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで手ばなしでうつ
伏
(
ぶ
)
せになったり、あおのけになったり、しゃっちょこ立ちをしたり、
足首
(
あしくび
)
でつかまってぶら下がったりするのです。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
あんなおもしろい鬼を悪い鬼だなどと言って大人たちがそれを待ち
伏
(
ぶ
)
せしているのが、気になってしようがありませんでした。
天狗笑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
醜男
(
ぶおとこ
)
のニルマーツキイを選び出して、うつ
伏
(
ぶ
)
せに
寝
(
ね
)
るように命じたばかりか、顔を胸へたくし
込
(
こ
)
ませさえしたものである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
その
癖
(
くせ
)
、どの道の上でも、私の見たことのない新しい別荘の
蔭
(
かげ
)
に、一むれの灌木が、私の忘れていた少年時の一部分のように、私を待ち
伏
(
ぶ
)
せていた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
単にうつ
伏
(
ぶ
)
しになっている背の上で指を立てて数を問うだけで、馬乗り・胴乗りというようなことまではしていなかった土地がまだ有るのかも知れない。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私は、はげしい目まいをおさえて、しばらく強い光の中に、うつ
伏
(
ぶ
)
していた。
土竜
(
もぐら
)
ならずとも、この
光線浴
(
こうせんよく
)
には参る。これも博士の警戒手段の一つである。
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人のからだの下へぐんぐん顔をつッこんでうつ
伏
(
ぶ
)
しになっていたが、しまいには、のどがかわいて目がくらみそうになる、そのうちに、たまたま、水見たいなものが手にさわったので
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
其
(
そ
)
の
順礼
(
じゆんれい
)
のお
盥髪
(
たらひがみ
)
さへ、
此方
(
こつち
)
に
背
(
そむ
)
き、
早
(
は
)
やうしろを
見
(
み
)
せて、びしや/\と
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
を——(
見
(
み
)
なくとも
可
(
よ
)
いのに)
気
(
き
)
にすると、
恰
(
あだか
)
も
油
(
あぶら
)
さしがうつ
伏
(
ぶ
)
せに
鉄
(
くろがね
)
の
底
(
そこ
)
を
覗
(
のぞ
)
く、かんてらの
火
(
ひ
)
の
上
(
うへ
)
へ
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ところが、土曜日の朝早く、ガンたちが畑へ出ていきますと、ズルスケが待ち
伏
(
ぶ
)
せしていました。そして、
畑
(
はたけ
)
から畑へと追いかけてきます。これでは、おちついてたべてもいられません。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
帶
(
おび
)
と
上着
(
うわぎ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
てしばかり、うつ
伏
(
ぶ
)
し
臥
(
ふ
)
して
物
(
もの
)
をも
言
(
い
)
はず。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
羽
(
はね
)
平
(
ひら
)
み、打つ
伏
(
ぶ
)
す凄さ。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
丈八郎は、憎悪そのものの眸を、
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
している姉へも投げた。が、すぐそれが、一角の眼を見ると、よけいに、
焔
(
ほむら
)
となって
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほら、覚えているでしょう——庭、夜なか、
噴水
(
ふんすい
)
のほとり——そういう場所で待ち
伏
(
ぶ
)
せるんですな。いまに君は、僕にありがとうを言うでしょうよ
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
私は、にわかに、たえ切れないほどの疲労をおぼえて、そのまま段丘の
斜面
(
しゃめん
)
に、うつ
伏
(
ぶ
)
してしまった。
人造人間の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから、ハッと
掛
(
か
)
け声をかけて、しゃっちょこ立ちをしました。次に竹竿のてっぺんへうつ
伏
(
ぶ
)
せになり、両手両足をはなして、
亀
(
かめ
)
の
子
(
こ
)
のようにふらふらとまわりました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
莫迦莫迦
(
ばかばか
)
しいことだが、私は何度も林の中の空地で
無駄
(
むだ
)
に待ち
伏
(
ぶ
)
せたものだった。男の子のように美しい田舎の娘がその林の中からひょっこり私の前に飛び出して来はしないかと。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
謡えぬお長は
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
して蓆の端を
毮
(
むし
)
っている。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
五ツ六ツ、撲るように刀でたたくと、仁吉の体は、魚の臓物のように、船底に
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
して、声も音も消してしまった。
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両膝をもろに床の上にドサリとつくと、ブラリと下った二本の裸腕で支えようともせず、上体をクルリと右へ
捩
(
よじ
)
ると、そのままパッタリ、電車の床にうつ
伏
(
ぶ
)
せになって倒れた。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まるで私を待ち
伏
(
ぶ
)
せてでもいたように
隠
(
かく
)
れていたのに少しも気づかずに、その曲り角を
無雑作
(
むぞうさ
)
に曲ろうとした瞬間、私はその灌木の枝に私のジャケツを引っかけて、思わずそこに足を止めた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それは、庄七の身を
反
(
そ
)
れて、由の肩さきをサッと
薙
(
な
)
いだ。由は、笛のような声をつまらせ、ぐわッと地へ
俯
(
う
)
ツ
伏
(
ぶ
)
した。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三吉は、まるで兎が穴へ潜っているような恰好で、その蔭にうつ
伏
(
ぶ
)
していた。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ああ……」涙こそながさないが、範宴は全身の悲しみを投げだして、氷のような
大床
(
おおゆか
)
へ
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
してしまった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見るにたえず、高直は下にうずくまったが、顔を上げたとき、もうその人は
紅
(
くれない
)
の座に前身を
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
せていた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愕然
(
がくぜん
)
として、相手はそこへ身を屈して、あとのことばもなく、ガバと、大地に顔をうつ
伏
(
ぶ
)
せてしまいました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに、野槍の穂さきは
血糊
(
のり
)
をなめ、足元には、ひとつの死骸が草をつかんでうツ
伏
(
ぶ
)
している。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足数にして、約十歩ばかり先に、一箇の死骸が、
朱
(
あけ
)
になって
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
しているし、ずっと土塀へ寄った
際
(
きわ
)
にも、頭を
柘榴割
(
ざくろわ
)
りにされた番の者が、塀の根へ
倚
(
よ
)
りかかったまま死んでいた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足数にして、十歩ほど先に、その小次郎は
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
せに
仆
(
たお
)
れている。草の中へ、顔を横にふせ、握りしめている長剣の
柄
(
つか
)
には、まだ執着の力が見える。——しかし苦しげな顔では決してない。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
豚のように肥えた死骸が一つ、
寝台
(
ベッド
)
の下に
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
していることがわかる。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ウム、そしてわれわれは、
寒松院
(
かんしょういん
)
の
松並木
(
まつなみき
)
に待ち
伏
(
ぶ
)
せているか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はっと、
介
(
すけ
)
は、自分の腕くびに、噛みついて、顔を
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
せた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分が真二つにされたように、舟底へ
俯
(
う
)
つ
伏
(
ぶ
)
してふるえていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伏
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“伏”を含む語句
俯伏
折伏
平伏
突伏
打伏
起伏
潜伏
面伏
圧伏
降伏
伏臥
伏拝
下伏
調伏
野伏
三伏
説伏
泣伏
伏樋
伏木港
...