トップ
>
仕草
>
しぐさ
ふりがな文庫
“
仕草
(
しぐさ
)” の例文
猥
(
みだ
)
らな
仕草
(
しぐさ
)
は平気、
下卑
(
げび
)
た戯談はおかまひなしで、あたくしなぞ、そばにゐたたまれないやうなことが、しよつちゆうでございます。
緑の星
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
こちらが何もせぬのに、突然わんといって噛みつくとはなんという無礼、狂暴の
仕草
(
しぐさ
)
であろう。いかに畜生といえども許しがたい。
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
案外の上出来、それに
上方
(
かみがた
)
に近いせいか、第一、チョボが確かだし、一座の役者の
仕草
(
しぐさ
)
も
台詞
(
せりふ
)
も一応、格に入っておりました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自然と稽古にも興が乗って、千代子は抱かれて
頬摺
(
ほおず
)
りなどする
仕草
(
しぐさ
)
にも、我知らず狂言ならぬ真剣味を見せはじめた。
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ちょっと
覗
(
のぞ
)
きこんで、お父つあんの出たはるのはあの
寄席
(
よせ
)
やと花月の方を指しながら、私たちに言って、きゅうにペロリと舌を出したあの
仕草
(
しぐさ
)
です。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
▼ もっと見る
その物慣れた
仕草
(
しぐさ
)
から、星野からの手紙が何通もああして開かれたのだと園に思わせた。それもしかし彼にとってゆめゆめ不快なことではなかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これがあの世間を騒がせている大胆不敵の怪賊の
仕草
(
しぐさ
)
であろうか。一生涯を復讐事業に捧げた人物の行いであろうか。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
涎
(
よだれ
)
くり
進上
(
しんじょう
)
、お
饅頭
(
まんじゅう
)
進上
(
しんじょう
)
」と、お美夜ちゃんは涎くりの手まねやら、お饅頭をこねたり、
餡
(
あん
)
をつめたり、ふかしたりの
仕草
(
しぐさ
)
、なかなかいそがしい。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
練色
(
ねりいろ
)
の
綾
(
あや
)
の
袿
(
うちぎ
)
を取り出しては
撫
(
な
)
でさすり
畳
(
たた
)
み返し、そしてまたのべて見たりして、そのさきの宮仕の短い日をしのぶも
生絹
(
すずし
)
の思いはかなんだ日の
仕草
(
しぐさ
)
であった。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それから小児の遊びのカゴメカゴメなども、「いついつ出やる、夜明けの晩に」というからは、やはりオバケを囲んで伏せておく
仕草
(
しぐさ
)
であったのかも知れない。
おばけの声
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
芝居の
仕草
(
しぐさ
)
や、
浄瑠璃
(
じょうるり
)
のリズムに
伴
(
ともな
)
い、「天下晴れての夫婦」などと若い
水々
(
みずみず
)
しい男女の恋愛の結末の一場面のくぐりをつける時に、たった一つ
位
(
くら
)
い此の言葉を使うのは
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
が、この場合かうした
仕草
(
しぐさ
)
がどの位時はづれなものであるかを考へて、私はそれを抑へたのであつた。間もなく私は
訊
(
たづ
)
ねてみた。「この村に、洋服屋か仕立屋はないでせうか。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
罪のない子役のませた
仕草
(
しぐさ
)
は、
涙脆
(
なみだもろ
)
い
桟敷
(
さじき
)
の
婦人
(
をんな
)
客を直ぐ泣かせる事が出来るので、横着な
興行師
(
しうち
)
や
俳優
(
やくしや
)
やは、成るべく
年端
(
としは
)
も
往
(
ゆ
)
かない、柄の小さい子役を舞台に立たせようとする。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あの獣臭い
骸
(
むくろ
)
だけを私に残しておいて、いずこかへ飛び去っておしまいになり、そのうえご自分の
抜骸
(
ぬけがら
)
に、こんな意地悪い
仕草
(
しぐさ
)
をさせるなんて、あまりと云えば皮肉ではございませんか。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
顔だちから
仕草
(
しぐさ
)
から衣裳まで三拍子そろった仙十郎が三番叟の美しかったことや、十二歳で初舞台を踏んだ鶴松が難波治郎作のいたいけであったことなぞは、村の人たちの話の種になって
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
次郎のそんな
仕草
(
しぐさ
)
にはちっとも気がつかないで、相変らず草の葉を
刻
(
きざ
)
んでは、せっせとそれをブリキ罐の中にためこんでいたが、永いこと陽に照らされて、ピンク色に染まったその頬の上に
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
小波は、やさしい
仕草
(
しぐさ
)
で、ちょっと押しとどめるような手真似をしながら
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すっかり
不機嫌
(
ふきげん
)
になっている母親の代りに父親の肩によりすがろうとする大人びた
仕草
(
しぐさ
)
が、よしんばそのときかぎりの偶然の思いつきであったとしても、私の心には
犇々
(
ひしひし
)
と迫るものがあった。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
もっとも滑稽物や何かで帽子を飛ばして町内中
逐
(
おい
)
かけて行くと云ったような
仕草
(
しぐさ
)
は、ただそのままのおかしみで子供だって見ていさえすれば分りますから質問の出る訳もありませんが、人情物
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一体そうした秘密映画というものは、一と通りの
仕草
(
しぐさ
)
を撮ってしまうと、あとは
千辺一律
(
せんぺんいちりつ
)
で、
一向
(
いっこう
)
新鮮な面白味をもたらすものではない。そこで
会主
(
かいしゅ
)
は、会員の減少をおそれて一つの計画を
樹
(
た
)
てた。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
話題の選択から
仕草
(
しぐさ
)
物腰に至るまで、実に心得たものであった。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
猿の方では、神様から人真似の本能を
授
(
さず
)
けられている悲しさに、旅人の
仕草
(
しぐさ
)
を一々真似始めたのです、そして、とうとう、自殺をしてしまったのです。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ことに竜之助が槍で突いた時の呼吸や、一刀の下に首を
打放
(
ぶっぱな
)
した時の
仕草
(
しぐさ
)
などを見て来たようにやって見せて
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
菊五郎の
虎蔵福助
(
とらぞうふくすけ
)
の息女を相手にしての
仕草
(
しぐさ
)
六十
余
(
よ
)
の老人とは思へぬほど若々しく水もたれさうな
塩梅
(
あんばい
)
さすがに古今の名優と楽屋中にても人々驚嘆せざるはなかりけり。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それを乳母は見送ると同じい
仕草
(
しぐさ
)
をその乳首の上に加えたが、やはり出なかった。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
もし善意をもって
蒟蒻
(
こんにゃく
)
問答的
(
もんどうてき
)
に解釈してやれば主人は
見性自覚
(
けんしょうじかく
)
の
方便
(
ほうべん
)
としてかように鏡を相手にいろいろな
仕草
(
しぐさ
)
を演じているのかも知れない。すべて人間の研究と云うものは自己を研究するのである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(と自分の胸へ突き刺す
仕草
(
しぐさ
)
)
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
そして、その時彼の
側
(
そば
)
に坐った眉の濃い一人の
芸妓
(
げいしゃ
)
の姿や、その
声音
(
こわね
)
や、いろいろの
艶
(
なまめか
)
しい
仕草
(
しぐさ
)
が、浮ぶのである。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
企
(
たくら
)
んでそういう
仕草
(
しぐさ
)
をして、人を笑わせんがために存在することもあれば、当人は大まじめ——むしろ命がけの真剣さを以てやっていることでも、はたで見ると
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いくら夢中の
仕草
(
しぐさ
)
だとはいえ、泥坊を傭って置く訳には行かぬというので、もうあと三年で、年期を勤め上げ、
暖簾
(
のれん
)
を分けて
貰
(
もら
)
えようという惜しい所で
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
つまり、その
仕草
(
しぐさ
)
で見ると、いま隠れん坊をはじめて、わたしはここへ来て隠れたのですから、そんなことを言わないで、少しの間、隠して置いて頂戴な——という頼みであること言うまでもない。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お伽噺の中では、或いは映画の画面では、浩一に当る青年は、どんな
仕草
(
しぐさ
)
をするのだろうと思ったりした。
女妖:01 前篇
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
明智の
仕草
(
しぐさ
)
がすばやかったので、相手は用意の
拳銃
(
けんじゅう
)
を取り出す
隙
(
すき
)
がなかった。さすがの野獣も言われるままに「お預け」みたいな
恰好
(
かっこう
)
をしなければならなかった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああ、それが如何に
唾棄
(
だき
)
すべき笑いであったか。若し彼があの恥かしい
仕草
(
しぐさ
)
を冗談にまぎらしてしまう
積
(
つも
)
りだったとしても、その方が、
猶
(
なお
)
一層恥かしい事ではないか。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
十数人のコーラス・ガールの中に、ひときわ美々しく着飾って、声も顔も
仕草
(
しぐさ
)
も群を抜いた一人、それがこの場面の主人公、江川蘭子
扮
(
ふん
)
するところの花売娘であった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
表情ばかりではありません。姿勢にしろ、いろいろな
仕草
(
しぐさ
)
にしろ、すべて変ってしまいます。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼はボール紙を左手に鋏を右手にもって落語家の「紙切り」の
仕草
(
しぐさ
)
よろしく、
出鱈目
(
でたらめ
)
の
口三味線
(
くちじゃみせん
)
で
拍子
(
ひょうし
)
をとりながら、ボール紙を五本の指のある手の形に切り抜いていった。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
見ていると、妙なことに、彼はM・C・Cの煙を、
惜
(
お
)
しげもなくフーフーと吐き出すばかりで、深く吸い込む様子がない。ほんとうに煙草がほしかった人とも思われぬ
仕草
(
しぐさ
)
だ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
明智の突然の子供じみた
仕草
(
しぐさ
)
が二人を驚かせた。が、それよりも一層変なのはピアノの音であった。明智の指が鍵盤に触ると、
発条
(
ぜんまい
)
のゆるんだボンボン時計の様な音が響いて来た。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、廣介は、相手の
如何
(
いかん
)
に拘らず、予め考えて置いた、お芝居の順序を換えようとはせず、ただ黙って、人々の顔を眺める
仕草
(
しぐさ
)
の外には何の動作も、
一言
(
いちごん
)
の言葉も発しないのでした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
諸戸はそう云って、目をパチパチさせたかと思うと、ぎこちない
仕草
(
しぐさ
)
で私の手を握り、昔の「義を結ぶ」といった感じで、手先に力を入れながら子供の様に目の縁を赤らめたのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
片輪者は
雛鶏
(
ひよっこ
)
の様に歯のない口を黒く大きく開いて、「イヤー」と、
怪鳥
(
かいちょう
)
の悲鳴を上げ、逃げ出す力はないので、片っ方
丈
(
だ
)
けの細い腕を、顔の前で左右に振り動かして、敵を防ぐ
仕草
(
しぐさ
)
をした。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
仕
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
“仕”で始まる語句
仕
仕業
仕事
仕舞
仕度
仕方
仕合
仕出来
仕掛
仕様