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不具
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かたわ
ふりがな文庫
“
不具
(
かたわ
)” の例文
色と言い、また雪の
越路
(
こしじ
)
の雪ほどに、世に知られたと申す意味ではないので——これは
後言
(
くりごと
)
であったのです。……
不具
(
かたわ
)
だと言うのです。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の
大事
(
でえじ
)
な人間の指い切るの、足い切るのと云って人を
不具
(
かたわ
)
にするような
御遺言状
(
おかきもの
)
を
遺
(
のこ
)
したという御先祖さまが、
如何
(
いか
)
にも馬鹿気た訳だ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
不具
(
かたわ
)
にて生命に入るは、両手ありて、ゲヘナの消えぬ火に往くよりも勝るなり。もし汝の足汝をつまずかせば、これを切り去れ。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「どうしても
普通
(
なみ
)
の人間では無い。
不具
(
かたわ
)
では……
白痴
(
ばか
)
では無論ないけれども確に
普通
(
なみ
)
ではない。あれで人間としての價値があるだらうか。」
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
だが、もし捕まれば腕一本ヘシ折られるか、五本の指をヘシ折られるか、軽いところで中指かけて二本は
不具
(
かたわ
)
にされるだろう。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
▼ もっと見る
こんなぶざまな目に遭わせやがった、老いぼれの
不具
(
かたわ
)
だ。もう一人は、己が心の臓を
抉
(
えぐ
)
り出してくれようと思ってる餓鬼だ。さあ、兄弟——
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
しかし眼だけ高くって、
外
(
ほか
)
が釣り合わないのは手もなく
不具
(
かたわ
)
です。私は何を
措
(
お
)
いても、この際彼を人間らしくするのが専一だと考えたのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不具者ではありますけれど、生れつき、
不具
(
かたわ
)
ではなく、一昨年の冬、突然網膜炎に罹って、明を失したので御座います。
秘密の相似
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
蝮は毒蛇であるから、誰でも恐れるのは当然であるが、しかしここらでは蝮のために命をうしなったとか、
不具
(
かたわ
)
になったとかいう例は甚だ少ない。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「鬼も十七、山茶も出ばなといって、
不具
(
かたわ
)
でさえなけりゃあ、娘ざかりだから、乙なところがあるにきまってらあな」
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼等はどれもみんな巌丈な骨節をし、厚い掌をしているが、腰が不恰好にゆがんだり、前こごみであったり、——何処か
不具
(
かたわ
)
だった。みんなそうだった。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「おおよい良人を選ばれた。兄重蔵を
不具
(
かたわ
)
にされても、仕返しも出来ぬ腰抜け武士、丹波丹後に評判な臆病侍の新九郎がそちの良人か——あはッははははは」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ああ、みんな返すがいいとも。そんなものに未練残して、
不具
(
かたわ
)
にでもされたんじゃ、取返しがつかない。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
不具
(
かたわ
)
じみた男が喚きながら、両手を宙に打ち振ったり、両手で人の群れを押しひらいたりして、一つの露路へ進もうとしていたが、まもなく姿が見えなくなった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
腕の離れた時はただその骨をもとの所へ入れてやれば癒るものを、いらぬ療治をするものですから
不具
(
かたわ
)
になってしまうので、その師匠は大いに悲しんで居ったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「いくらいいお
人形
(
にんぎょう
)
だって、また、どんなにいい
顔
(
かお
)
だって、こんな
不具
(
かたわ
)
なものはしかたがないわ。」
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
おはるが離縁になったのはわしのせいじゃございません、わしはおはるの亭主に会っておりません、本当です、あれが離縁になったのはあれが
不具
(
かたわ
)
だったからなんです。
入梅
(新字新仮名)
/
久坂葉子
(著)
再生のハノイ・シャンは、猿のような腰つきの、二た目と見られない
不具
(
かたわ
)
者だった。
怪物
(
モンスタア
)
だった。
ロウモン街の自殺ホテル
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
悲しい事にはこの四郎はその後まもなく
脊髄病
(
せきずいびょう
)
にかかって、
不具
(
かたわ
)
同様の命を二三年保っていたそうですが、死にました。そして私は、その墓がどこにあるかも今では知りません。
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
不具者の苦しみは、
不具
(
かたわ
)
でない者には到底、想像も察しも付かぬものであったろう。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この阿呆のど
不具
(
かたわ
)
め。大根やこしお前の口へ入るものじゃねえだぞ。お前なんかに、粟の飯一杯も惜しいけどな、同じ人間の皮
被
(
か
)
ぶってるけにな、毎日一杯ずつ恵んでやっとるんじゃ。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
別嬪
(
べっぴん
)
を見たら、ちいたあ、胸がドキドキしたり、ときには、酒の勢で、女の手くらい握ったり、……フフフ、人間じゃもん、あろうわな。なけりゃ、
不具
(
かたわ
)
じゃ。わしにも、経験がある。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「……おら、こんな
不具
(
かたわ
)
だすけ、とッても、そんなとこさ、ついて行けねえべ。……おら、ひとり、こんなとこさ残されて、どうしてこれから、生きていかれるべ。おら、いやだ、おらいやだ」
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
いや、お孃さんも、つまらない
細工
(
さいく
)
だ。——孫三郎さんも足は惡かつたが、新し橋へ行つて辻斬が出來ないほどの
不具
(
かたわ
)
ではなかつた。御隱居はそれに
比
(
くら
)
べると、身動きも御自由ぢやない樣子だ。
銭形平次捕物控:317 女辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
不便
(
ふびん
)
だんべぢやねえかねえ
不具
(
かたわ
)
の
甥
(
おひ
)
つ
子
(
こ
)
のことをねえ、
保證
(
ほしよう
)
に
立
(
た
)
つた
位
(
くれえ
)
身上
(
しんしやう
)
潰
(
つぶ
)
れるつち
挨拶
(
あいさつ
)
なのさ、ねえこれ、
年齡
(
とし
)
とつちやこつちのおとつゝあん
先
(
さき
)
も
短
(
みじ
)
けえのに
心底
(
しんてえ
)
のえゝものでなくつちや
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「いけませんよ。もし
不具
(
かたわ
)
の児でも生れたら責任を持って下すって?」
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
みすぼらしい、後足でびつこをひいてゐる
不具
(
かたわ
)
の犬のかげだ。
月に吠える:02 月に吠える
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
蔑すまれ、
不具
(
かたわ
)
にまで傷づけられた民族の誇りと
間島パルチザンの歌
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
「
何
(
なん
)
といふ
不具
(
かたわ
)
でせうね」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
が、その時の
大火傷
(
おおやけど
)
、享年六十有七歳にして、生まれもつかぬ
不具
(
かたわ
)
もの——
渾名
(
あだな
)
を、てんぼう
蟹
(
がに
)
の
宰八
(
さいはち
)
と云う、秋谷在の名物
親仁
(
おやじ
)
。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
千「
其様
(
そん
)
なに仰しゃったって、慌てゝ不調法が有るといけません、他のお道具と違いまして、
此品
(
これ
)
が一枚毀れますと
私
(
わたくし
)
は
不具
(
かたわ
)
になりますから」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あさ子を
不具
(
かたわ
)
にしてしかも、振り捨てて顧みなくなった良雄の仕打に対しては、まんざら腹が立たぬでもなかった。
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
与助は村の医師の独り息子で、ことし十六の筈であるが、
打見
(
うちみ
)
はようよう十一二くらいにしか見えない、ほとんど
不具
(
かたわ
)
に近い発育不全の少年であった。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
たとえどんな
不具
(
かたわ
)
でも、馬鹿でもよいから、お前の
胤
(
たね
)
というものに加藤の家をつがせて、尾張名古屋の城を見返すように、この、わたしがついています
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「鼻の中の白髪は見えんから害はないが、脳天が——ことに若い女の脳天がそんなに禿げちゃ見苦しい。
不具
(
かたわ
)
だ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
不具
(
かたわ
)
で、私は子供、——相手は五人の倔強で敏捷な水夫たちだから、——どんなことになるだろう!
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
どうせ灸をすえてもらっても
不具
(
かたわ
)
、このまま捨て置いても不具、同じ不具になるなら熱い思いをさせたり苦しい思いをさせぬ方がよいと言うて
悄
(
しお
)
れ返って居るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その武士の太刀を奪い取り、その武士の首を刎ね落とした、盲目の
不具
(
かたわ
)
の乞食の姿が、武士たちの持って来た
松明
(
たいまつ
)
に照らされ、幽鬼のように立っているのが見えた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
幾
(
なん
)
ぼ? 二つもあったら
不具
(
かたわ
)
だべよ。——お饅頭、お饅頭!」——急にワッと笑い声が起った。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
それから、
不具
(
かたわ
)
となった
少年
(
しょうねん
)
は、
友
(
とも
)
だちからばかにされたり、わらわれたりしたのであります。
心の芽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あの阿母さんの手にかかっていたら、お前は産れもつかぬ
不具
(
かたわ
)
になっていたかも知れないよ
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何故あなたは
不具
(
かたわ
)
になった兄上に代って一度でも鐘巻自斎を打ち込み、松平の名誉を上げ、福知山の人々の悲憤を晴らしておやりにならぬのです! それが腰抜け武士、臆病侍と
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こんどは綱渡りの綱を切った奴があるんです。お鈴はお振袖を着たままお客の頭の上へ真っ逆様に落ちて、眼を廻す騒ぎだ。幸い息は吹返したが、足を折ったそうで
不具
(
かたわ
)
になるかも知れません」
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お蔦 お前さん、
不具
(
かたわ
)
にされても、あたしは
傍
(
そば
)
を離れやしないよ。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
難有
(
ありがて
)
えことに
不具
(
かたわ
)
でも
嫁
(
よめ
)
世話
(
せわ
)
すべつちいものもあるやうな
譯
(
わけ
)
さなあ、
何
(
なん
)
でも
人間
(
にんげん
)
は
働
(
はたら
)
き
次第
(
しでえ
)
だよ、おめえだつて
働
(
はたら
)
くんでばかり
他人
(
ひと
)
にや
好
(
よ
)
く
云
(
ゆ
)
はれてべえぢやねえけえ、そんで
俺
(
お
)
れも
其
(
そ
)
の
女
(
をんな
)
は
見
(
み
)
たが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
医者も
蒼
(
あお
)
くなって、騒いだが、神の
扶
(
たす
)
けかようよう
生命
(
いのち
)
は
取留
(
とりと
)
まり、三日ばかりで血も留ったが、とうとう腰が抜けた、もとより
不具
(
かたわ
)
。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前が
不具
(
かたわ
)
になって何うしましょう、詰らぬ事を云い出しましたよ、苦し紛れに悪い思案、何うでも私は遣りませんよ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あなたのを間違えたのでしょうか、大変失礼しました。何しろ
不具
(
かたわ
)
ものですから、どうか御ゆるしを……」
猫と村正
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
で、その師匠はことにその小僧を愛して居りますので、非常に心配してこれはどうも一生の
不具
(
かたわ
)
になってしまうと言う。というのはチベットでは
接骨
(
ほねつぎ
)
の法を知らない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
自分が当時の自分のままで、のべつに
今日
(
こんにち
)
まで生きていたならば、いかに順良だって、いかに励精だって、馬鹿に違ない。だれの眼から見たって馬鹿以上の
不具
(
かたわ
)
だろう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
具
常用漢字
小3
部首:⼋
8画
“不具”で始まる語句
不具者
不具物
不具車
不具根性
不具退転