“あに”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アニ
語句割合
43.1%
39.0%
義兄9.9%
阿仁1.1%
亡兄0.8%
実兄0.8%
0.6%
異母兄0.6%
大哥0.6%
従兄0.6%
伯氏0.3%
0.3%
長兄0.3%
阿兄0.3%
令兄0.3%
哥分0.3%
從兄0.3%
0.3%
舍兄0.3%
若兄0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
田中の奴、おれが息せききってかけつけたと思っているが、あに計らんや、俺は、煙草をふかしながら見物のつもりでやって来たのだ。
頭と足 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
ぼくは、そうきくと、物心ものごころのつかない幼時ようじのことだけれど、なんとなく、いじらしいあにのすがたがかんで、かなしくなるのです。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
など、ほとんどが菊池、阿蘇あその協同者だった。そして英時ひでときほふったのだ。——それらすべてが尊氏には義兄あにあだといえなくもない。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『真澄遊覧記』によれば羽後の阿仁あに山・森吉山などではかかる地を神の田または鬼の田という。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「知らずに登ったのがてめえの運のつきだ。針の山、地獄の谷、亡兄あにの典馬が呼んでるから早く行け」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何うしても一旦かどなく公然おもてむき離縁をするンじゃに依って、此者これ実兄あに深川佐賀町の岩延いわのべという者のところへ、千円の持参金に箪笥長持衣類手道具とう残らず附けて帰さなければ成らん
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かあねえだ。もの、理合りあいを言わねえ事にゃ、ハイ気が済みましねえ。お前様も明神様お知己ちかづきなら聞かっしゃい。老耆おいぼれてんぼうじじいに、若いものの酔漢よいどれ介抱やっかいあに、出来べい。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
子供の順吉も悲しくなつて泣いたが、その小さな心は、父や異母兄あにたちへの怒りよりも、母への愛と憎しみとで一ぱいだつた。母にたいするふしぎな感情に苦しんだこれが最初の經驗だつた。
第一義の道 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
この大哥あにさんと喧嘩をするなら、からだの骨から鍛へて來い。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
朝子にとっても、ぼんやり幸子の従兄あにとして見ていた大平が、一人の男としてはっきり現われた点は同じであった。
一本の花 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
伯氏あには菊花のちかひを重んじ、命を捨てて百里をしはまことあるかぎりなり。士は今尼子にびて一三六骨肉こつにくの人をくるしめ、此の一三七横死わうしをなさしむるは友とするまことなし。
老母よろこび迎へて、吾が子四五不才にて、まなぶ所時にあはず、四六青雲せいうんの便りを失ふ。ねがふは捨てずして伯氏あにたる教をほどこし給へ。赤穴拝していふ。四七大丈夫は義を重しとす。
「でもネ、折がまずいや。……小五あにいも、目が出ねえらしいが、どうも早や、あっしら兄弟は、みんな、ばくち好きの、ばくち下手ってやつでしてね」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「待ってました。この首は、このおとこの値打を知って買ってくれる人のためにあるようなもンでした。なああにき」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長兄あにの部屋の方で、何かやや大きな声と、物音がした。右門は思わず、閉まっている窓の障子へすがって、そこを開けようとしたが
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長兄あにがお由利に対して、想いを示すことは、余りに露骨だった。どうかすると、この自分がいる前でも、びっくりするような事を突然云う。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ、勇阿兄あにい、よく、そんな風に呼んでるのを聞いたことがありますよ」
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
「勇阿兄あにいの博奕にはお前さんも苦労するな」
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
しかるに今月こんげつ初旬はじめ本國ほんごくからとゞいた郵便ゆうびんによると、つま令兄あになる松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさは、かね帝國軍艦高雄ていこくぐんかんたかを艦長かんちやうであつたが、近頃ちかごろ病氣びやうきめに待命中たいめいちゆうよし勿論もちろん危篤きとくといふほど病氣びやうきではあるまいが
そこへ丁度長兵衛の子分どもが参詣に来合せたので、彼等の中で大哥分あにと立てられている放駒はなれごま四郎兵衛しろべえが先立ちになって、ここで白柄組の若い侍と奴とに、喧嘩を売ろうとするのであった。
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大袈裟おほげさに斬られて、庭先に轉げ落ちたのは丹之丞には遠い從弟で、綾野には直ぐの從兄あにに當る、針目正三郎のあけに染んだ姿だつたのです。
あにあねと同じくすべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
きツイ先頃はお互にむしの居所のわるい所から言葉たゝかたれども考へ見れば吾儕わしが惡いとかう謝罪あやまつた上からは主は素より舍兄あにのこと心持を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
話をして見れば昨夜既に其相談であつたとのこと、眞奈は茲で若兄あにの境遇に思ひ及んだけれど、手古奈の身がさうした事になつた以上は今は如何とも致方のないことゝ思うた。
古代之少女 (旧字旧仮名) / 伊藤左千夫(著)
それが、震災で財産をなくしたのとあにに死なれたのと年をとって来たのとが一緒になって、誰もたずねて来なくなったのがたまらなかったらしいのです。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)