異母兄あに)” の例文
「知らないでどうしましょう。あなた様は、わたくしの亡父ちちにはお舅御しゅうとごに当られるお方でしょう。異母兄あに頼朝の母御には、父にあたるお人でしょう」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子供の順吉も悲しくなつて泣いたが、その小さな心は、父や異母兄あにたちへの怒りよりも、母への愛と憎しみとで一ぱいだつた。母にたいするふしぎな感情に苦しんだこれが最初の經驗だつた。
第一義の道 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
異母兄あに頼朝の母君は、名古屋のほとりとかいう、熱田の宮の大宮司だいぐうじ、藤原季範すえのりむすめにおしたとか聞いておる。——さすれば亡父ちち義朝とも、源家の一族とも、ご縁は浅からぬお宮ではないか」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その思いは宇宙をけて、配所の異母兄あにへ通じるであろうと信じていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)