“阿仁（あに）” の例文
この細工は元来は阿仁（あに）の山間に発したものといわれます。樺細工はいわゆる「型もの」と「板もの」との二つに分れますが、技術としては随分進んだものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) ／ 柳宗悦(著)
『真澄遊覧記』によれば羽後の阿仁（あに）山・森吉山などではかかる地を神の田または鬼の田という。
地名の研究 (新字新仮名) ／ 柳田国男(著)
秋田の町では岩七厘（いわしちりん）が目に止（とま）るが、これも町の産物ではなく北秋田郡阿仁（あに）の村で出来る。樺細工（かばざいく）も町で見かけるがこれは角館が本場である。紫根染（しこんぞめ）はあるが、これは花輪（はなわ）から来たのであろう。
思い出す職人 (新字新仮名) ／ 柳宗悦(著)
その翌年の享和三年の春は、阿仁（あに）から出てきて北秋田郡の大滝の温泉にいた。その折の日記は「薄の出湯」であって、これにも湯の町へ出てくるいろいろの物売、伎芸の徒の歌詞が多く載せてある。
雪国の春 (新字新仮名) ／ 柳田国男(著)