長兄あに)” の例文
長兄あにの部屋の方で、何かやや大きな声と、物音がした。右門は思わず、閉まっている窓の障子へすがって、そこを開けようとしたが
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長兄あにがお由利に対して、想いを示すことは、余りに露骨だった。どうかすると、この自分がいる前でも、びっくりするような事を突然云う。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右門はそう思って、彼女が、努めて長兄あにの側に寄るまいとし、長兄を嫌っている風さえあるのを、やや心の慰めとしていた。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)