じき)” の例文
鄔陀夷曰く姑の過ちでない、彼の両乳の間および隠密処に黒黶くろぼくろと赤黶と旋毛つむじ、この三の暴悪相があるからだと教えじきを受けて去った。
したがって食物は、ただ口だけに必要なものではありません。眼にも、耳にも、鼻にも、みんなじき、すなわち食物が必要なのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
たとえば、金銭などには、かまわないようでいながら、案外こまかい。道中の木賃の料や中じきわらじの代まで、典膳がいちいちしるしているが
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お昼を包んで家のそとへ持って出て、べつべつに食べるのも食事のうちに入れるとすると、昔は二じきであったということがよっぽど疑わしい。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それじきは、いろし、ちからをつけ、いのちぶ。ころもは、さむさをふせぎ、あつさえ、はぢをかくす。人にものをする人は、人のいろをまし、ちからをそへ、いのちぐなり。
渠等かれらあへおにではない、じきたれば人心地ひとごこちになつて、あたかし、谷間たにあひから、いたはつて、おぶつてた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ギリシアの昔では、貴族は一日一じきですましてゐた。二じきなのは兵士と平民とで、たゞ賤民だけが現代の大多数の人たちのやうに三度たべることになつてゐた。
上首の一人 ——しゅくに十の利あり、はんには三てんじきくるもの、いやしくもこの理を忘るるなかれ。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
中にもその家の親子二人、子はまだ六つになるならず、母親とてもその大飢渇だいきかつに、どこからじきを得るでなし、もうあすあすに二人もろとも見す見す餓死を待ったのぢゃ。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
朋輩女郎の話で無ければ『二じき鹿尾菜ひじき』といつたやうな所謂苦界の勤めの悲しい囘想談である。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
それもさき様が生命の糧とあれば、どうするわけにも行かないどころか、考えて見ればわたしら自身、あなた方植物の大切な種を拾ったり、罪もない昆虫まで餌じきにするのだもの
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
冬夜さり鼠のごふも果てけらしてんまなこじきに和むか
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「晝は喰べない。僕は二じきだ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
己れなんざアいつも一じきだア。
磯馴松 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
天人てんにんじき、つらき世に、——
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
藤房、季房も、三日までは、口中のじきも断ちければ、足たゆみ、身疲れて、今は、いかなる目に逢ふとも、逃げぬべき心地もせざりければ……。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仏教の方では人が亡くなった時に香を手向たむけますが、これは「中有ちゅうう(中陰)の衆生は、香をもってじきとする」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
どうかしてその点を明らかにしてのちに、これから二じきにしてもよいか悪いかを、決したいものだと思うようになれば、今にかならずその答えは出てくるであろう。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
中にもその家の親子二人、子はまだ六つになるならず、母親とてもその大飢渇に、どこからじきを得るでなし、もうあすあすに二人もろとも見す見す餓死を待ったのじゃ。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
衆僧 ——(一度に声を合せ)清浄法身本体の生命、円満報身導きの生命、すがたに在す現実の生命、今われらにじきを与えて道に進む行者ぎょうじゃの歩みを健かならしめらるるを感謝する。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
このごろ会社づとめの若い人たちのなかには、昼飯ぬきの二じきがはやり出してゐる。習慣的に昼飯をとつてゐる人たちも、なるべくあつさりしたものですますやうな傾きが見える。
老人らうじんくちをあいてわらひ、いやめづらしくもない、まゝあること、にはかゆき降籠ふりこめられると、ともはなれ、ねぐらまよひ、行方ゆくへうしなひ、じきゑて、かへつてひとなづる、これは獵師れふしあはれんで、生命いのちらず、ひえ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
風面かざおもてあけに吹き立つ春眞晝ゑぐきほこりじきいとふなり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
杜鵑ほととぎすのあの一声は耳のじきです。残念ながら耳の遠い人は、耳の形だけはありますが、肝腎かんじんの聴神経が麻痺まひしているので、せっかくの山ほととぎすの初音も聞こえないわけです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
この三つの階級のうちで一番健康で、一番美しかつたのは、一じき制度の貴族だつたといふことを聞いては、どんなに腹がすいても、一じきにきめなくてはならないやうな気持ちがする。
そうしてこの家のそとで食べる分をべつにすると、以前はたしかに二じきであり、近ごろはまたいろいろの新らしい理由から、三じきの人がしだいに多くなって行こうとしているのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
上よりこれをながめられあまりのことにしばしは途方とほうにくれなされたが、日ごろの恩を報ずるは、ただこの時と勇みたち、つかれた羽をうちのばし、はるか遠くの林まで、親子のじきをたずねたげな。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
風面かざおもてあけに吹き立つ春真昼ゑぐきほこりじきいとふなり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
親子のじきをたづねたげな。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)