“顔馴染:かおなじみ” の例文
“顔馴染:かおなじみ”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂4
海野十三3
田中貢太郎3
長谷川時雨3
中里介山2
“顔馴染:かおなじみ”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 伝記 > 日本8.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.6%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
この不思議な来客というのは、米友とは古い顔馴染かおなじみ、最近関ヶ原以来の——机竜之助であることに疑いはありません。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
顔馴染かおなじみの女中さんは、ニコニコしてなるたけ涼しいところへ座らせようと、茣座ござの座ぶとんを持ってウロウロした。
その光景にひどく驚いたが、店の主人は顔馴染かおなじみでもあるし、鶴見にしてからがその店の前は素通りにはできなかった。
彼はその仲間が帰ってから、顔馴染かおなじみの内弟子に向って、「恩地殿のような武芸者も、病には勝てぬと見えますな。」と云った。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
下顎したあごの出た猿のようなこの老人は、どこへでもしゃあしゃあと押しだして往って、何人たれとでも顔馴染かおなじみになりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
顔馴染かおなじみの江藤老人は、顛倒したうちにも、斯んな事を言って、足の勇を離屋はなれへ案内してくれます。
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
二人は左手のすみ食卓テーブルについてビールを注文すると、顔馴染かおなじみふとった給仕女が二つの洋盃コップを持って来た。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「オヤオヤ、これは帆村君」と、顔馴染かおなじみ大江山おおえやま捜査課長があかい顔を現した。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
昨夜ゆうべからの籠城ですっかり、顔馴染かおなじみになった岡崎敬之助は早坂勇の肩をそっと叩きます。
音波の殺人 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
顔馴染かおなじみを利用するのが、あんまり現金すぎるとも思い、引受けた母までがいやだった。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
住職の老人には私は平時いつ顔馴染かおなじみなので、この時談はなしついでに、先夜見たはなしをすると、老僧は莞爾にっこり笑いながら
子供の霊 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
私はさびしきまま、先日来顔馴染かおなじみの三造が、壁一重向うの焚き場にいることを思い出して、例の小さな覗き穴のふたをあけて彼の姿をさがしました。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
不断は何の気も附かない宅の主人が、「あの人は越後えちごではなかろうか」といいますので、顔馴染かおなじみになった時聞きましたら、やはりそうでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
それでも永い間の顔馴染かおなじみになってみれば、やはりそれだけの心安さは出来た。外に客の居ない時などには、たまには世間話の一つもする事はあった。
雑記(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その男は、九女八のうちの門口で、顔馴染かおなじみの台助に逢うと、いま聞いてきたばかりの、けむの出るような噂がしたくてたまらなくなったように、
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
天風が入って往くと顔馴染かおなじみのある肥ったじょちゅうが出て来て二階へ案内した。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この楽器屋はこの近辺の学生たちの「たまり」になっているらしく、ナオミもちょいちょい来るものと見えて、店員などもみんな彼女と顔馴染かおなじみなのでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もちろんかねて顔馴染かおなじみの二刑事が覚えているのもせんないことだろう。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すぐ近くの交番のおまわりで、私とはもちろん顔馴染かおなじみの仲なのです。
男女同権 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「一本つけて貰おうか」と、山西は顔馴染かおなじみの老人の顔を見て云った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……顔馴染かおなじみの濃いくれない薄紫うすむらさき、雪のはだえ姉様あねさまたちが、この暗夜やみのよを、すっとかどを出る、……とと寂しくなった。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地下に他郷に古い顔馴染かおなじみが追々遠くなるのは淋しいものです。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「もう水戸が見える筈だ」そう云ったのは、賊を追って、お茶の水の濠傍ほりわきから、戸波研究所の地下道を突撃して行ったことで顔馴染かおなじみの、参謀草津くさつ大尉であった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
或る日、私が仕事をしていると、がちゃがちゃサアベルの音をさせて人が這入はいって来たから私は戸籍調べが来たのかと思って見ると、その人は顔馴染かおなじみのある後藤貞行さんであった。
勿論、このおかみさんも如才じょさいないには相違なかったが、顔馴染かおなじみのないわたしに対して、無料でそれだけの商売物を愛想よく渡してくれたのは、かの福草履の威徳にほかならない。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なぜ、にわかに伝吉が、この街道を丹波に向かって急いで来たかというに、顔馴染かおなじみの飛脚屋が、原山峠から園部へ出る間で、たしかに、春日新九郎に会ったということを耳にしたからであった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亡き源三郎の顔馴染かおなじみ芸妓げいしゃなどから、「お久し振りでございますわね」などと、肩を叩かれたりしますと、彼はもう益々大胆になって、大胆になればなる程、お芝居が板について、今では
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
二人はかね顔馴染かおなじみの警視庁強力犯係ごうりきはんがかりの刑事で、折井おりい氏と山城やましろ氏とだった。いや、顔馴染というよりも、もっと蒼蠅うるさい仲だったと云った方がいい。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼女は「クレオパトラとアントニイ」や「サロメ」など、新しい洋画を欠かさず見ていたが、弁士にもお座敷での顔馴染かおなじみがあり、案内女にも顔を知られて、お座敷がかかれば、そっと座席へ知らせに来てもくれた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この音公は、軽井沢に於ける裸松のように、街道筋から毒虫扱いにされているというほどではないのみならず、草相撲で博した贔屓ひいきも人気もあるのに、相手にとった一種異様なグロテスクは、土地の人にさっぱり顔馴染かおなじみがないのみならず
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いえ、夜はかえって物騒ですよ。私は諸方をほッつき歩いて、其辺中の官兵の屯所は、一つ残らず顔馴染かおなじみだから、私と一緒におでなさい。とがめられたら、私の弟子ということにしましょう。陽の当るうちの方が、どんなに安心だかわかりません」
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
自分も釣の往復ゆきかえりに立寄って顔馴染かおなじみになっていたので、岡釣おかづりに用いる竿の継竿つぎざおとはいえ三間半げんはんもあって長いのをその度〻たびたびに携えて往復するのは好ましくないから、此家ここへ頼んで預けて置くことにしてあった。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いろ鳥のいろいろに、稗粟ひえあわを一つかみ、縁へ、供養、と思って、出て、雪をかついで雪折れのした松の枝かと思う、倒れている人間のかたを見つけて、吃驚びっくりして、さらさらと刻んで飛ぶと、いつもお参りをかかしなさらない、顔馴染かおなじみの近常さん。
それは一つには、彼女の性分として、誰かが手を取って無理に引っ張り出しでもしなければ、顔馴染かおなじみのない皮膚科の医者の所へなど診て貰いに行くのはいやなのであろう、が、一つにははたの者が蔭で気をんでいるほど、当人はそのシミを神経に病んでいないのであった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それからだんだん、ふれ声も平気で言えるようになり、天秤棒の重みで一度は赤く皮のむけた肩も、いつかタコみたいになって痛くなくなり、いつもこんにゃくを買ってくれる家の奥さんや女中さんとも顔馴染かおなじみになったりしていったが、たった一つだけが、いつまでっても、恥ずかしくつらかった。
こんにゃく売り (新字新仮名) / 徳永直(著)
「多勢居たようです。料理の方は、重三郎という、これは顔馴染かおなじみの板前で、外に近所の女達二人、下女のお角が采配さいはいを揮って居たようで。奇月宗匠に貸しのあるのはうんと居ますが、怨みのあるのは一人もありません。下男の次六は、昨夜も鎌倉町の店へ使いに行って騒ぎのずっと後で戻って来たようで」
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)